進路指導部主任メッセージ

出会いと対話を通して、進路を切り拓く手助けを行います。

進路指導部主任 柿澤壽

私が大学院を卒業して本校に着任したとき、今でも覚えている印象的な光景があります。何気ない教員室でのひと時なのですが、休み時間の度に、教員室に数多くの生徒がよく訪れるのです。これは現在でも変わらない光景です。私が中高生だった頃、教員室に入るときは大変な緊張を強いられたもので、本校の様子を見たときはカルチャーショックに近いものを覚えました。教員室がサロンのように生徒に広く開かれ、教員と生徒の距離が近いのです。教員と世間話をする生徒、勉強に関する質問や進路の相談をする生徒、学問の話をする生徒、添削指導を受けている受験生などが沢山おり、教員室はいつも賑わっています。教員は生徒にとってもっとも身近な大人の一人であり、人生の先輩として、一人の人間として、日々対話を通じながら生徒をサポートする、このような風土が昔から本校にはあるのです。

進路選択とは、単に大学進学だけを指すものではありません。自身の能力や適性はどのようなものなのか、社会にどう関わっていくのか、どのような職業に就きたいのか、どの場所(大学等)で何を学ぶのか、を総合的に、幅広い視野で考えていく作業です。すなわち、「自身がどうありたいのか」を考えることが進路選択であり、それは、「出会い」と「他者や自分との対話」を通して、だんだんと見えてくるものです。そのため本校では、まずは日々の学校生活を大切にし、学習はもちろん、主体的にクラブ、委員会、行事等に取り組むことを推奨しています。これらの活動に意欲的に取り組む中で、友人や教員と対話し、自身にはない新しい考え方に影響を受け、それを自分の中に取り入れていくことで視野が広がっていきます。本校が高校3年生まで一貫して文理混合クラスを編成しているのも、様々な興味関心を持つ生徒が生活を共に送ることによって、互いに刺激しあいながらバランスのとれた人間に成長して欲しいと願っているからです。日々の授業の中にも知的な「出会い」が散りばめられています。学問に対して憧れを持つことは、進路選択をする上で大きなきっかけとなります。専門性の高い教員や友人と対話しながら刺激を受け、興味関心を高めてもらえるよう、教員は日々授業研究を行っています。

その上で、進路指導部では、生徒が自主的に進路を切り拓いていけるよう、次のような流れで段階的に進路選択に向けたアプローチを行います。まず、高校1年生では、自身の興味関心、適性、能力を理解するとともに、比較的遠い将来のこととして、職業や生き方に対する認識を深めることを目指します。6月に、卒業して10年になる卒業生(社会人になって間もない卒業生)を様々な分野から招き、仕事の内容、仕事のやりがいや苦労、なぜその仕事を選んだのか、などを在校生に話してもらう機会(在卒懇)を設けます。これをきっかけとして、自身の将来を考察する作文を夏休みに課し、「私の将来」と題する文集としてまとめて、互いの考えの交流を図ります。高校2年生では、近い将来のこととして、大学等における学問分野への探求を進めていくようなアプローチを行います。11月には大学等で研究、教鞭をとっている卒業生を招き、在卒懇を行います。自身の興味関心のある分野に分かれて話を聞き、その学部・学科では何が学べるのか、研究の魅力など、リアルな話を聞くことによって、高校3年生における大学・学部選択へとつなげていきます。いずれの在卒懇においても、卒業生自身がどのような体験に基づいて進路を決めるに至ったのか、中高時代にやっておくべきことは何か、などが話題となり、そして現在の仕事や研究を遂行する礎は、桐朋生時代に培ったものだと語ってくれます。憧れの卒業生からのこのような話は在校生の刺激となり、日々の生活の大切さを改めて実感させられます。そして卒業生も、在校生から刺激を受け、日常の仕事へ戻っていきます。卒業生にとっても、在卒懇は有意義な出会いの場なのです。これ以外にも、大学の研究室や会社訪問、医学部生・医師との交流会等、自由参加型の進路企画が催され、進路選択の一助となっています。また、放課後に行われる特別講座は、日常の授業を超えたハイレベルな学問に触れる機会として用意されています。

一方、大学入試に対応した力を養成するために、本校教員が作成する実力テストや校内模試、大きな母集団の中で客観的な力を測るための外部模試を高校のすべての学年において定期的に実施し、これらの試験を短期的な目標として設定し、自身の位置を確認しながら実力をつけていけるように指導しています。高校2年生、3年生では夏期講習が開講され、非常に多くの生徒が利用しています。文理別、大学別、分野別、レベル別、テストゼミや小論文(添削)、実験など、講座の内容は多岐にわたり、各自の必要に応じて受講できるようになっています。また、進路指導部より、各学年の段階に応じた内容の説明会を行い、大学入試制度の仕組みや入試に向けた準備・心構えについて、卒業生からの助言も交えながら話をしています。

本校の教育目標である「自主」の精神のもと、生徒一人ひとりが自主性を発揮しながら学校生活を送る中で、多くの人との出会いで培った力をもとに、力強く未来を切り拓いていけるよう、サポートしていきます。