TOHO Today 桐朋トゥデイ

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進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、夏休み期間の8月30日(金)に電気通信大学を訪問し、Ⅰ類(情報系)メディア情報学研究室とⅢ類(理工系)化学生命工学研究室を見学しました。きっかけとして、2019年度より本校および桐朋女子中高が、電気通信大学と中高大連携協定を締結したことがあります。そのため、今回は初の試みとして桐朋女子中高と合同で実施しました。見学会をコーディネートいただいたのは、電気通信大学アドミッションセンター特任教授の三宅貴也先生です。参加したのは、桐朋中高は、高校2年3名、高校1年2名、中学3年1名の計6名、桐朋女子中高は高校1年7名、中学3年3名の計10名です。

最初に、研究設備センターの様々に設備ついてご紹介いただき、ヘリウム液化機などを見学しました。

次に、Ⅲ類(理工系)化学生命工学プログラム教授、石田尚行先生からご説明いただきました。

まず、電気通信大学のご紹介がありました。

電気・通信だけでなく、幅広い理工学領域を学べる理工系総合大学であること、文部科学省による研究大学強化促進事業において支援対象となり、さまざまな研究の拠点にもなっているので、優れた研究設備を有していることなどを教えていただきました。

次に、化学生命工学プログラムの説明として、所属されている先生方と、研究内容をご紹介いただきました。その中で、高大連携を行う意義として、「高校生が、大学における化学を知り、研究の様子を見聞きすることで、化学が、高校での学習を遥かに上回る広がりを持ち、発見、発明の可能性を秘めたクリエイティブな分野だと実感してもらえる良さがある」とお話しいただきました。

続いて、「蛍光物質の合成」のデモ実験を見学しました。実験内容は、鈴木(クロス)カップリングの反応に関するものです。鈴木(クロス)カップリングの反応では、パラジウム触媒によって別種の炭素を結合することができ、これにより、高血圧の治療薬や液晶材料など、さまざまな工業物質が製造、開発されているそうです。この合成法の開発によってR.Heck教授、根岸栄一教授、鈴木章教授の3人が2010年にノーベル化学賞を受賞しています。最近の電通大の研究でも、この合成法がさまざまに活用されているとご紹介いただきました。

デモ実験では、紫外線を放射するブラックライトを当てても光を発しない有機物を混ぜたアセトン溶液に、パラジウムを加えて合成し、そこにブラックライトを当てると、黄緑色に発光するように変化する様子、

さらに、それにヘキサンを少しずつ加えると、ヘキサンが水と混ざらない性質を持つため、上層がヘキサンに溶けている有機物、下層がアセトンに溶けている有機物の二層に分かれ、有機物の環境の変化によって、蛍光物質の色が変化する様子を見学しました。

最後に、蛍光についてもご説明いただき、蛍光灯の仕組みとして、「蛍光管の両端に電圧を加え流れ出た電子が、蛍光管内にある水銀に衝突すると、紫外線が発生する。その紫外線が蛍光管に塗ってある蛍光物質を発光させることで、蛍光灯は明るくなる」と教えていただきました。また、光は足すこと、引くことができる性質を持ち、この性質をもとに、光の三原色を組み合わせて、テレビやスマートフォンのディスプレイが成り立っていること、さらに、液晶と有機ELの違いについてもご説明いただきました。

生徒の質問として、「蛍光物質が光る仕組みはわかったが、光らない物質があるのはなぜか」がありました。

次に、Ⅰ類(情報系)メディア情報学プログラム教授で、桐朋高校31期の西野哲朗先生からご説明いただきました。

最初に、自己紹介がありました。桐朋には高校から入学され、早稲田大学理工学部数学科に入学、大学院を経て日本IBM株式会社の研究所に勤務した後、いくつかの大学で研究され、1994年から電気通信大学にいらっしゃるとのことです。

続いて、コンピュータサイエンス(情報科学・計算機科学)についてご紹介いただきました。

「コンピュータサイエンスでは、コンピュータのハードウェア、ソフトウェアの両方を研究し、科学(理論に当たる内容)と工学(作り方に関する内容)をともに扱っているが、この研究室では、未来のコンピュータ上で実行されるソフトウェアの研究をしている」とご紹介いただきました。

具体的な研究内容として、自然言語処理にあたる「チャットボット(人と会話するような感覚でロボットやプログラムを利用できるもの。例としては、iPhoneのSiriなど)」について、ご説明いただきました。

