TOHO Today 桐朋トゥデイ

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進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回は、2学期期末考査後の自宅学習期間にあたる12月17日(火)に東京理科大学薬学部薬学科を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、東京理科大学薬学部薬学科教授の上村直樹先生、同じく桐朋高等学校卒業で、東京理科大学薬学部臨床教授の高橋裕先生です。参加したのは、高校1年4名、中学3年1名、中学2年1名、中学1年2名、合計8名です。

最初に、東京理科大学野田統括部薬学事務課課長の森知春様より、東京理科大学についてご説明いただきました。東京理科大学は、東京大学に次いで、日本で2番目に古い理系大学であること、大学のランキングで、教育力は大学全体で4位、私学の中では1位、研究力も全体9位、私学で1位、就職力は大学全体で1位であること、学生の書くレポート・論文の枚数は、大学4年間で約1,000枚、修士・博士課程まで含めると約1,200枚に達し、学習への意識が高い大学であること、薬学部のキャンパスは、2025年に葛飾に移転の予定であること、薬草の学習のための薬用植物園や薬学実務実習のための病棟・調剤・薬局の実習室があり、施設が充実していることなどをお話しくださいました。

続いて、医療分子生物学を研究され、がんの治療薬の開発に取り組んでいらっしゃる高澤涼子先生の研究室を見学しました。

「正常な細胞では細胞増殖がコントロールされているが、がん細胞はコントロールが効かず、どんどん増え続けてしまう。この研究室では、がん細胞の増殖を助けているタンパク質の働きを特異的に阻害する化合物について研究している。

細胞の死には2種類あり、遺伝子にプログラムされた、正常な死にあたるのがアポトーシスで、死んだ細胞は急激に収縮し、死後に他の細胞に食べられて再利用される。一方、細胞が傷ついた結果死ぬのがネクローシスで、この場合、細胞膜が崩壊し、有害物質が周辺にばらまかれ、炎症を起こす。がんでは、炎症によって痛みや苦しみが生じるので、がん細胞をアポトーシスに導くことが重要となる」とご説明いただきました。

その後、培養した肺がんの細胞においてアポトーシスがどのように起こるのかを、顕微鏡の映像を基に観察しました。

生きているがん細胞の映像

がん細胞に抗がん剤を加えた際のアポトーシスの様子

最後に、がん細胞が培養されている部屋も見学しました。

次に、薬剤師になるための学習として、調剤室内での薬の種類、扱いなどについて、根岸健一先生からご説明いただきました。

錠剤、粉薬、水剤についてご紹介いただき、いろいろな水剤を手に取って、匂いや色の違いを確認しました。

薬を使っての治療における薬剤師の役割として、「医師は処方箋によって薬の指示を出すが、薬剤師は、患者の状況を考慮し、医師と協議の上で薬の量を調整するなどして、より安全かつ有効に薬が効くよう、取り組んでいる」とお話しいただきました。

その後、注射器に注射薬を吸引し、配合変化の様子を確認する体験をしました。

次に、河野洋平先生にご指導いただきながら、軟膏板とへらを使って2種類の軟膏を混ぜ、容器に入れる体験をしました。

その後、軟膏を混ぜる機械の実演を見学し、自分が混ぜた物と、混ぜ具合を比較しました。

さらに、調剤の際に高い清浄度を作り出すクリーンベンチ・安全キャビネットについてご説明いただき、見学しました。

次に、上村先生から、薬剤師の調剤過誤防止に関する研究についてご紹介いただきました。一例として、視線を追跡できるアイトラッカーを使った、医薬品個装ケースの識別性に関する研究の一部を、研究室の学生の方にご協力いただき、体験しました。アイトラッカーを装着して、個装ケースを並べた状況を模したシートから、指示された番号の医薬品を探す際の視線の動きを解析したデータを確認しました。

ケースのデザインによって、識別のしやすさがどの程度変わるかを実感できました。

最後に、上村先生・高橋先生から、ご自身が薬学・薬剤師の道に進むと決めた理由、薬学部卒業後の進路、薬剤師のやりがいについてお話しいただきました。

さらに、薬局の現状と今後について、映像とともにご説明いただき、

「薬剤師の仕事でも、国内、海外ともにロボットがさまざまに活用されつつある。ロボットアームを使って安全キャビネット内で抗がん剤などを調剤したり、薬の棚から薬を取り出したりする作業も機械化されている。調剤する仕事などをロボットが行うようになる中で、今後の薬剤師は、患者の相談に乗り、患者にとってベストな治療となる薬を選ぶなど、人と対する仕事が中心となる」とお話しいただきました。

生徒からの質問として、「薬学を学んで、創薬の研究に進めるのか」「薬学を学んで、薬局を経営するようになると、薬学とは違う知識が必要になる。どう取り組んだのか?」などがありました。二つ目の質問に、上村先生から「自分も勉強したが、桐朋の卒業生はさまざまな道で活躍している。その繋がりの中で、さまざまな専門家と知り合い、一緒に仕事をしている」とお答えいただきました。

参加した生徒の感想です。

・先生方にお会いして、貴重な体験ができました。先生方のご説明がとても興味深く、参加の前と後では、東京理科大学、薬学部に対する印象が大きく変わりました。薬学は、薬学のことしか学ばないのではと思っていましたが、薬学に関することなら何でも扱うのだとわかりました。ありがとうございました。(高1)

・薬学部に興味があったので参加しました。実際に薬を触る体験もできましたし、お話を聞いて、薬学部の良いところ、特徴への理解が深まり、「将来、薬学の道に進むのも良いな」と思うことができました。本当に、先生方のお話を聞けて良かったと思っています。(高1)

・将来、薬学系に進みたいと思っているし、大学の研究室も見学したかったので、参加しました。内容が単にお話を聞くだけでなく、軟膏を混ぜる実習があったり、薬品に触れることができたり、たくさんの施設・機材を見学できたりして、大学で研究してみたいと強く思うようになりました。また、薬剤師の現状を知ることができ、大変参考になりました。この度は貴重な機会をご用意いただき、誠にありがとうございました。(高1)

・薬について学ぶ機会はなかなかなく、また、薬剤師とはどのような仕事か、薬剤師になるにはどのような勉強をするのかを知りたくて、参加しました。実際に薬を作ったり、充実した設備を見学できたりして、参加して良かったです。特に、薬学部ではどんな研究をしているのかを、具体的に、かつ深く学ぶことができました。今回の企画で、自分の知らない世界を見ることができました。ありがとうございました。(中3)

11月23日(土)に、本校ホールにて行われましたPTA主催講演会の様子を、本校新聞局員が記事にまとめました。ホームページでもご紹介いたします。

「大隅教授、桐朋へ来校」

去る11月23日、PTA主催で講演会が開催され、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典教授が本校に来校された。大隅教授はオートファジー(細胞の自食作用)の研究をされており、大きな功績を残されている。

講演会は、「半世紀の研究を振り返って ‐基礎研究の大切さ‐」というテーマで、約一時間にわたり行われた。主に講演内容は大隅教授の研究についてで、オートファジーのいろはから今後の展望まで、オートファジーに関する多くの内容が解説された。また、最後には今までの研究を振り返るとともに、若者へのメッセージということで我々中高生へのアドバイスを頂いた。

講演会後、場所をホールから食堂に移し、代表生徒による大隅教授への質問が行われた。主に新聞局員と生物部員がメンバーとなり、研究などに関することについて直接質問をする機会を得た。

以下に、その内容を記す。

――やりたい事を大切にというメッセージを仰っていましたが、やりたい事をやり通す際に意識すべきことは何でしょうか。

「まずもって、社会に求められている研究がストレートにやりたいことと直結していなくても心配しないでください。日本では早くから成果を上げることが求められますが、海外では、そういった風潮はあまりありません。また、仮にやりたいことがなくても、やりたい事を見つけなければならないという強迫観念に囚われる必要はありません。加えて、自分の研究室においても、オートファジーという主題に対して様々な目的で様々な分野の人が関わっているので、協力を得る際には協力にも色々な形があるということを念頭においてほしいです。」

――30年もの間研究を続けてくることができた理由に、様々な技術の発展を挙げていらっしゃいました。印象に残っている科学技術の発展は何でしょうか。

「顕微鏡技術の発展が印象に残っています。先日、最新式の電子顕微鏡に触れる機会があったのですが、オートファジーを発見した当時の顕微鏡と比較すると、分子構造の見え方には大きな違いがありました。その他の分野においても科学技術の発展には目覚ましいものがあります。色々な勉強をすることで世界の変化を知っていって欲しいと思います。その一方で、すべてを追う必要はありません。すべてを追っていると、この情報過多の現代で情報に埋没してしまいます。やりたい事をやるためのものや楽しさを勉強していって欲しいです。」

――基礎研究において行き詰った際にはどうされていましたか。また、どの様にモチベーションを維持していらっしゃいましたか。

「思っているよりも、なんとかなるものです(笑)。研究の際には、前提として大きな問いを自分のなかで持っているとよいと思います。自分が研究していることの背後にあるものを常に考え続けていればモチベーションを維持していけますし、次の課題も見えてきます。自分の研究室では、一つの事だけをやるのではなく多角的に研究を行っているので、なにかしらの発見が常にあります。研究はイチゼロの世界ではありません。正しい実験を続けていれば、必ず次の課題が見えてきます。」

――中高生の時には、どの様に将来を思い描いていらっしゃいましたか。

「高校生の時には研究者を目指すことを決めていました。しかし、その理由は消去法で、スポーツも音楽もあまり得意ではなかったのが大きな理由でした。自分の能力を活かし社会に貢献できるのではと思えたのが研究者でした。」

――研究者を志した具体的な出来事はありましたか。

「大学に入学した当初は何も計画はありませんでした。ましてや、世の中が流動的である今の現代では、早くから何かの専門家である必要はありません。じっくりと自分が何になりたいのかを問うといいと思います。私自身は最初化学の分野に興味を持っていましたが、大学の授業があまり面白くなく、そんな時に出会ったのがこの分子生物学でした。この分野には、自分をワクワクさせる何かがありました。皆さんには、ワクワクする気持ちを大切にして欲しいです。また、今その様な気持ちを持っていなくても焦る必要はありません。生きていくうちに必ず見つかります。また文系、理系といって区分は日本だけのものなので、幅広い分野に興味を持って欲しいと思います。」

大隅教授のメッセージのなかに、小さなことにも疑問を持ち続け沢山のものに興味を持ってほしいというものがあった。今回の講演会などのイベントを含め、功績を残された多くの方の考え方を吸収することは、自らの進路の幅を広げるほか多角的な視点を持つことにも有用である。このような機会に触れることは、多様化が叫ばれるこの時代で自らの付加価値をアピールするときにも大いに重要になってくるであろう。

 

オートファジーとは?

