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本と人をつなげる-図書委員会主催のOB講演会

TOHO Today中学高校

面談期間中の11月19日午後、図書委員会主催の講演会が開かれ、約20人が参加しました。講師をお願いしたのは、代田橋駅前にて「バック パック ブックス」という本屋を経営している宮里祐人さん。宮里さんは桐朋の62期卒業生。「バック パック ブックス」は広さ3畳の、自称「日本で一番小さい本屋」です。宮里さんのお話は、高校時代は読書家ではなかった宮里さんが、本に出会っていったプロセス、出版社勤務をやめて本屋を開くにいたった経緯、本屋から見た紙媒体の未来、趣味である登山の話など多岐にわたりました。「本と人をつなげたい」という宮里さんの思いの伝わる、講演会でした。 以下に参加した図書委員の感想をご紹介します。
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 最初に講演会の案内を聞き、宮里さんのプロフィールを見たときには漠然と「もともと本が好きで、ご自身も書店経営をしたいという願望があって今の仕事をなされているのだろうか」と考えていました。

しかし、宮里さんの辿ってきた経歴やそれを振り返っての思いなどをご本人の口から伺うにつれ、最初の勝手な思い込みは少しずつ覆っていきました。過去から今に至る宮里さんのお話を聞いて思ったのは、宮里さんは偶然を受け入れることができ、なおかつ訪れた機会を離さずにいることのできる人なのだという実感です。

本との関わりの点からみれば、桐朋にいたときにはあまり本を読まず、むしろ音楽が好きでしたが、大学にいる間に音楽や映画への興味とも関連しながら読書への関心を深め、やがて独立して自ら書店を開業されたこと。登山についても、社会人になって訪れた屋久島でたまたま宮之浦岳に登ったことをきっかけに始め、やがて標高約7000mのアコンカグアに単身で登頂するまでに突き詰めてこられたこと。宮里さんの語った過去は、幾度も偶然の出会いに導かれた道のりでした。

今、宮里さんが経営されている書店についても、販売している本の多数を占める古本は、お客さんから宮里さんのもとへ直接持ち込まれるものや、宮里さんご自身が古本市を歩いて仕入れてくるものが多く、店頭にどのような本が並ぶかは、その日その日の偶然の出会いに左右されるといいます。宮里さんは「自分の意志とは関係なしに新しい本が入ってくる。そういう偶然の楽しさがある。」とも語られていました。

好きなことに取り組み、将来に思いを馳せ、そうしながらも日々の生活を送る。その中でどんなに自分のやりたいことが確立していても、あるいは逆に何も見つかっていなくても、不意の出来事が訪れることはあります。その時「予期しなかったから」と目を反らすか、それともしばし付き合ってみるか。宮里さんのお話を聞いて、少しヒントをもらったような気がしました。(高校2年 S.O.君)

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