「対話システムには2種類あり、特定の課題を達成することを目的とするものと、雑談的に対話を続けるものとがある。後者の原点にあたるものとして、1966年にMIT教授のJ.Weizenbaumが開発したELIZAのシステムがある。ELIZAと比較して、Siriなどのシステムは音声認識の精度は向上しているが、言葉と言葉との関係を解析する言語理解、発言の意図の理解の点では不十分と言わざるを得ない。特に、意図の理解について、J.Weizenbaumは『コンピュータには、人の言葉の理解は不可能だ』とし、その理由として『人間もできていないから』と述べている。確かに、われわれも他者の話を100%理解できているわけではない。これらの点により、チャットボットは、相手の発言のうちキーワードを元に対話しているに過ぎない。現在、チャットボットの高機能化を意図して、AIなどの活用が進められている。代表例は、IBMのWatsonというアプリ群で、文の意図を分類する自然言語分類のアプリなどが活用されている。現在、IBMは、コンピュータ本体を作成するのではなく、コンサルティングのできるAIの開発に力を入れており、コンピュータをプログラミングして使うのではなく、あらゆる情報を元にコンピュータに学習させ、人との対話を通じて、人の意思決定を支援できるシステムの開発を目指している」

さらに、初期のチャットボットと現在のものとの能力の違いを、会話例を通してご紹介いただきました。

続いて、図書館案内ロボットとして、現在開発中であるSotaによるデモンストレーションを見学し、

研究室の大学院生の方からシステムについてご説明いただきました。

まとめとして、西野先生から「現在の人工知能による対話システムは定型の会話の範囲にとどまっていて、人間同士の対話にはほど遠い状況である。シンギュラリティが話題になったりはするが、まだまだ開発が必要な状況にある。きみたちにもぜひチャレンジしてほしい」とお話しいただきました。

さらに、コンピュータゲームに関するお話では、チェスや将棋などの名人とコンピュータとの対戦についてご説明いただきました。

「以前はチェスをするプログラムを組んでいたので名人のアドバイスが必要だったが、現在は機械学習として、コンピュータに過去の棋譜などの記録を学習させている。ただし、こうした機械学習ができるのは、正解のデータがたくさんあり、統計的に処理できるものだけなので、人生相談など、価値観を伴うもの、個性が必要となるものに対して、AIは何もできない」

また、最近、注目されている量子コンピュータについてもご紹介いただきました。西野先生は量子コンピュータを草分け的に研究されてきた方だそうです。

最後に、大学の選びにおける着目点についてアドバイスいただきました。

次に、情報理工学研究科基盤理工学専攻の助教で、桐朋高校52期の平田修造先生から、「令和からの時代こそ桐朋生が活躍する時代」というテーマでお話しいただきました。

まず自己紹介がありました。桐朋中高を卒業後、東京農工大学に進学、大学院を出てメーカーに就職。その後、ジョージア工科大学に留学し、博士号を取得。九州大学・東京工業大学で研究され、昨年度より電気通信大学にいらしたとのことです。平成28年には日本化学会進歩賞、今年は文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞なさっています。

ご自身のここまでの歩みを振り返って、次のようなお話をしていただきました。

「自分には、桐朋中高で学んだ、自主・自由の精神が染みついていると思う。『自由には責任が伴うし、自由の怖さもある。しかし、責任を持って自由を生かす行動をすれば、それは強みになる』と考えている。

現在、分子を反応させて、強く、きれいに光る物の作成について研究をしていて、この技術は、有機ELテレビ、スマートフォンのディスプレイなどに利用されている。

以前の開発は、研究者が経験に基づき、開発方法を考えていたが、現在は、あらかじめコンピュータでシミュレーションした上で、方法を検討しているし、将来は、AIの活用によって、シミュレーションの範囲が広がり、スピードも速まるので、開発が成功する確率は格段に上がっていくだろう。

しかし、より良くAIを活用するには、AIの学習内容を優れたものにする必要がある。学習はデータによってなされるのだから、どういうデータを学ばせるかがポイントになる。そのため、データを確かなものにするには、実験の精度を向上させつつ、その実験値と相関を取ることが可能な計算方法を見出すことが求められ、そこに研究者の力量が関わってくる。

また、以前の教育は、いかに速く解くかが求められ、教わることを中心とする形で行われていた。2000年以降、社会でオンリーワンが話題になり、新しい価値を生み出すイノベーションが重視されるようになったが、教育の世界では新しい方法論が見出しきれず、従来の速く解くという教育から抜け出せていない。従来のやり方の限界が叫ばれている昨今では、教わるのではなく、自分で新たなものを生み出す力を持った人が活躍し始め、注目されている。