オートファジーを知る前に、タンパク質と生体膜について理解する必要がある。まず、タンパク質について。タンパク質と聞いて、多くの人が食品の中などに含まれる栄養素としてのタンパク質を思い浮かべると思うが、生物学的においてはより多くの分野の説明に用いられる。生体内の生命活性に大きく関わり、生物の生命活動とは切っても切れないのがこのタンパク質なのだ。また、すべてのタンパク質は20種類前後のアミノ酸から構成されているため、地球上の生命が一つの共通の祖先を起源としているとも言うことができる。

次に、生体膜について。細胞内の細胞小器官がそれぞれの境界として持つ膜のことを生体膜といい、それはリン脂質二重層という流動性の高い構造をもつ。また、タンパク質はリボソームで生じ、そこから生体膜を通り細胞内外へと輸送されて機能する。

さて、大隅教授が発見したオートファジーは、タンパク質分解の方法の一つである。ここで、講演会で大隅教授が挙げていた例を一つ引用したい。大隅教授は、大学で最初の生物の授業で学生たちに、「1秒間で何個の赤血球が体内で生成されているか計算せよ」という課題を与える。この課題の回答は毎秒30万細胞であり、つまり、30万細胞の生成と同時に同規模の破壊も起こっているということになる。大隅教授はこの課題を通して学生たちに、合成と分解がいかに普遍的かを伝えようとしているのである。

例の通り合成と分解は非常に重要であり、特に合成に比べ研究の対象とされてこなかった分解も同様に重要であると言える。人のカラダのタンパク質は2ヶ月から3ヶ月で完全に置き換えられることからも分かるように、私たち生命は合成と分解の平衡に支えられているのだ。また、分解の際にタンパク質は、壊れているのではなく壊されているのだということも押さえておきたい。しかもその過程では、合成の時にも劣らない多数の遺伝子が関わっているのである。

そんなタンパク質分解の方法の一つであるオートファジーは、ギリシャ語の「オート(自分)」と「ファジー(食べる)」という言葉から名付けられており、その和名を自食作用という。オートファジーでは、その名の通り細胞内のタンパク質を食べてしまうような形で分解が行われる。まず、細胞内で不要となった細胞小器官やタンパク質が、リン脂質二重層の生体膜で包まれ、オートファゴソームと呼ばれる小胞が形成される。これに各種の分解酵素を含むリソソームが融合し、内部のタンパク質などが分解されるのだ。これによりタンパク質から分解され生じたアミノ酸は、再び細胞内でタンパク質の合成などに利用される。

このようにして起こるオートファジーは、飢餓適応、細胞内浄化、抗加齢、抗原提示、胚発生、病原体排除、腫瘍抑制など、非常に重要な生理機能を併せ持ち、生物学の中でも様々な研究分野から注目が集まっている。また、医学においてもオートファジーはホットな話題であり、神経性疾患やガン、生活習慣病などとの関連が研究されている。それに伴うオートファジーの制御剤開発も近年テーマとなっており、諸外国では大きなフィールドを築いている。

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回は、保護者の方との面談期間のため午前中授業となる11月19日(火)に、桐朋高等学校卒業で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森泰夫さんにご来校いただき、「スポーツとみなさんの関わりについて」というタイトルでご講演いただきました。生徒は、中高陸上競技部を中心に、57名が参加しました。

最初に、自己紹介をしていただきました。森さんは桐朋中高、さらに大学でも、陸上競技に取り組み、大学では、連盟の一員としても関わったこと、その後、企業に就職されましたが、縁あって、日本陸上競技連盟に転職し、大会運営、広報、強化、普及などさまざまな活動を統括する役割を担当され、現在は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局次長として、大会の運営に奔走なさっていることなどをお話しくださいました。

続いて、世界陸上やアジア大会のダイジェスト映像を交えながら、以下のようなお話をしていただきました。

「一般的な人々のスポーツへの関わり方は、選手として仲間とともに『スポーツをする』、プロスポーツなどの『スポーツを見る』といった形があるが、もう一つの大切な関わりとして、スポーツ団体の運営、イベントの運営スタッフとして『スポーツを支える』立場がある。

実際のスポーツ界でも、選手として競技をする人、メディアの一員、医師や教員など、職業を通してスポーツに関わる人、大会運営においてビジネスとしてスポーツに関わる人もいるが、多くは、スポーツ少年団などでの指導の形で、ボランティアとして関わっている。

ボランティアとしての関わりでは、日常のスポーツ指導、スポーツ組織の運営においては、そのスポーツに対する専門性が求められるが、オリンピックなど、ビッグイベントのボランティアでは、専門性はさほど重視されない。

実際、「日常」にあたる陸上競技の地域大会に関わっている人数は、1年間で100万人余りとなり、「非日常」にあたる2020年のオリンピック・パラリンピック大会で想定しているボランティアの人数を上回っている。スポーツはボランティアに支えられている。

ところが、忙しさ故の余裕のなさ、地域の繋がりの希薄化といった社会的環境の変化、さらに、これまでボランティアで関わってきた人が高齢化し、世代交代も進んでいない現状などから、スポーツを支える存在の確保が難しくなっている。

今後を考えるポイントとして、一部に負担が偏るのではなく多くの人で役割を分担する、多様な関わり方を推奨するなど、支え方の工夫が必要だ。特に、日本では一つの競技のみに関わる人が多いが、異なる競技も運営するなど、多様な関わり方を進め、新たな発想が生まれる可能性を高めたい。さらに、日常的にスポーツに親しむことで、運営の意識も高まるという流れも大事にしたい」とお話しいただきました。

続いて、スポーツイベントでの組織体系、実際の業務についてご紹介いただきました。

また、スポーツの普及に向けた取り組みとして、従来は、「スポーツをする」人を増やすために、ジュニアの育成、指導者のレベルアップ、大会参加の機会の増加などを意識していたが、今後は、①競技を続けられる環境を整備する、②「スポーツを見る」人の増加に向けて、競技大会の魅力を高め、ファンとなるきっかけを用意する、③「スポーツを支える」人を増やすために、スポーツによる社会貢献の意識を高め、社会的に支持される取り組みを進めるなどのことが必要となる、とお話しいただきました。

最後に、森さんから、今後スポーツに関わる存在である中高生にメッセージをいただきました。

「自分の目標として、まずは2020年のオリンピック・パラリンピック大会を安全に運営し、成功に導くことがある。加えて、オリンピック・パラリンピックの成功をきっかけに、スポーツの、社会のプラットフォームとしての位置付けを高め、今後スポーツに関わり、支えていく人材を育てていきたい。

自分がスポーツを支える世界に身を置くようになったのも、社会で役立つ自分でありたいと願っていた中で、陸上競技連盟のオファーと周囲の勧めがあり、最終的には、スポーツに恩返ししたいという思いから決断した。

社会で活躍する人の特徴として、素直で前向きな意識と情熱を持ち、さまざまな経験と出会いを大切にしていることがある。ぜひこうした点を心かげてほしい。

また、何かを判断し、決定する立場となると、自分の下した判断に否定的な反応を示す人がいて、時に孤独を強く感じる。そんなとき、支えとなってくれるのは、若いときからの友人である。中高時代の友人の持つ意味を認識してほしい。

さらに、今後社会で活躍していくには、一つのことを突き詰め、極める中で身につく力と、多種多様な経験を持ち、柔軟な考え方を持てる力とを併せ持つことが重要になると自分は考えている」とお話しいただきました。

話の締めくくりとして、「自分がこのような形で、スポーツに、オリンピック・パラリンピックに関わるとは、10年前、20年前には思いもよらなかった。だからこそ、きみたちに『あり得るかもしれない人生』ということばを贈りたい。人生にはさまざまな可能性がある。そんな意識も持ちながら、今後を過ごしてほしい」とエールを送っていただきました。

生徒からの質問として、「森さんが陸上で取り組んでいた種目は?」「森さんや同期の人たちは陸上競技で大活躍したと聞いた。活躍できたのはなぜか。どんな練習をしていたのか」といった陸上競技に関わるものと、「スポーツのビッグイベントでは経済効果も話題にはなるが、ボランティア精神に基づく貢献が欠かせないと聞く。実情はどうか」「イベントが開催され、盛り上がりを見せた競技も、しばらくすると熱が冷めてしまうと感じる。この点をどう考えているか」など、スポーツを支えることへの関心からの質問もありました。森さんから、「的確で鋭い質問があり、意識の高さが感じられて嬉しかった」とのおことばもいただきました。

参加した生徒の感想です。

・普段、直接お話を聞く機会のない、五輪大会の組織委員会の方のお話を聞いてみたいと思い、参加しました。実際に組織委員会で働いている方から生のお話を聞け、大変刺激になりました。われわれの質問に真摯にお答えいただき、ありがとうございました。(高2)

・オリンピックに興味がありましたし、一度“大学で研究してみませんか”の企画に参加してみたいと思っていたので、参加しました。森先生のような、スポーツに関わる仕事をしている人がいると実感できましたし、どのような展開の中でこの仕事に就いたのかを教えていただき、参考にしたいと思いました。スポーツはプレイするだけではないことがよくわかりました。とても興味深いお話で、楽しく聴くことができました。(高2)

・校内でお話をうかがうことができ、参加しやすかったです。スポーツに関わる分野やその人数、大会のことなど、幅広くお話しいただき、将来、スポーツにどのように関わることができるのか、理解できたように思います。また、心の支えになったり、強みにできたりするお話も聞けて、参加して良かったと思いました。自分は、選手としてスポーツに関わることは無理ですが、将来何らかの形で関わりたいとぼんやり思っていたので、大変参考になりました。お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。(高2)

・将来の選択肢として、オリンピックに関わることも考えていたので、ぜひお話を聞きたいと思い、参加しました。森さんが若い頃からオリンピックに関わっていたわけではないと聞き、正直驚きました。オリンピックだけでなく、スポーツ全般に関わることの意義についてもお話しいただき、自分の価値観が変わったように思います。僕も将来、何らかの形でスポーツに関わろうと思います。貴重なお話、ありがとうございました。(高2)

・陸上部のOBの方からのお話でしたし、将来の展望が広がるのではと思い、参加しました。お話はオリンピックに関する専門的な内容が多く、組織などについて学べて良かったと思いました。また、一つのことをずっと続けることが大事だと思っていましたが、途中で切り替えるという選択によって成功することもあるとわかり、大変参考になりました。来年は高3で受験なので、オリンピックを全力で楽しめるかはわかりませんが、できる範囲で精一杯楽しみたいと思っています。オリンピック、今から楽しみです。(高2)

・来年、東京でオリンピックが開催されるため、運営側はどんな仕事をしているかに興味を持ち、また、スポーツに関わる仕事について知りたかったので、参加しました。組織委員会の活動は、単なる実行委員会とは違い、どうすれば人々がスポーツに関心を持つのかなど、社会の深いところまで考えた上で運営していることを知り、勉強になりました。スポーツに関わる仕事においても、ただスポーツを楽しむだけでなく、選手へのサービス、ビジネスとしての収益など、さまざまなことを考え、進めていく必要があると実感できました。貴重なお話を教えていただき、ありがとうございました。(中3)

 

さる10月16日(水)に高1学年行事「学年の日」が行われました。「学年の日」とは、毎年の高一学年が主体となり何らかの文化的行事を企画するもので、毎年異なる様々な内容の行事が執り行われています。今年は「男子校で妊娠・出産について考える」と題し、性、妊娠・出産、そして育児について学習する機会を持ちました。午前中は、東京都助産師会より7名の助産師の方々にご来校いただき、「妊娠」「出産」といったことをテーマに各クラスで講演会をしていただきました。午後のセッションでは、助産師会を通じてお集まりいただいたお母さん方や、近隣にお住いのお母さん方にご自身のお子さんを連れてきていただき、生徒が実際に赤ちゃんとふれあいの機会を持つ交流会を開きました。

桐朋という、女性が圧倒的に少ない環境で日々を過ごす中、馴染みのないテーマ設定に最初は戸惑っていた生徒諸君でしたが、事前学習を重ねる中で、徐々に身近な話題・自身の問題として捉えられるようになっていきました。行事後の感想では

「女性のことをもっと理解をしていくべきだと思った」

「以前よりは少しオープンな形で性について家族と話すことができるようになった」

「自分もあのように可愛がってもらって、ここまで育ってきたということを再認識した」

「親孝行をしたいと思った」

などといったコメントが多くみられました。以下に、事前学習から当日までの様子、そして生徒のコメントに加え、赤ちゃんを連れてきてくれたお母さん方のコメントを紹介いたします。


事前学習

事前学習では、映像教材として助産師を特集した際の『プロフェッショナル』を視聴しました。また、本校家庭科教員の講義を聴きました。自身の妊娠・出産のときのエピソードや写真などを紹介しながらの講義でしたので、生徒諸君は興味深く聴けたようです。さらに生徒は、各個人で何らかのテーマを設定し、調べ学習をしました。そして最後に事前学習のまとめとして、ドキュメンタリー映画『うまれる』を鑑賞しました。映画の中では、それぞれに異なる問題(虐待を受けて育った夫婦、障害を抱えた子どもをもつ夫婦、死産を経験した夫婦、不妊治療に取り組む夫婦)を抱えた実際の4組のカップルの様子が描かれており、生徒にとっては大変印象深い作品であったようです。


当日

AMセッション:助産師の講演会 「妊娠・出産に立ち会う中で~命の大切さ~」

まずは事前学習の一環で観た『うまれる』についての感想を述べ合い、ディスカッションもしました。「(父)親になるということの意味」や「親は子をなぜ愛することができるのか(または中にはそうではないケースもあるのか)」といった点に話題が集まっていたようでした。

その後は、助産師さんの講演を各クラスで聞きました。出産という、命を迎える瞬間に日々立ち会われている「助産師」という職業をされている方々だからこそいただける貴重なお話の数々を、生徒たちは真剣な表情で聴いていました。出産の苦しみ・大変さ、そして喜びについてお話をいただく中で、命の尊さや生まれてきたことの奇跡、そして自身の親への感謝の気持ちを新たにしている生徒が多かったようです。


PMセッション:赤ちゃんとの交流会~育児を体験する~

今回の行事の趣旨にご賛同いただいたお母さん方にご自身の赤ちゃんを連れてきてもらい、本物の赤ちゃんとふれあう機会を持ちました。各クラスに2~3名の赤ちゃんに来てもらいました。それぞれのお母さんから妊娠・出産時のエピソードを伺ったり、名前の由来や好きな遊びなどを教えていただきました。赤ちゃんの月齢は、大きくても1歳にやっとなったばかりといったところ。中にはまだ生後2か月の子もいました。

高校一年生の生徒諸君にとって、普段身近に赤ちゃんと触れ合う機会というのはなかなかないものです。慣れない所作の連続に悪戦苦闘しながらも、赤ちゃんを慎重に抱っこさせてもらい、泣いてしまった子を懸命にあやす姿は、大変微笑ましいもので、「頼もしいお兄さん」、はたまた「優しいお父さん」の顔をのぞかせていたように感じました。中には、白湯を飲ませる体験をさせてもらったり、おむつ替えをさせてもらったりした生徒もいたようです。


以下、生徒のコメントを紹介します。

A君

今日の学年の日を通して、お母さんに対してもっと感謝をしないといけないな、と強く感じました。事前学習から当日まで、様々な資料を見て、貴重なお話を聞いたことで、出産はまさしく命がけであり、さらには命がけで出産した後も長い育児がある、ということを知り、母親になるということはとても大変で覚悟のいることなのだと感じました。また、映画「生まれる」や助産師の方のお話を聞き、自分が産むわけではない男は、父親という自覚が産まれるまでわきにくいのだな、と思いました。しかし、今回の学年の日で学んだことを生かして、自分が父親になるときは、ちゃんと自覚を持って奥さんの手助けをしていきたいです。助産師さんのお話の中で印象に残ったのは、「なんでもほぼ完璧がよい」ということと「自分の居場所を見つけるとよい」という2つのことです。僕は割と完璧を目指すタイプだったので、「ほぼ完璧」の方がよい、というのは目から鱗でした。「完璧」を何事にも求めていると、息切れしてしまい、結果的に中途半端になってしまうので、これからもっと肩の力を抜いて、何事もこなしていきたいです。また、「自分の居場所」があればたいていのことはどうにかなると思うので、「自分の居場所」を大切にしていきたいです。今まで僕は、子供はほぼ100%産まれてくるものだと思っていましたが、それは日本の医療がとてもレベルが高いものだから、ということを知り驚きました。どこか「出産はそこまで大変ではないだろう」という思いがあったのですが、学年の日を通して子供が産まれるのは本当に奇跡なのだなと思いました。最後に、男子校でこのような経験ができたのは貴重だと思うので、これからしっかりと生かしていきたいです。

 

B君

今回の「学年の日」は僕にとって忘れられない一日になった。事前学習では寝る間も惜しんで妊婦さんのサポートをする助産師さんがいるということを知って、この仕事をずっと続けられるというのはすごいなと思い、中山めぐみ先生の話では、実際に出産を体験したからこそ言える出産の痛みや、妊婦さんが妊娠中、とても苦労しているんだということがとてもよくわかりました。映画『うまれる』では、様々な夫婦の姿が描かれていて、出産するということ、子どもを育てるというのが、どういうことなのかなどがとても具体的に描かれ、夫婦が抱える悩みもありのまま伝えられていたので、自分も将来そういったことを体験する時が来るのかな…と感じました。

そして、当日、助産師さんが来てくださって、僕たちの疑問になるべく多く答えてくださった。僕は兄弟がおらず一人っ子なこともあり、あまりこのような話は知らないことが多く、興味を持った。

最後の赤ちゃんとの交流会はとても新鮮だった。テレビでは赤ちゃんとを見ることはあっても、あそこまで近くで本物の赤ちゃんを見たことがなかったので、わくわくした。抱っこして近くで見るととてもかわいかった。なぜ親が子どもを大切にするのかがすこしわかったような気がした。昔、自分もあんな風だったのかと思うと少し笑ってしまった。

今回、「学年の日」が無かったら、僕が生まれて数カ月しかたっていない赤ちゃんと交流することはできなかったと思う。貴重な体験ができたので、とてもよい一日になりました。

 

C君

実際に助産師さんが来て話をしてくれるというのは、最初の方に話されていた通り、僕たち男子高校生にとってとても貴重であり、滅多にないことだと感じた。助産師さんの映像を見た時から、助産師という職業は数多くの妊婦さんたちに自らの時間を多く削って向かい合っていくものだというイメージが強くついていたので最近はちゃんと寝る時間を取れていると聞いた時は何か安心した。妊婦に真剣に対応するということがどれほど大変な事かは妊娠・出産する際に何が起きるか、何をすべきかという今日の話でよく分かった。というのも、流産であったり妊娠する以前の話に始まり、望まずに妊娠してしまい高い金を払って中絶せざるを得なかったケース、僕らと同じような年齢で家庭を築くことを望んだりなど、実際に経験されたケースや事例を用いて多くの問題点や難所にまで話があった。こうした妊娠や流産、女性の身体にまつわる事だけでなく、出産に立ち会う際に男側はどうあるべきなのかなど、一見今は関係のないような話でも将来経験するかもしれない事についても色んな話があって他人事ではなくいくつかは自らも体験することなのかと感じた。

赤ちゃんと触れ合う機会をもったのは初めてで何か小動物を見ているような気がしたのと共に、簡単に傷つけてしまいそうでとても不安になった。実際、自分の体の上にのせてみるとより一層なんだか人ではない何か別の小さな生き物のように感じた。ビデオや助産師さんのお話しであったように、妊娠してから出産までどのような危険やリスクが伴うか、出産の後も育児があったりと大変なことが多く重なる妊娠・出産だけれど、その後にあれほど小さく儚い命を手にするのであればしっかりと、自分であれば男として真剣に向き合っていかなければならないなと感じた。

 

D君

助産師さんや赤ちゃんを連れてきてくれたお母さんたちに感謝したいです。とてもためになったと思います。テーマを聞いて僕が最初に思ったことは「つまらなそう」「だるい」といったものでした。正直なところ,子どもが欲しいとは思っていたにもかかわらず,妊娠,出産といったものには点で興味がありませんでした。初めにビデオを見たときもそれは変わりませんでした。しかし,調べ学習や,4回の事前学習の中で徐々に僕の中で関心というものが芽生えてきました。そこで感じたことは,妊娠,出産が想像以上に大変であるということ。また,自分もそのように生まれてきたのかという実感でした。今まで,このようなことを考えていなかったということが,何か不思議に思えてきました。また,自分が将来父親になり,ビデオの中のようなことを経験するかもしれないと真剣に考えたのも今回が初めてでした。映画「生まれる」もリアリティが高く,とても興味深いものでした。

当日は,まず助産師の方の話を聞くことになりました。助産師さんは話が上手いように感じました。想像以上に関わりのある話も多く,楽しむことができました。少し聞くのが恥ずかしいような話も快く聞くことができました。本当に頼りになる存在なのだなと感じました。午後は赤ちゃんとの交流会でしたが,想像以上のかわいさにびっくりしました。自分も昔あのような姿だったとは想像しがたいです。泣いている姿も愛らしかったです。赤ちゃんを抱いて,改めて赤ちゃんが欲しいと思うようになりました。将来結婚して子供を持つというのは人生においての1つの大きな目標となりそうです。あと,赤ちゃんをふだん犬を抱いているように抱いたとき,泣き止んでくれたのがとてもうれしかったです。赤ちゃんの一番かわいいところは間違いなく手だと思います。とても良い勉強になったし,いい経験になったと思います。

 

E君

僕が抱っこさせてもらった赤ちゃんは、生後3か月ぐらいの赤ちゃんで、とてもかわいかったです。僕は姉弟や親戚の中では一番下なので、赤ちゃんを間近で見たことがほとんどなくて、どうしたらいいのか分かりませんでした。どれぐらいの力で触っていいのか分からなくて、とてもとまどいました。実際に抱っこすると、とても小さくて、軽いのか重いのかよく分からない不思議な感じでした。でも自分の腕の中でちゃんと動いていて、何よりも温かかったです。赤ちゃんに指を握ってもらえました。やわらかくて、気持ちよかったです。肌はぷにぷに、すべすべで、これが赤ちゃんなんだと思いました。

僕は子どもがあまり得意ではなく、どちらかというと嫌いな方です。それは僕が末っ子として育ったからかもしれません。今日、赤ちゃんと間近にふれあって、とてもかわいいと感じました。しかし、実際に育てるとなると、泣いたり、わがままを言ったりして、とても大変で自分にはできないと思います。自分の子どもだったら、なんでもかわいいと感じて、育てられるのでしょうか?僕には分りません。将来、家庭を持ちたいとは思っています。それは今の家族との生活が幸せだからです。でも、自分が親になる想像が全くできないので結構、不安です。

今回、学年の日を通じて、赤ちゃんの誕生、それから親になるということについても学べてよかったです。自分の将来について、もっとしっかり考えようと思いました。

 


最後に、赤ちゃんを連れてきてくださったお母さん方のコメントを紹介します。

Aさん

はじめはためらいがちだった生徒さん達が徐々に慣れてきて、たくさんかわいがってくれる様子が印象的でした。男の子も機会が与えられれば、赤ちゃんとの触れ合いをしてみたいのだと感じました。私にとっては初めての男の子育児なので、将来像がなかなか想像できなかったのですが、男子高校生もかわいいなと感じ、楽しみになりました。高校生達が赤ちゃんを抱っこして何を感じたのか知りたいと思っています。触れ合う中で、映画『うまれる』について話をしてくれる子もいました。男の子達にとって、また性別に関わらず高校生にとって、他人事になりそうな妊娠・出産というテーマについて扱うことは大切だなと思いました。今回の触れ合いが、生徒さん達が何かを考えるきっかけになってくれたら嬉しいなと思います。かわいがってもらい、ありがとうございました。お疲れでした。

 

Bさん

昨日はとても良い経験をさせていただき、ありがとうございました。娘は予想通り抱っこしてもらう時はぐずりましたが、それ以外はリラックスしていて普段通りの姿を見ていただけたかなと思います。生徒さんや先生方が「可愛い!」「(ズリ這いが)速い!すごい!」と良いリアクションをして下さったので、娘もご満悦の様子でした。

抱っこしたいと名乗り出てくれた子、泣いて熱くなった頭を「すごい!熱い!」と触ってくれた子、手足を触って「やわらかい」と優しい顔をしてくれた子、高校生の男の子がこんなにキラキラした素直な笑顔をしてくれるのかと、私が感動してしまいました。妊娠・出産の体験を話した時も、皆さん顔を上げて熱心に聞いて下さいました。きっとこれからの将来に向けて、そして身近な家族や自分の親に向けて、道や乗り物で出会う妊婦さんや子連れさんに向けて、今までには無かった新しい感情が生まれたのではないかな♪ 短時間の触れ合いがきっと生徒さんの心に、言葉にはならなくても何かしらの衝撃を与えたのではないかな♬そうだといいなあ!と思っています。先生方も色々とお気遣い下さいました。性教育にこんなに理解と熱意のある先生方が、世の中にたくさんいたらいいなと思いました。またこのような機会があったらぜひ参加してみたいです。ありがとうございました!