桐朋で学んだ自由、自主の姿勢は、人と違うことでも、自分が関心を持てば、積極的に挑戦し、行動する勇気につながる。実際、自分自身も、自分から学ぶ、興味を持って新たなことに取り組むという習慣が自然と身についている。さらに、自由には責任が伴うという意識も強く、やらなければいけない事は行いながらも時間を見つけて数多くの新しい事に挑戦することで、自由に行ったからには何か一つでもいいので斬新な結果を生み出すことで責任を果たそうという意識が高い。そして、もう一つ大切な点として、取り組むことを楽しく感じれば、苦にはならないという感覚も持っている。楽しむ姿勢も、桐朋の自主・自由の中で養われたように思う。このように桐朋の教育には、現代に活かせるポイントがさまざまにある。ぜひ桐朋で良い成長を遂げてほしい」とお話しいただきました。

参加した生徒の感想です。

・機械や工学、また、それらのシステムについて興味があったので、参加しました。電気通信大学は、機械系の分野しかないと思っていたので、他の分野もあると知り、驚きました。近年話題になっている「AI」の利点や欠点について詳しく説明していただけたので、大変勉強になりました。ありがとうございました。(高2)

・大学ではどんなことができるのかを知りたいと思っていましたし、内容も興味深かったので、参加しました。大学内の施設を見学でき、実際に研究なさっている方から研究内容を教えていただけたので、将来を考える参考となりましたし、自分の興味も広がったように思います。特に、普段なかなか扱うことのできない物質を使っての実験を見学できたことは、大変良い経験になりました。また、コンピュータサイエンスのお話は、名前を聞いたことすらないものも多く、とても興味深かったです。(高1)

・今までこの企画に参加した中で、情報系の分野の研究は体験していなかったので、参加しました。「電通大」という名称なので、電気通信の研究をなさっていると思っていましたが、ここは総合理工大学で、化学や生物的な研究も行われているということがよくわかりました。AIに関してここまで研究が進んでいるのかとわかり、感銘を受けました。実際にロボットと人との会話が聞けて、良かったです。どの方のお話もわかりやすく、興味深い内容でした。また、研究についてだけでなく、進路についてのお話もしていただき、大変参考になりました。ありがとうございました。(中3)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回はスペシャル版として、夏休み期間の7月31日(水)にJAXA相模原キャンパスを訪問しました。ご案内いただいたのは、小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャをなさっている桐朋高等学校48期卒業の津田雄一さんです。参加したのは、高校3年6名、高校2年18名、高校1年14名、中学3年14名、中学2年7名、中学1年14名の計73名で、このうち地学部員は33名です。

最初に津田雄一さんから見学の内容をご紹介いただき、地学部と地学部以外の2グループに分かれて、「はやぶさ2」に関する映像の鑑賞、キャンパス内にある展示施設、宇宙科学探査交流棟をご案内いただきました。

「宇宙科学探査交流棟の展示施設見学」では、ロケットなどの実物と模型を間近に見学しながら、担当の方からご説明いただきました。「はやぶさ」でイオンエンジンを採用したのは「燃費の良さと丈夫さ」であることや、

「はやぶさ」などを覆っている黄色(金色)の部分は断熱材であること、

今後のロケットは、打ち上げのスタイルを変更し、再利用できるものも作っていくことなどをお話しいただき、

 

宇宙から戻ってきた「はやぶさ」の再突入カプセルなどの実物も見学しました。

次に、はやぶさ2のプロジェクトに関する映像を見せていただきました。プロジェクトに取り組んでいる方々の様子が印象的に紹介され、その中でプロジェクトに懸ける思いがさまざまに語られていました。

その後、はやぶさ2プロジェクトマネージャを津田雄一さんにご講演いただきました。

JAXA全体では約1、500人、相模原にある宇宙科学研究所には約300人の職員の方がいらっしゃるそうです。津田さんは、宇宙飛翔工学研究系の准教授であり、「はやぶさ2」の設計、開発に携わるプロジェクトマネージャをなさっています。これまで津田さんが関わった探査機には、「はやぶさ」「小型ソーラー電力セイル実証機イカロス」などがあるそうです。

津田さんと宇宙との出会いについてもお話しいただきました。津田さんは、小学校低学年の頃、お父様に連れられ、ケネディ宇宙センターでロケットの実物を見学、高学年の頃には、ハレー彗星の接近に心を躍らせることなどで、宇宙への関心が高まり、ロケットや宇宙船を作りたいという夢を抱くようになったそうです。高校の頃にも、日本初の宇宙飛行士である秋山さんが誕生、NASAのボイジャーによる惑星探査が話題になる中で、航空宇宙工学を学ぼうと、東京大学に進学されました。その後、JAXAに就職、すぐに、はやぶさプロジェクトに配属になったそうです。