 

Cさん

今回、参加させて頂き、こちらがよい思い出となりました。とてもステキな場所(緑とスタイリッシュな雰囲気)で、優しいお兄ちゃん達に囲まれ、大切に触れられ、注目された体験は娘にとって不思議で好奇心いっぱいのひとときになったと思います。

この企画のおさそいを受け、「男子に赤ちゃん!」ぜひ参加したいと思いました。命の尊さは、自分が大切にされた経験を通して、人を大切に尊ぶことができると思います。生徒さんの様子から、ご家族にも先生方からも、大切にされ育ててもらった子達だなあ、感じました。実際に赤ちゃんと過ごしたひとときは、(今後いつか)その思いを忘れかけたときのストッパー(安定剤)になるのでは?と思います。自分がイヤになったり、全てうまくいかない、自分なんて!と思ったときに、ぬくもりを思い出してほしいです。また女性と触れ合うときに、その先の命にもつながっているという自覚を男性の立場で持ってほしいと思います。

抱っこには、ずっと娘は泣いていて、「自分は赤ちゃんに好かれていない」とマイナスの印象を持ってしまった生徒さんがいないか、気になりました。無表情でコトバのない生徒さんも、それぞれに感じているものがあると思います。みなさん。とても大切に娘に触れて下さいました。その様子は母として安心して抱っこして頂けました(泣いているので、私も少し焦りましたが、泣く原因や抱っこの仕方など、助産師さんがその場で仕切って見せてあげるとよかったかな?と思います。泣いていたので、母の私に託して下さいましたが、抱き方などもっと教えてあげられたり、生徒さんの不安要素をもっと減らすことはできたのでは?と、後になって思いました)。

また、生徒さんの個別テーマ研究の内容や、事前学習を経ての、赤ちゃんとの触れ合いに後の思いなど、聞いてみたいなと思いました。

最後に、学校の入り口から、お見送りまで、先生やみなさんに大変丁寧に接して頂き、ありがとうございました。案内してくれた3人の生徒さんとは、特に気さくに会話ができて楽しく安心しました。担任の先生がお写真を撮って下さり、可能であれば見たいなあと思います。

このような機会は、ぜひ続けて頂いて、高校生男子の立場で赤ちゃんとの触れ合いがその後に活きていくと嬉しいです。ありがとうございました。

 

生徒諸君へ。

今回の経験は、明日すぐに役立つ知識とはならなかったかもしれません。

でも、10年・15年後・20年後、自身が親になろうかという時に、

必ずや助けになることを学ぶことができた思います。

その時には、今回のことを思い出して、

パートナーとの関係づくり、そして育児に役立ててもらえたら嬉しいです。

 

さる10月15日~19日の日程で高2修学旅行が実施されました。

高2修学旅行は例年、4泊5日のうち前半2泊がクラスごと、後半2泊が学年全体で京都泊という行程で実施されています。

行程の概要は以下の通りです。

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◎15日(火)~17日(木)クラス別行動

A組 東京→石川(泊)→兼六園→小浜(泊)→天橋立→京都

B組 東京→城崎(泊)→神戸→大阪(泊)→造幣博物館→京都

C組 東京→金沢→石川(泊)→滋賀(泊)→大阪→京都

D組 東京→名古屋→高山(泊)→金沢→石川(泊)→京都

 

E組 東京→高知(泊)→大歩危峡→琴平(泊)→高松→鳴門→京都

F組 東京→小豆島(泊)→高松→鳴門(泊)→大阪→京都

G組 東京→しまなみ海道→道後(泊)→兵庫(泊)→神戸→京都

◎18日(金)京都班別自主研修

 

◎19日(土)京都コース別研修

比叡山コース … 比叡山延暦寺、慈照寺銀閣、清水寺

八ッ橋コース … 八ッ橋庵とししゅう館、二条城、教王護国寺、蓮華王院

トロッココース … 天龍寺、嵯峨野トロッコ列車、化野念仏寺、嵯峨野散策

伏見・宇治コース … 伏見稲荷大社、萬福寺、平等院

座禅コース … 高台寺、蓮華王院、清水寺

京大コース … 京都御所、京都大学

映画村コース … 東映太秦映画村、教王護国寺

和菓子①コース … よし廣、北野天満宮、龍安寺、鹿苑寺金閣

和菓子②コース … 老松、北野天満宮、龍安寺、鹿苑寺金閣

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各行程は、修学旅行委員の生徒たちが、クラス内・委員会内での話し合いを通じて作り上げていきます。

以下に修学旅行委員として仕事にあたった生徒たちの、旅行を終えての感想を掲載します。

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京都を、みんなで。

天気、曇り・時々雨。睡眠不足に、たまった疲労感。最悪のコンディションで迎えた、3・4・5日目の京都見学。私は、委員長でありながらも、この状況をどうすることもできず、心苦しく思っていました。せめて自分だけは、空元気でも出して雰囲気を作ろうかと、出しゃばった考えを持つほど焦っていました。しかし、そんな悩みは一瞬もかからずに消し飛びました。私はどうしたかと言えば、ただ周囲を見回しただけでした。天気が晴れたわけでも、絶世の美女が通ったわけでもなく、ただそこにあったものは、本当に楽しそうに笑っている、クラスメイト達でした。

「俺も楽しまなきゃ!」

委員として準備してきたくせに、本番で楽しめないなんてもったいない、と、私はそう思わされました。クラスみんなで行く旅行は、本当に素敵なものなのですね。

2-A 名原 知則

 

私の行動班は京都国際マンガミュージアムに訪れた。日本の漫画がほとんど所蔵されており、日本漫画の全てを知ることができる博物館だ。棚に並べられたマンガの冊数はまさに圧巻だった。やはり外国人観光客もたくさんおり、世界的な日本漫画の人気を再認識させられた。興味深かったのは年代別の日本漫画の展示である。展示されているものはどれも名作ばかりで、時代ごとの世相が反映されていたものが多かった印象だ。

電子媒体が広く普及される現代で紙の漫画がサブカルチャーとして生き続けるのは、描かれた絵やセリフに映像や写真以上の重みがあり、それでいてキャッチーでわかりやすいという特異的な二面性ゆえのものであると改めて感心させられた。立派な日本文化の1つとして確立された漫画の今まで感じられなかった新たな側面が理解できてよかった。このマンガミュージアムがもっと世界に知ってもらえることを祈っている。

2-E 荒殿 惇

 

僕のクラスは、クラス別で高知、琴平に行った。その中でも特に印象に残ったのが写真の大歩危の景色である。行った日は天気が良く、観光するにはもってこいの日だった。大歩危を流れる吉野川は透き通っており、周りの景色も最高だった。特に鉄道好きの僕には川と並行してすぐ近くを走る土讃線の風景がとても印象的だった。

遊覧船にはガイド兼船の操縦士の人がいるが、その人の話し方が特徴的すぎて、一番肝心な大歩危の話は頭を素通りしてしまった。

僕たちのクラスはアンパンマンミュージアムにも行った。高校生にもなってアンパンマン・・と思ったが、中に入ると、友達と一緒に幼稚園の頃を思い出し、想像以上に楽しかった。

桐朋生活最後のビックイベントとなったが、色んな思い出が残り、最高だった!!

2-E 角田 一騎

 

僕達のクラスは、クラス別行程で名古屋、高山、白川郷、金沢、福井、琵琶湖に行きました。写真は金沢市の”ひがし茶屋街”で撮ったものです。行程では、金沢市内は班別行動となっていて、ひがし茶屋街に行く班もあれば、近江町市場、金沢城に行く班もありました。ひがし茶屋街や高山市内は古い街並みが残っているということで、修学旅行に行く前からそのような街並みの写真を撮ろうと決めていました。高山市内の写真も撮ったのですが、ひがし茶屋街の写真の方が雰囲気が出ていたので、こちらの方の写真を選びました。

修学旅行委員としてこの旅行に関わり、全体でも班別行動でも、生徒が各自でこの旅行を楽しんでいたのではないかと感じました。最後に、このクラス別行程はロング・ホームルームなどでクラスの人達が協力してくれたからこそ出来上がったものだと思います。クラス全員に感謝したいと思います。

2-D 川﨑 一生

 

 

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、夏休み期間の8月30日(金)に電気通信大学を訪問し、Ⅰ類(情報系)メディア情報学研究室とⅢ類(理工系)化学生命工学研究室を見学しました。きっかけとして、2019年度より本校および桐朋女子中高が、電気通信大学と中高大連携協定を締結したことがあります。そのため、今回は初の試みとして桐朋女子中高と合同で実施しました。見学会をコーディネートいただいたのは、電気通信大学アドミッションセンター特任教授の三宅貴也先生です。参加したのは、桐朋中高は、高校2年3名、高校1年2名、中学3年1名の計6名、桐朋女子中高は高校1年7名、中学3年3名の計10名です。

最初に、研究設備センターの様々に設備ついてご紹介いただき、ヘリウム液化機などを見学しました。

次に、Ⅲ類(理工系)化学生命工学プログラム教授、石田尚行先生からご説明いただきました。

まず、電気通信大学のご紹介がありました。

電気・通信だけでなく、幅広い理工学領域を学べる理工系総合大学であること、文部科学省による研究大学強化促進事業において支援対象となり、さまざまな研究の拠点にもなっているので、優れた研究設備を有していることなどを教えていただきました。

次に、化学生命工学プログラムの説明として、所属されている先生方と、研究内容をご紹介いただきました。その中で、高大連携を行う意義として、「高校生が、大学における化学を知り、研究の様子を見聞きすることで、化学が、高校での学習を遥かに上回る広がりを持ち、発見、発明の可能性を秘めたクリエイティブな分野だと実感してもらえる良さがある」とお話しいただきました。

続いて、「蛍光物質の合成」のデモ実験を見学しました。実験内容は、鈴木(クロス)カップリングの反応に関するものです。鈴木(クロス)カップリングの反応では、パラジウム触媒によって別種の炭素を結合することができ、これにより、高血圧の治療薬や液晶材料など、さまざまな工業物質が製造、開発されているそうです。この合成法の開発によってR.Heck教授、根岸栄一教授、鈴木章教授の3人が2010年にノーベル化学賞を受賞しています。最近の電通大の研究でも、この合成法がさまざまに活用されているとご紹介いただきました。

デモ実験では、紫外線を放射するブラックライトを当てても光を発しない有機物を混ぜたアセトン溶液に、パラジウムを加えて合成し、そこにブラックライトを当てると、黄緑色に発光するように変化する様子、

さらに、それにヘキサンを少しずつ加えると、ヘキサンが水と混ざらない性質を持つため、上層がヘキサンに溶けている有機物、下層がアセトンに溶けている有機物の二層に分かれ、有機物の環境の変化によって、蛍光物質の色が変化する様子を見学しました。

最後に、蛍光についてもご説明いただき、蛍光灯の仕組みとして、「蛍光管の両端に電圧を加え流れ出た電子が、蛍光管内にある水銀に衝突すると、紫外線が発生する。その紫外線が蛍光管に塗ってある蛍光物質を発光させることで、蛍光灯は明るくなる」と教えていただきました。また、光は足すこと、引くことができる性質を持ち、この性質をもとに、光の三原色を組み合わせて、テレビやスマートフォンのディスプレイが成り立っていること、さらに、液晶と有機ELの違いについてもご説明いただきました。

生徒の質問として、「蛍光物質が光る仕組みはわかったが、光らない物質があるのはなぜか」がありました。

次に、Ⅰ類(情報系)メディア情報学プログラム教授で、桐朋高校31期の西野哲朗先生からご説明いただきました。

最初に、自己紹介がありました。桐朋には高校から入学され、早稲田大学理工学部数学科に入学、大学院を経て日本IBM株式会社の研究所に勤務した後、いくつかの大学で研究され、1994年から電気通信大学にいらっしゃるとのことです。

続いて、コンピュータサイエンス(情報科学・計算機科学)についてご紹介いただきました。

「コンピュータサイエンスでは、コンピュータのハードウェア、ソフトウェアの両方を研究し、科学(理論に当たる内容)と工学(作り方に関する内容)をともに扱っているが、この研究室では、未来のコンピュータ上で実行されるソフトウェアの研究をしている」とご紹介いただきました。

具体的な研究内容として、自然言語処理にあたる「チャットボット(人と会話するような感覚でロボットやプログラムを利用できるもの。例としては、iPhoneのSiriなど)」について、ご説明いただきました。

「対話システムには2種類あり、特定の課題を達成することを目的とするものと、雑談的に対話を続けるものとがある。後者の原点にあたるものとして、1966年にMIT教授のJ.Weizenbaumが開発したELIZAのシステムがある。ELIZAと比較して、Siriなどのシステムは音声認識の精度は向上しているが、言葉と言葉との関係を解析する言語理解、発言の意図の理解の点では不十分と言わざるを得ない。特に、意図の理解について、J.Weizenbaumは『コンピュータには、人の言葉の理解は不可能だ』とし、その理由として『人間もできていないから』と述べている。確かに、われわれも他者の話を100%理解できているわけではない。これらの点により、チャットボットは、相手の発言のうちキーワードを元に対話しているに過ぎない。現在、チャットボットの高機能化を意図して、AIなどの活用が進められている。代表例は、IBMのWatsonというアプリ群で、文の意図を分類する自然言語分類のアプリなどが活用されている。現在、IBMは、コンピュータ本体を作成するのではなく、コンサルティングのできるAIの開発に力を入れており、コンピュータをプログラミングして使うのではなく、あらゆる情報を元にコンピュータに学習させ、人との対話を通じて、人の意思決定を支援できるシステムの開発を目指している」

さらに、初期のチャットボットと現在のものとの能力の違いを、会話例を通してご紹介いただきました。

続いて、図書館案内ロボットとして、現在開発中であるSotaによるデモンストレーションを見学し、

研究室の大学院生の方からシステムについてご説明いただきました。

まとめとして、西野先生から「現在の人工知能による対話システムは定型の会話の範囲にとどまっていて、人間同士の対話にはほど遠い状況である。シンギュラリティが話題になったりはするが、まだまだ開発が必要な状況にある。きみたちにもぜひチャレンジしてほしい」とお話しいただきました。

さらに、コンピュータゲームに関するお話では、チェスや将棋などの名人とコンピュータとの対戦についてご説明いただきました。

「以前はチェスをするプログラムを組んでいたので名人のアドバイスが必要だったが、現在は機械学習として、コンピュータに過去の棋譜などの記録を学習させている。ただし、こうした機械学習ができるのは、正解のデータがたくさんあり、統計的に処理できるものだけなので、人生相談など、価値観を伴うもの、個性が必要となるものに対して、AIは何もできない」

また、最近、注目されている量子コンピュータについてもご紹介いただきました。西野先生は量子コンピュータを草分け的に研究されてきた方だそうです。

最後に、大学の選びにおける着目点についてアドバイスいただきました。

次に、情報理工学研究科基盤理工学専攻の助教で、桐朋高校52期の平田修造先生から、「令和からの時代こそ桐朋生が活躍する時代」というテーマでお話しいただきました。

まず自己紹介がありました。桐朋中高を卒業後、東京農工大学に進学、大学院を出てメーカーに就職。その後、ジョージア工科大学に留学し、博士号を取得。九州大学・東京工業大学で研究され、昨年度より電気通信大学にいらしたとのことです。平成28年には日本化学会進歩賞、今年は文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞なさっています。

ご自身のここまでの歩みを振り返って、次のようなお話をしていただきました。

「自分には、桐朋中高で学んだ、自主・自由の精神が染みついていると思う。『自由には責任が伴うし、自由の怖さもある。しかし、責任を持って自由を生かす行動をすれば、それは強みになる』と考えている。

現在、分子を反応させて、強く、きれいに光る物の作成について研究をしていて、この技術は、有機ELテレビ、スマートフォンのディスプレイなどに利用されている。

以前の開発は、研究者が経験に基づき、開発方法を考えていたが、現在は、あらかじめコンピュータでシミュレーションした上で、方法を検討しているし、将来は、AIの活用によって、シミュレーションの範囲が広がり、スピードも速まるので、開発が成功する確率は格段に上がっていくだろう。

しかし、より良くAIを活用するには、AIの学習内容を優れたものにする必要がある。学習はデータによってなされるのだから、どういうデータを学ばせるかがポイントになる。そのため、データを確かなものにするには、実験の精度を向上させつつ、その実験値と相関を取ることが可能な計算方法を見出すことが求められ、そこに研究者の力量が関わってくる。

また、以前の教育は、いかに速く解くかが求められ、教わることを中心とする形で行われていた。2000年以降、社会でオンリーワンが話題になり、新しい価値を生み出すイノベーションが重視されるようになったが、教育の世界では新しい方法論が見出しきれず、従来の速く解くという教育から抜け出せていない。従来のやり方の限界が叫ばれている昨今では、教わるのではなく、自分で新たなものを生み出す力を持った人が活躍し始め、注目されている。

桐朋で学んだ自由、自主の姿勢は、人と違うことでも、自分が関心を持てば、積極的に挑戦し、行動する勇気につながる。実際、自分自身も、自分から学ぶ、興味を持って新たなことに取り組むという習慣が自然と身についている。さらに、自由には責任が伴うという意識も強く、やらなければいけない事は行いながらも時間を見つけて数多くの新しい事に挑戦することで、自由に行ったからには何か一つでもいいので斬新な結果を生み出すことで責任を果たそうという意識が高い。そして、もう一つ大切な点として、取り組むことを楽しく感じれば、苦にはならないという感覚も持っている。楽しむ姿勢も、桐朋の自主・自由の中で養われたように思う。このように桐朋の教育には、現代に活かせるポイントがさまざまにある。ぜひ桐朋で良い成長を遂げてほしい」とお話しいただきました。

参加した生徒の感想です。

・機械や工学、また、それらのシステムについて興味があったので、参加しました。電気通信大学は、機械系の分野しかないと思っていたので、他の分野もあると知り、驚きました。近年話題になっている「AI」の利点や欠点について詳しく説明していただけたので、大変勉強になりました。ありがとうございました。(高2)

・大学ではどんなことができるのかを知りたいと思っていましたし、内容も興味深かったので、参加しました。大学内の施設を見学でき、実際に研究なさっている方から研究内容を教えていただけたので、将来を考える参考となりましたし、自分の興味も広がったように思います。特に、普段なかなか扱うことのできない物質を使っての実験を見学できたことは、大変良い経験になりました。また、コンピュータサイエンスのお話は、名前を聞いたことすらないものも多く、とても興味深かったです。(高1)

・今までこの企画に参加した中で、情報系の分野の研究は体験していなかったので、参加しました。「電通大」という名称なので、電気通信の研究をなさっていると思っていましたが、ここは総合理工大学で、化学や生物的な研究も行われているということがよくわかりました。AIに関してここまで研究が進んでいるのかとわかり、感銘を受けました。実際にロボットと人との会話が聞けて、良かったです。どの方のお話もわかりやすく、興味深い内容でした。また、研究についてだけでなく、進路についてのお話もしていただき、大変参考になりました。ありがとうございました。(中3)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回はスペシャル版として、夏休み期間の7月31日(水)にJAXA相模原キャンパスを訪問しました。ご案内いただいたのは、小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャをなさっている桐朋高等学校48期卒業の津田雄一さんです。参加したのは、高校3年6名、高校2年18名、高校1年14名、中学3年14名、中学2年7名、中学1年14名の計73名で、このうち地学部員は33名です。

最初に津田雄一さんから見学の内容をご紹介いただき、地学部と地学部以外の2グループに分かれて、「はやぶさ2」に関する映像の鑑賞、キャンパス内にある展示施設、宇宙科学探査交流棟をご案内いただきました。

「宇宙科学探査交流棟の展示施設見学」では、ロケットなどの実物と模型を間近に見学しながら、担当の方からご説明いただきました。「はやぶさ」でイオンエンジンを採用したのは「燃費の良さと丈夫さ」であることや、

「はやぶさ」などを覆っている黄色(金色)の部分は断熱材であること、

今後のロケットは、打ち上げのスタイルを変更し、再利用できるものも作っていくことなどをお話しいただき、

 

宇宙から戻ってきた「はやぶさ」の再突入カプセルなどの実物も見学しました。

次に、はやぶさ2のプロジェクトに関する映像を見せていただきました。プロジェクトに取り組んでいる方々の様子が印象的に紹介され、その中でプロジェクトに懸ける思いがさまざまに語られていました。

その後、はやぶさ2プロジェクトマネージャを津田雄一さんにご講演いただきました。

JAXA全体では約1、500人、相模原にある宇宙科学研究所には約300人の職員の方がいらっしゃるそうです。津田さんは、宇宙飛翔工学研究系の准教授であり、「はやぶさ2」の設計、開発に携わるプロジェクトマネージャをなさっています。これまで津田さんが関わった探査機には、「はやぶさ」「小型ソーラー電力セイル実証機イカロス」などがあるそうです。

津田さんと宇宙との出会いについてもお話しいただきました。津田さんは、小学校低学年の頃、お父様に連れられ、ケネディ宇宙センターでロケットの実物を見学、高学年の頃には、ハレー彗星の接近に心を躍らせることなどで、宇宙への関心が高まり、ロケットや宇宙船を作りたいという夢を抱くようになったそうです。高校の頃にも、日本初の宇宙飛行士である秋山さんが誕生、NASAのボイジャーによる惑星探査が話題になる中で、航空宇宙工学を学ぼうと、東京大学に進学されました。その後、JAXAに就職、すぐに、はやぶさプロジェクトに配属になったそうです。