続いて、はやぶさ2プロジェクトについてご説明いただきました。

「はやぶさ2」は、2014年に打ち上げ、2018年6月に、「リュウグウ」に到着、2019年2月、7月にタッチダウン成功、2019年末に「リュウグウ」出発、1年後に地球に帰還する予定になっています。太陽系を取り巻く天体の中で、小惑星は2018年時点で約79万個発見されていて、そのうち名前のついているものは2万個あまりだそうです。
多くのロケットは片道のみの運行で、データなどを送ってくるのに対して、はやぶさ2プロジェクトは地球と天体を往復し、地球以外の天体から試料(サンプル)を採取し、持ち帰る(リターン)ことをします。これにより、天体のスケールから顕微鏡のスケールまですべてを調査でき、太陽系の起源や地球に生命が生まれたきっかけを知ることができるそうです。
「はやぶさ2」のプロジェクトでは、「はやぶさ」が探査した小惑星「イトカワ」と別の種類の小惑星である「リュウグウ」を探査していますが、「はやぶさ2」が「リュウグウ」に近づくと、「リュウグウ」の表面は他の小惑星と比べてでこぼこで、タッチダウンしやすい平らでなだらかな場所がないことがわかったそうです。そのため、タッチダウンの時期を延期し、「リュウグウ」を深く知ることに力を注ぐとともに、「はやぶさ2」の実力についても再度検証を進めたそうです。その中で、元々は1辺100m四方のエリアへの着陸を想定していたのに、1辺6m四方のエリアでも着陸が可能であることを確認し、1度目のタッチダウンに成功。さらに、世界初のチャレンジである地下物質の採取に取り組む2度目のタッチダウンにも成功したそうです。津田さんは「究極の技術、科学、チームワークが必要とされる場。だから、探査の仕事はおもしろい」とお話しくださいました。

生徒からの質問として、「プロジェクトマネージャとしてリーダーシップを取る際、大切にしたことは?」「採取できて一番嬉しいものは何か?」「計画段階で大変だったことは何か?」「JAXAでは、本人が希望するプロジェクトに関わることはできるのか?」「はやぶさ」と「はやぶさ2」とで、現場の雰囲気に違いはあるか?」「航空宇宙工学の仕事に将来就くために、今勉強しておくことは何か?」などがあり、

「大きな労力と資金をかけて宇宙探査をする意義として、どんなことを考えているか?」という質問には、「今回の探査は、太陽系や生命の起源を探ることを目的として、40億年以上前の石のかけらを採取するもので、究極の最先端技術を使った究極の基礎科学と言える。基礎科学とは、実用性が意図されているとは限らないが、人間の叡智に繋がるものであり、ノーベル賞の多くも基礎科学に当たる。日本はこうした研究を行える環境にある。ぜひ、自分がおもしろいと思うものを見つけて取り組んでほしい」とお答えいただきました。