続いて、はやぶさ2プロジェクトについてご説明いただきました。

「はやぶさ2」は、2014年に打ち上げ、2018年6月に、「リュウグウ」に到着、2019年2月、7月にタッチダウン成功、2019年末に「リュウグウ」出発、1年後に地球に帰還する予定になっています。太陽系を取り巻く天体の中で、小惑星は2018年時点で約79万個発見されていて、そのうち名前のついているものは2万個あまりだそうです。
多くのロケットは片道のみの運行で、データなどを送ってくるのに対して、はやぶさ2プロジェクトは地球と天体を往復し、地球以外の天体から試料(サンプル)を採取し、持ち帰る(リターン)ことをします。これにより、天体のスケールから顕微鏡のスケールまですべてを調査でき、太陽系の起源や地球に生命が生まれたきっかけを知ることができるそうです。
「はやぶさ2」のプロジェクトでは、「はやぶさ」が探査した小惑星「イトカワ」と別の種類の小惑星である「リュウグウ」を探査していますが、「はやぶさ2」が「リュウグウ」に近づくと、「リュウグウ」の表面は他の小惑星と比べてでこぼこで、タッチダウンしやすい平らでなだらかな場所がないことがわかったそうです。そのため、タッチダウンの時期を延期し、「リュウグウ」を深く知ることに力を注ぐとともに、「はやぶさ2」の実力についても再度検証を進めたそうです。その中で、元々は1辺100m四方のエリアへの着陸を想定していたのに、1辺6m四方のエリアでも着陸が可能であることを確認し、1度目のタッチダウンに成功。さらに、世界初のチャレンジである地下物質の採取に取り組む2度目のタッチダウンにも成功したそうです。津田さんは「究極の技術、科学、チームワークが必要とされる場。だから、探査の仕事はおもしろい」とお話しくださいました。

生徒からの質問として、「プロジェクトマネージャとしてリーダーシップを取る際、大切にしたことは?」「採取できて一番嬉しいものは何か?」「計画段階で大変だったことは何か?」「JAXAでは、本人が希望するプロジェクトに関わることはできるのか?」「はやぶさ」と「はやぶさ2」とで、現場の雰囲気に違いはあるか?」「航空宇宙工学の仕事に将来就くために、今勉強しておくことは何か?」などがあり、

「大きな労力と資金をかけて宇宙探査をする意義として、どんなことを考えているか?」という質問には、「今回の探査は、太陽系や生命の起源を探ることを目的として、40億年以上前の石のかけらを採取するもので、究極の最先端技術を使った究極の基礎科学と言える。基礎科学とは、実用性が意図されているとは限らないが、人間の叡智に繋がるものであり、ノーベル賞の多くも基礎科学に当たる。日本はこうした研究を行える環境にある。ぜひ、自分がおもしろいと思うものを見つけて取り組んでほしい」とお答えいただきました。

その後、参加した生徒を代表して、地学部主将から津田さんに、「はやぶさ2」の成功を祝した色紙が贈られました。

全体の会が終わったあとにも、津田さんは生徒からの個別の質問にお答えいただき、写真撮影などにも応じてくださいました。

参加した生徒の感想です。
・地学部ですので、元々関心がありましたし、桐朋祭で「はやぶさ2」の展示もしたので、ぜひとも参加しようと思いました。プロジェクトに関わる一人一人が、「はやぶさ2」にかける思いを強く持っていたことが、メンバー内でのコミュニケーションの充実につながり、その結果として今回の快挙があると感じました。貴重なお話、ありがとうございました。地球への帰還も含めた、はやぶさ2の成功、心からお祈りしています。(高2)
・津田さんが桐朋の卒業生だと知り、参加しようと思いました。国を挙げての大きなプロジェクトの様子を詳しく説明いただき、自分もその一端に触れることができ、貴重な体験になりました。これからも、はやぶさ2の旅は続くので、がんばってください。(高2)
・地学部でこの企画を知り、貴重な機会だし、自分の知識も増やせると思ったので、参加しました。津田さんから貴重なお話を聞き、貴重な物も見せていただけたので、思っていた以上に知識を増やすことができました。いやぁ、JAXAの方々は頭が良すぎです。はやぶさ2の成功、祈ってます。それと、部員に最後までサインを書いていただくなど、大変良くしていただきました。本当にありがとうございました。(高1)
・元々はやぶさのプロジェクトが好きで、JAXAにも興味があったので、参加しました。実際のJAXAの業務に接し、見学できたことで、具体的なイメージを持つことができました。子供の頃からの憧れであった、はやぶさのプロジェクトの一端に触れることができ、本当にうれしかったです。(高1)
・僕は天文、宇宙開発分野に以前から興味があり、将来JAXAをはじめとした宇宙開発を担当する企業や組織に就きたいと最近考え始めてもいました。実際にJAXAで開発に携わっている方々からお話を聞き、将来に向けての道しるべにしたいと思い、参加しました。興味を持っている分野について、実際のお話を聞き、見学もできて、貴重な体験になりましたし、何より将来への熱意が限りなく高まったように思います。また、想像していた以上に、外国の方々がたくさんJAXAのキャンパスに来ていて、国際会議が数多く行われているように感じました。宇宙開発のグローバル化、英語学習の大切さを実感しました。これから少しずつ知識や技能を身につけて、将来このような仕事に就けるよう、全力で頑張ります。(中3)
・以前から天文・宇宙開発分野に興味があって、はやぶさ2のプロジェクトにも興味があったので、参加しました。はやぶさ2やJAXAの施設のことを、プロジェクトマネージャである津田さんから直接話していただき、津田さんの学歴を知ることもできて、大変良かったです。これからも知識をたくさん身につけ、将来このような仕事に就けるよう、頑張ります。(中3)
・僕は地学部員で、ロケットやはやぶさ2についてとても興味があり、プロジェクトやJAXA内部の様子について詳しく知りたいと思い、参加しました。津田さんから、はやぶさ2を打ち上げてから2回目のタッチダウンをするまでの様子を詳しく教えていただき、とてもためになりました。内部の様子を実際に見学し、講演もしていただけたので、この仕事について具体的なイメージを持つことができました。正直、はやぶさ2についてあまり詳しくは知らなかったのですが、プロジェクトの内容やその中での現場の方々の苦労を詳しく知り、はやぶさ2以外のJAXAの活動についても興味を持ちました。(中2)
・地学部であり、天文に興味があったので、参加しました。JAXAの売店や食堂などの日常使うような場所に行けたこと、なかなか見学できないような内部の場所も見学できたこと、中1の僕でも理解できるくらい、わかりやすく説明してくれたこと、すべてが良く、すばらしい体験ができました。ありがとうございました。(中1)

 

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、1学期期末考査後の自宅学習日である7月10日(水)に、朝日新聞東京本社を訪問しました。朝日新聞社には、数多くの桐朋高等学校の卒業生がいますが、今回は52期卒業の小野甲太郎さん(政治部外務省担当)[()内は現在のご担当業務]にコーディネートしていただき、33期の斎藤真さん(デジタルイノベーション本部)、35期の崎川真澄さん(ハフィントンポストCEO)、36期の石川尚文さん(論説委員)、42期の野田一郎さん(管理本部業務部)、53期の宮崎亮さん(社会部文科省担当)、56期の山下龍一さん(政治部防衛省担当)からお話をおうかがいしました。参加したのは、高校3年1名、高校2年13名、高校1年6名、中学3年2名、中学2年1名の計23名です。

最初に、論説委員の石川尚文さんから社説についてご説明いただきました。

「朝日新聞の社説は、意見、主張をまとめたページである『オピニオン欄』に掲載してあり、社外の人の意見、一般の読者からの投稿と合わせて、朝日新聞社の主張や見解を述べている。一般の記事は、基本的に『客観報道』としてファクト(事実)を伝えるもので、『解説』『視点』などのコラムは、有識者や記者個人の主張、見解を提示するものであり、基本的に署名を付けている。それに対して、社説は朝日新聞としての主張、見方を述べるものなので、主張の一貫性が求められる。そのため、論説委員の合議を経て掲載をしていて、無署名となっている。社説の執筆は論説委員(約30名)の担当であり、通常の記事を書く報道・編集局とは組織が分かれているため、記事と社説とで異なる主張、見解をすることもある。社説に取り上げる内容は、毎日論説委員が話し合う『昼会』で決めている」とお話しいただきました。

続いて、昼会を見学し、論説委員の方々の議論の様子を間近で体験しました。

その後、参議院議員選挙の選挙速報(当落判定)の準備として、分析などを行っている、政治部の比例区判定班の方々が作業をしている様子を見学しました。キャップの方から、当落の判定の方法とそれに向けた準備について教えていただき、参議院議員選挙の比例区では、5千万の票を調査することになるので、日本最大の世論調査とも言えるとお話しいただきました。

昼食を、朝日新聞社の社員食堂で取り、朝日新聞東京本社の社内見学ツアーに参加しました。

新聞記者の方々のお仕事ぶりを編集局で見学した際には、政治部のデスクの方からお話を伺い、紙面作りの流れを教えていただきました。また、印刷工場の巨大な輪転機が稼働している様子や、

発送室ではその日の夕刊が自動で梱包される様子見学しました。

最後に、桐朋高校の卒業生の方々と2時間ほど懇談をしました。
懇談では、生徒から事前に集めた質問に対して、卒業生の方々からお答えいただきました。

媒体が紙からデジタルへ移行しつつあることへの対応についてでは、「紙の新聞だろうが、デジタルだろうが、取材を記者がすることには変わりはない。紙は、全国の販売店が600万部の新聞を各家庭などに届けているのに対して、デジタルでは、記事一つ一つを読者の側で選んで読む形となる。記事をどう届けるのか、ネット上で拡散できるかなど、紙では行っていない工夫が必要となる。そのため、記者としての資質だけでなく、エディター、プロデューサーに近い資質が求められる」
記事を書くにあたって注意していることは
「記事の書き方として、心がけているのは全体像を伝えること。『わかりやすく書け』とも言われるが、わかりやすさとは、明快さや平易さにあたる。明快さでは、白黒はっきりさせることが求められ、例えば、グレーなものにおいて白のウエートが大きいと『白』と表現してしまいがちだが、グレーであることをきちんと伝えることを大事にしたいと考えている」とお話しいただきました。

他にも、「新聞社に入ろうと思った理由」や「記者の魅力、取材のやりがいや難しさ」などについてもご紹介いただきました。

懇談の場で出た生徒の質問として、「刑事事件での実名報道の意義について、どう考えるか」「地元の思いとは裏腹に、辺野古に基地を移そうと埋め立てに賛成をしている政治家はどんな思いでいるのか」「元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた判決に対して政府が控訴する方針と報じた朝日新聞の報道について」「記事を書く際に、購読者の意向を意識することはあるのか」「取材記事において、他社の報道より優れた記事となるには何がポイントとなるのか」などがありました。
「朝日新聞ならではの魅力、気風は」という質問には「朝日新聞社の気風として、立場の上の者を名前で呼んで肩書きでは呼ばないことがある。このことと関連して、『新聞は現場で作る』という意識が強く、下の立場の者が上の者に意見することも多いし、上の者もしっかりと耳を傾けている。桐朋の雰囲気と通じるものがあるように思う。実際、朝日新聞社には桐朋出身者が実に多い」とお話しいただきました。

最後に、桐朋高校45期卒業で、朝日新聞の政治部記者として活躍中に難治がんを患い、闘病しながら「書かずに死ねるか」というタイトルのコラムを執筆し続けた野上祐さんを紹介したテレビ番組を皆で見ました。

全体の説明が終わった後にも、朝日新聞社本館2階コンコースで、生徒の質問にお答えいただきました。

参加した生徒の感想です。
・新聞記者という仕事に興味があったので、参加しました。新聞社では、もっとぴりぴりした雰囲気で仕事をしていると想像していましたが、実際にはアットホームで良い雰囲気だとわかりました。特に印象に残ったのが、社説に関する討論会です。書きたいテーマをプレゼンテーションした論説委員に対して、次々と意見が出され、やり取りする姿に、会議の理想を見たように思いました。仕事内容や新聞記者を志望した理由などを丁寧にお話くださり、とても面白く、学ぶことの多い時間でした。ありがとうございました。(高2)

・特に印象に残ったのは、社説の昼会です。静かな会議室で行われているのかと思っていたのですが、広い部屋の脇のスペースで、リラックスした雰囲気で行われていました。新聞の文体からはわからない裏の姿が見られて面白かったです。普通は入れない場所を見学でき、参院選の開票速報が行われる重要な場所も見せていただいたことは、この企画ならではの良さだと思いました。朝日新聞社には多くの桐朋OBがいらっしゃり、皆さんさまざまに活躍されていました。首相動静や沖縄での取材など、現場での様子を聞くことができ、実に興味深かったです。(高2)

・朝日新聞に興味があったので、参加しました。新聞の作り方や書き方などを知ることができましたし、朝日新聞社の雰囲気を直に感じることができて、とても面白かったです。ありがとうございました。(高2)

・政治に興味があり、朝日新聞社はリベラルとして有名なので、記者の方々の個々の意見を聞いてみたくて参加しました。朝日新聞の論説は、どのように誰が書いているのかが気になっていましたが、その現場である「昼会」を見学できて、とても勉強になりました。また、たくさんのOBの方の体験談を聞けて、ドラマのような話がリアルにあると知り、大変興味深かったです。お忙しい中、お時間を作ってください、本当にありがとうございました。(高2)

・企画内容に「昼会」の見学や社内の桐朋OBとの懇談会があって、この機会でないとなかなか経験できないような魅力があると考え、参加しました。「昼会」の見学を通して社説が書かれるプロセスを知ることができましたし、OBとの懇談会で、労働環境を含めた記者の仕事ぶりや報道に対するポリシーを伺うことができ、大変良かったです。今回教えていただいたことを念頭に置いて、今後新聞を読もうと思います。大変貴重な機会を、ありがとうございました。(高2)

・この進路企画では、文系に関する企画が少ないように感じていましたが、新聞社見学という、自分にとって興味深い内容だったので、参加しました。選挙での当選確実の表示がなされる仕組みを知るとともに、自分がその場に行くことができて、とても驚きました。実際に記者の方々が経験されたことや裏事情もお話しいただき、とても勉強になりました。ありがとうございました。(高2)

・社説に向けた議論の見学など、滅多にない体験ができると思い、参加しました。OBとの懇談会では、多くのお話を伺うことができ、大変参考になりました。ありがとうございました。(高2)

・具体的な進路がまだ決まっていないので、今後決める際の参考にしようと思って参加しました。たくさんの桐朋の卒業生の方から、多岐にわたるお話を聞くことができ、今後進路を決める上で重要な判断材料になりました。ありがとうございました。(高1)

・高校に進学し、今後の大学進学に向けて真剣に考え始めたものの、どの道に進もうか迷っています。実際に職業について体験しながら学べる絶好の機会だと思い、参加しました。日々、手軽さ故にテレビやスマホから情報を得ていて、新聞はけっして身近な感じはなかったのですが、多くの人が議論して丁寧に作っていることを知り、第一線で活躍されている、多くの桐朋卒業生の方々のお話を伺い、新聞を読む楽しさが増えたように思います。また、さまざまな人の、さまざまな仕事によって組織が成り立っていることを実感しました。他の新聞社と違い、朝日は、上司と部下の壁がなく、自由な社風だからこそ、本当に伝えたいことを伝えられるという話が強く印象に残りました。その社風が桐朋とよく似ているという話も興味深く感じました。何が事実なのかがわかりにくい世の中において、自由に真実を追究できる新聞の果たす役割は大きいと改めて思いました。お忙しい中、ありがとうございました。(高1)

・将来の夢は検事になることなので、事件に関するお話をさまざま聞けて、大変おもしろかったです。(高1)

・普段読んでいる新聞がどのように作られているのかに興味があったので、参加しました。記者の仕事を、わかりやすく具体的に説明していただき、参加して良かったと思いました。朝日新聞社ならではの特徴を知ることができ、とても面白かったです。(高1)

・思っていた以上に内容の濃いお話ばかりでしたし、普段は見ることのできない新聞社の裏側を見ることができ、大変良かったです。(高1)

・新聞の記事はどのようにして作られているのか、記者はどんな仕事をしているのかに興味があったので、参加しました。実際に、論説委員による社説の議論を見学して、新聞記者一人一人が自らの考えを持ち、堂々と議論をしている姿が印象的でした。桐朋OBとの懇談では、仕事内容から社会問題の話まで、政治部・社会部・デジタルイノベーション本部などさまざまな部署に所属している方々から2時間じっくりとお話を伺うことができ、とても面白く、勉強になりました。朝日新聞の魅力を実感できたように思います。(中3)

・母親が朝日新聞で働いているので見学してみたいと思い、参加しました。とてもわかりやすい説明をしていただけたので、朝日新聞社が大事にしている社風や、新聞を作る仕組みを深く知ることができました。社員の皆さんは忙しそうでしたが、皆さん笑顔だったのが印象的でした。(中2)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、1学期期末考査後の自宅学習日である7月9日(火)に、東京慈恵会医科大学を訪問しました。東京慈恵会医科大学には、桐朋高校の卒業生3名、桐朋女子高校の卒業生2名が基礎医学の分野で教授・准教授をなさっています。この方々の研究室に訪問し、研究内容について教えていただきました。参加したのは、高校2年生8名、1年生3名の計11名です。また、大学の授業を終えた卒業生1名も顔を出してくれました。

最初に、昨年度に引き続いて研究室訪問を企画してくださった岡部正隆先生からお話をうかがいました。岡部先生は、桐朋高校卒業で、解剖学講座の教授をなさっていて、形態学や進化学の研究に取り組んでいらっしゃいます。
まず、東京慈恵会医科大学について、慈恵医大の歴史と絡めてお話しいただき、病者中心の医療・医学をモットーとし、『病気を診ずして病人を診よ』『医と看護は車の両輪のごとし』をスローガンに掲げていて、研究の点でも、国をリードする最先端の医学研究を実施しているとご紹介いただきました。
岡部先生ご自身の研究内容もご説明いただきました。
「発生の研究をしている。発生において、細胞は分裂、増殖するのだが、その際、元の細胞とは別のもの(骨、筋肉、神経などの細胞)になっていく。このプロセスは遺伝子の制御による。研究の一つとして、魚はどのように上陸をし、陸上の脊椎動物になったのかに取り組んでいて、現存するさまざまな生き物のゲノムを比較し、どの遺伝子の変異により、魚のえら呼吸が動物の肺呼吸になっていくのかなどを研究している」とのお話で、いくつかの事例について教えていただきました。

ご説明の後に、実際のネズミ、魚を使った研究の一端を見学しました。
ネズミを使った研究では、遺伝子を操作して全身の細胞が緑色蛍光タンパク質で光るネズミを作り、臓器移植、例えば骨髄移植をした場合、移植した骨髄がどうなっていくのかを調べるそうです。生徒は手袋をしてネズミを確認し、ライトを当てることで緑に光ることを観察しました。

また、ゲノム編集に繋がるものとして、培養室で、培養したネズミの精子と卵子を顕微鏡で観察しました。

続いて、組織のプレパラートを作る方法を数種類教えていただき、さらに、共焦点レーザー顕微鏡とその仕組みもご説明いただきました。水槽に入った遺伝子組み換えをしたゼブラフィッシュを見学し、受精卵を観察しました。

続いて、桐朋高校卒業で、再生医学研究部の教授である岡野ジェイムス洋尚先生の研究室を訪れ、培養室で血液から培養した、ヒトのiPS細胞を顕微鏡で観察しました。

岡野先生から、再生医療の現在と未来についてご説明いただきました。

パーキンソン病や心筋梗塞を例に、iPS細胞による新たな治療法の開発に関するお話をうかがい、現在の医療の進歩と未来の可能性を実感することができました。また、遺伝子の異なる細胞を一つの体に合わせ持つ生物、キメラ動物に関連して、iPS細胞を用いて、人の臓器をブタで製造するというショッキングな研究についても教えていただき、もしブタの脳に人間の細胞が入った、知能の高いブタが誕生したら、その生物についてどう判断すべきなのかといった生命倫理の問題について話題にされ、深く考えさせられました。

その後、昼食を取りながら、岡部先生と岡野先生からさらにお話を伺いました。
両先生から、「医者として必要な社会性が育めるかを考えた場合、大学入試段階では、論理的に思考できる力が重要であり、その力があれば社会性は身につくと考えている。社会性を育む、脳の前頭葉が発達してくるのは10代後半からなので、その前にしっかりと論理性を育んでおくことが大事だ。論理的な文章を作るには、日本語で書くよりも英語の方がやりやすい。そのため、論理性を磨くために英語で論文を書かせようという話題もある」とお話しいただきました。さらに、岡野先生から「スタンフォード大学では、生物学に関する倫理的な問題を議論できるよう、文系の学生にも生物学を必修にしている」「テクノロジーはここ10年間でブレイクスルーを起こしていて、以前は治療できなかった病気にもさまざまな可能性が生まれている。この時代にメディカルサイエンスに取り組めるのは大変ラッキーだと学生に話している」と教えていただきました。
生徒からの質問で、「病気を持つヒトのiPS細胞を培養したら、病気になる細胞にはならないのか」「ヒトのiPS細胞で臓器を作る際、ブタの体内で作るのはなぜか」などの質問がありました。

続いて、桐朋女子高校卒業で、分子遺伝学の教授である玉利真由美先生からお話を伺いました。

先生は、疾患と遺伝子の関係を解明し、患者に対して最適な医療が施せるよう、病気に関係する遺伝子を特定して、治療方法や薬の開発に繋げる研究をなさっています。特に、アレルギー研究10ヵ年戦略の策定に向け、重症アレルギー患者の死亡者数をゼロにすることを目標に、国の研究チームの代表研究者として取り組んでいること、さらに、仕事上の指導者にあたるメンターと出会い、「追いかけたい背中を見つける」ことで、自分の可能性が広がっていくとお話しいただきました。

さらに、遺伝子の塩基配列を高速で読む装置、次世代シークエンサーを実際に見せていただきました。

次に、桐朋女子高校卒業で、分子生理学の准教授で、筋肉の研究をなさっている山口眞紀先生からお話を伺いました。
解剖学が身体の構造を解明する学問であるのに対して、生理学は身体の機能を研究する学問であること、コンピュータを使って、筋肉の動きをタンパク質の動きを基に解析する、分子動力学シミュレーションの仕組みなどについてご説明いただきました。

その後、筋肉の張力に関する実験などを見学しました。

続いて、桐朋高校卒業で、薬理学講座の教授である籾山俊彦先生の研究室を訪れ、脳の神経細胞のシナプスによる情報伝達の仕組みを研究するために、マウスの脳をスライスし、それに電気的刺激を与えて電流の流れ方をコンピュータで解析する様子を見学し、脳内のニューロンを観察しました。

最後に、岡部先生から本日の見学のまとめをしていただきました。
「iPS細胞やゲノムに関する研究は、ダイレクトに人間の役に立つ医療で、基礎研究は、生命の謎解きなど真理の探究をしている。科学を人に役立つテクノロジーにするために基礎研究があり、実際、日本でノーベル賞を受賞しているのは真理探究型の研究である。」「1人の医者を育てるには多くの費用がかかり、大学の授業料だけでなく国からの補助を受けて医学教育は行われている。だからこそ、医学の道に進む上で、国民のための医者であるという自覚を持つべきだ」とお話がありました。
生徒からの質問としては、「医学の研究にかかる費用はどのように支出されるのか」「自分は、医学だけでなく工学にも関心があるのだが、医療への工学の貢献にはどんな可能性があるか」「医師国家試験に合格した後、臨床に進むか、研究に進むのかはどのように決まっていくのか」などがありました。

参加した生徒の感想です。
・大学でどのような研究が行われているのかに興味がありましたし、桐朋の卒業生の方々の活躍の様子を実際に自分の目で見て学べる良い機会だと思い、参加しました。研究室を案内していただき、施設の素晴らしさを実感できましたし、研究の様子や医学部での学びについて詳しく知ることができ、将来のイメージを持つことができました。先生方の講義が大変興味深く、たくさん新たな知識を持つことができました。今後は、今回の体験を活かして、さまざまな物に興味を持ち、探求し、自分にふさわしい進路を見いだせるよう、頑張っていきたいと思います。(高2)

・医学部への進学を考えていて、入学後のことを詳しく知ることのできる良い機会だと思い、参加しました。医学部と言えば“医者”というイメージでしたが、研究による土台があってこその医者だとわかり、自分が医者になれたときの考え方が変わったように思います。実際に、iPS細胞やラットの実験などが見られて、大変良かったです。先生方が患者さんのための研究に取り組まれている姿を見て、自分も困っている人の助けになれる人間になりたいと思いました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。(高2)

・最先端の生物研究に関心があり、参加しました。近年話題になっているiPS細胞について知ることができ、大変勉強になりました。自分はまだまだ生物に関する知識が足りないのですが、そんな自分でも理解できるくらい、わかりやすく説明していただき、お話が大変おもしろかったです。ありがとうございました。(高2)

・理学部に進もうと思っているのですが、医学への理工学によるアプローチは、社会に貢献できる一つの選択肢だと思い、医学の現場も見てみたくて参加しました。iPS細胞を作る現場を実際に見て、お話も聞けて、大変勉強になりました。また、生物を学ぶ意義を改めて気付かされました。現場を実際に体験し、研究室の機材なども見ることができ、進路選択の際の重要な資料になると感じています。本当にありがとうございました。(高2)

・進路について考え始めなければと思い、医学に興味があったので、参加しました。先生方の研究内容や研究室の様子を知ることができて良かったです。ジェイムス先生のiPS細胞の研究は、今、一番話題になっているもので、その研究について詳しく知ることができ、勉強になりました。自分も、そんな研究をしてみたいと強く思いました。(高1)

・医学の研究に興味があったので、参加しました。研究内容を詳しく知ることができて良かったです。漠然と抱いていた研究へのイメージが、具体的なものになったように思います。今回は貴重な体験をたくさんさせていただき、本当にありがとうございました。(高1)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回は、高校生は1学期期末考査後の自宅学習日であり、中学生は期末考査最終日の7月8日(月)に、東京農工大学農学部を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で現在東京農工大学農学研究院教授の有江力先生と、東京農工大学客員教授の二谷貴夫先生です。参加したのは、高校3年3名、高校2年9名、高校1年4名、中学3年2名の計18名です。また、途中まで東京農工大学農学部在学中の卒業生も参加しました。

最初に、有江先生からご説明いただきました。

まず自己紹介をしていただきました。桐朋中高では33期で、卒業後東京大学理科Ⅱ類に進学、東京大学農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所などで研究され、現在は東京農工大学農学部で教授をなさっています。

続いて、東京農工大学についてご紹介いただきました。

「東京農工大学は、一橋大学に次いで桐朋から近い国立大学である。農林学の分野では、国内で東大、京大に次いで第3位、世界でも50位に入る研究基軸大学で、大学院の教育に力を注ぎ、先端の研究力を付けることを目的とした教育を行っている。農学部は5学科あり、農学、生命科学、環境科学、獣医学を扱っている。農学部の学部生は300人いて、東大と並んで学生数が多い。教員数も多く、教員一人当たりの学生数は少ない大学として知られている。東京農工大学のスタートは、現在の新宿御苑の場所にあった農業関係の研究施設で、農学部と工学部という2つの学部の大学となったのは、養蚕に由来している。」とお話しいただきました。

また、研究についてご紹介いただきました。

「桐朋の生物の先生の影響で、33期生は生物系に進んだ者が多い。大学では、植物を観察したくて山に籠もる日々で、結果現在の道に進んでいる。植物病理学は植物が病気にかかる原因を探る学問で、植物と微生物の関係を見ることができ、さらに人間の生活を支えるという広がりも持っている。農林水産省とともに、植物の病気が日本に侵入するのを防ぐ取り組みも行っており、日本の農業を守る仕事もしている。植物の病気はカビによって起きる。ただし、カビのうち、ある株はバナナに、別の株はトマトにといった具合で、カビには特定の野菜にしかつかないという特徴があり、これについて研究している。例えば、トマトの病原菌である菌自体はどこにでもあるものだが、遺伝子を調べることで、野生のトマトが食用化される中で、菌がトマトへの病原性を持つようになったことがわかる。ゲノム解析にかかるコストが下がったことで、研究の手法が変わってきている。また、農薬にも化学物質に基づく農薬と微生物を使った農薬とがあり、生物農薬の可能性についても研究している。」とご説明いただきました。

生徒からの質問で、「生物農薬にはどういうものがあるのか」「害虫駆除のための、飛べないテントウムシというものを見たことがあるが、これも生物農薬にあたるのか」「ゲノム解析は今後どう活用されていくのか」などがありました。

続いて、農学部本館内にある農学部展示室を見学し、福島で栽培されている「倒れにくい稲」、農工大のルーツの一つにあたる駒場寮にあった「雲と自由の住むところ」と書かれた碑などについてご説明いただきました。

その後、研究室を見学し、菌の振盪培養の様子や、バナナの病原菌などを見せていただきましたし、一部実験の授業の様子も見学しました。

次に、雨量や土壌温度を計測しながら栽培しているトウモロコシなどがある圃場(東京ドーム3個分の広さ)を歩き、

植物工場を見学しました。植物工場では、ブルーベリーの栽培を通して、さまざまな研究がなされています。植物工場には、早春・晩秋を加え、四季を再現する6つの栽培室があり、

栽培に最適な環境である各部屋にブルーベリーの鉢を移動させ、ブルーベリーが通常1年かけて行うライフサイクル(萌芽→開化→着果→収穫→休眠)を1年に二度行わせ、品質を保ちつつ収量を増やす取り組みをするとともに、果樹への影響を調査しています。さらに、赤い光と青い光とで生育がどう違うのかの調査、鉢を移動させたり、果実を収穫したりする仕組みやロボットの開発といった研究も行われていました。ブルーベリーを試食し、種類による味の違いも体験しました。

生徒からの質問では、「植物を、本来の旬とは異なる時期に収穫できるように栽培して、悪影響などが出ないのか」「農学部と工学部で、研究の交流はあるのか」「大学院で博士課程を修了した後、どんな道に進めるのか」「研究費の点で、国立大学と早慶などの私立大学とで違いがあるのか」などがありました。

最後は、有江先生のご案内で、希望者が図書館を見学しました。

参加した生徒の感想です。

・農学部を志望していて農工大は行きたい大学なので、参加しました。先生のご説明で、農学部がどんなことを学ぶのか、特に、植物の病気や菌などといった、さまざまなアプローチから農学を学んでいることを知り、参加して大変良かったです。(高3)

・第一次産業に研究を通して関わりたいという思いがあるので、農学部に興味がありましたし、農工大ではトップレベルの勉強ができると思い、それを実感したくて参加しました。学園祭などでは見学できない、大学の「いつもの姿」を見ることができ、とても良かったです。(高3)

・農学部に興味があったので、参加しました。農学部の中で、細かく学科が分かれているとは知りませんでしたが、自分は生物、中でもフィールドワークやマクロなものが好きなので、自分にあった学科もあると知り、安心しました。(高2)

・生物が好きで、大学では実際どんなことをしているのか知りたくて、参加しました。理系の学生がどんな学習をしているのかを、生で見ることができ、おおざっぱであった大学の学習のイメージが、より鮮明になりました。有江先生、二谷先生、もし農工大に進学できたら、そのときはよろしくお願いします。(高2)

・農工大の共同獣医学科を志望していて、学科は違いますが、農工大について詳しく知ることができると思い、参加しました。学園祭では“外”を見ている印象が強かったのですが、今回はその“内”を見ることができたように思います。一般の人は入れないような施設を見学でき、大変良かったです。学科こそ違いますが、農工大が第一志望なので、無事合格できたら、よろしくお願いします。(高2)

・農学部でどんな研究をしているのかを知りたくて、参加しました。正直名前しか知らなかった農工大について詳しく知ることができ、良かったです。農学でのゲノム解析に興味が湧きました。(高2)

・農学部について、知識・イメージがなかったので、どんなところか知りたくて、参加しました。農学部がどんなことをしているのか、どんな施設があるのかなど、実際の見学を通して知ることができ、良かったです。植物病理学という分野を知って、大学にはたくさんの分野があることに気付きました。また、遺伝子組み換えなどの説明を、農学の研究者の方から聞けて、自分にとって貴重な体験でした。ありがとうございました。(高2)

・農工大ではどんな研究をしているのかを知りたいと思い、参加しました。研究室を見て、大学の具体的な雰囲気を知ることができましたし、教授の方と直接話すことができ、とても良かったです。進学したい大学を決めるにあたり、参考になるお話をたくさん聞くことができました。(高2)

・大学や研究室がどのようなところか、見たり聞いたりしたくて、参加しました。今回、丁寧な説明をたくさん聞き、学生の様子や各施設の内容を見ることができ、理解を持てました。先生の研究について、あまり知りませんでしたが、先生のご説明にとても興味を持ちました。機会があったら、農工大の工学部にも行ってみたいと思いました。(高1)

・良い機会になると思い、参加しました。今まで大学の中に入ったことがなかったのですが、先生がなさっている研究の話を聞き、想像していたよりも、大学では高度な研究をしていることがわかり、大学の印象が変わりましたし、将来のことを考えるヒントをもらえたように思います。(高1)

・農学や工学に興味があったので、参加しました。農工大の歴史、農学部での研究を詳しく知ることができて、良かったです。微生物などにも興味があるので、菌についての具体的な話が聞けて、楽しかったです。(高1)

・理系志望で、最近生物にも興味が湧いてきたので、参加しました。研究室に入ることができましたし、先生方からも詳しく、分かりやすくご説明いただき、大変良かったです。また、ブルーベリーもとてもおいしかったです。(高1)

・東京農工大学は桐朋に近い、有名な理系の国立大学だとは知っていましたが、農学部でどのような研究をしているのか知りたいと思い、参加しました。農学や生物病理学について、詳しく教えていただき、大変勉強になりました。植物工場の中を見学できて、特に四季の環境を人工的に作り出し、ブルーベリーをモデルとした研究をしていることに興味を持ちました。(中3)

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