その後、参加した生徒を代表して、地学部主将から津田さんに、「はやぶさ2」の成功を祝した色紙が贈られました。

全体の会が終わったあとにも、津田さんは生徒からの個別の質問にお答えいただき、写真撮影などにも応じてくださいました。

参加した生徒の感想です。
・地学部ですので、元々関心がありましたし、桐朋祭で「はやぶさ2」の展示もしたので、ぜひとも参加しようと思いました。プロジェクトに関わる一人一人が、「はやぶさ2」にかける思いを強く持っていたことが、メンバー内でのコミュニケーションの充実につながり、その結果として今回の快挙があると感じました。貴重なお話、ありがとうございました。地球への帰還も含めた、はやぶさ2の成功、心からお祈りしています。(高2)
・津田さんが桐朋の卒業生だと知り、参加しようと思いました。国を挙げての大きなプロジェクトの様子を詳しく説明いただき、自分もその一端に触れることができ、貴重な体験になりました。これからも、はやぶさ2の旅は続くので、がんばってください。(高2)
・地学部でこの企画を知り、貴重な機会だし、自分の知識も増やせると思ったので、参加しました。津田さんから貴重なお話を聞き、貴重な物も見せていただけたので、思っていた以上に知識を増やすことができました。いやぁ、JAXAの方々は頭が良すぎです。はやぶさ2の成功、祈ってます。それと、部員に最後までサインを書いていただくなど、大変良くしていただきました。本当にありがとうございました。(高1)
・元々はやぶさのプロジェクトが好きで、JAXAにも興味があったので、参加しました。実際のJAXAの業務に接し、見学できたことで、具体的なイメージを持つことができました。子供の頃からの憧れであった、はやぶさのプロジェクトの一端に触れることができ、本当にうれしかったです。(高1)
・僕は天文、宇宙開発分野に以前から興味があり、将来JAXAをはじめとした宇宙開発を担当する企業や組織に就きたいと最近考え始めてもいました。実際にJAXAで開発に携わっている方々からお話を聞き、将来に向けての道しるべにしたいと思い、参加しました。興味を持っている分野について、実際のお話を聞き、見学もできて、貴重な体験になりましたし、何より将来への熱意が限りなく高まったように思います。また、想像していた以上に、外国の方々がたくさんJAXAのキャンパスに来ていて、国際会議が数多く行われているように感じました。宇宙開発のグローバル化、英語学習の大切さを実感しました。これから少しずつ知識や技能を身につけて、将来このような仕事に就けるよう、全力で頑張ります。(中3)
・以前から天文・宇宙開発分野に興味があって、はやぶさ2のプロジェクトにも興味があったので、参加しました。はやぶさ2やJAXAの施設のことを、プロジェクトマネージャである津田さんから直接話していただき、津田さんの学歴を知ることもできて、大変良かったです。これからも知識をたくさん身につけ、将来このような仕事に就けるよう、頑張ります。(中3)
・僕は地学部員で、ロケットやはやぶさ2についてとても興味があり、プロジェクトやJAXA内部の様子について詳しく知りたいと思い、参加しました。津田さんから、はやぶさ2を打ち上げてから2回目のタッチダウンをするまでの様子を詳しく教えていただき、とてもためになりました。内部の様子を実際に見学し、講演もしていただけたので、この仕事について具体的なイメージを持つことができました。正直、はやぶさ2についてあまり詳しくは知らなかったのですが、プロジェクトの内容やその中での現場の方々の苦労を詳しく知り、はやぶさ2以外のJAXAの活動についても興味を持ちました。(中2)
・地学部であり、天文に興味があったので、参加しました。JAXAの売店や食堂などの日常使うような場所に行けたこと、なかなか見学できないような内部の場所も見学できたこと、中1の僕でも理解できるくらい、わかりやすく説明してくれたこと、すべてが良く、すばらしい体験ができました。ありがとうございました。(中1)

 

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、1学期期末考査後の自宅学習日である7月10日(水)に、朝日新聞東京本社を訪問しました。朝日新聞社には、数多くの桐朋高等学校の卒業生がいますが、今回は52期卒業の小野甲太郎さん(政治部外務省担当)[()内は現在のご担当業務]にコーディネートしていただき、33期の斎藤真さん(デジタルイノベーション本部)、35期の崎川真澄さん(ハフィントンポストCEO)、36期の石川尚文さん(論説委員)、42期の野田一郎さん(管理本部業務部)、53期の宮崎亮さん(社会部文科省担当)、56期の山下龍一さん(政治部防衛省担当)からお話をおうかがいしました。参加したのは、高校3年1名、高校2年13名、高校1年6名、中学3年2名、中学2年1名の計23名です。

最初に、論説委員の石川尚文さんから社説についてご説明いただきました。

「朝日新聞の社説は、意見、主張をまとめたページである『オピニオン欄』に掲載してあり、社外の人の意見、一般の読者からの投稿と合わせて、朝日新聞社の主張や見解を述べている。一般の記事は、基本的に『客観報道』としてファクト(事実)を伝えるもので、『解説』『視点』などのコラムは、有識者や記者個人の主張、見解を提示するものであり、基本的に署名を付けている。それに対して、社説は朝日新聞としての主張、見方を述べるものなので、主張の一貫性が求められる。そのため、論説委員の合議を経て掲載をしていて、無署名となっている。社説の執筆は論説委員(約30名)の担当であり、通常の記事を書く報道・編集局とは組織が分かれているため、記事と社説とで異なる主張、見解をすることもある。社説に取り上げる内容は、毎日論説委員が話し合う『昼会』で決めている」とお話しいただきました。

続いて、昼会を見学し、論説委員の方々の議論の様子を間近で体験しました。

その後、参議院議員選挙の選挙速報(当落判定)の準備として、分析などを行っている、政治部の比例区判定班の方々が作業をしている様子を見学しました。キャップの方から、当落の判定の方法とそれに向けた準備について教えていただき、参議院議員選挙の比例区では、5千万の票を調査することになるので、日本最大の世論調査とも言えるとお話しいただきました。

昼食を、朝日新聞社の社員食堂で取り、朝日新聞東京本社の社内見学ツアーに参加しました。

新聞記者の方々のお仕事ぶりを編集局で見学した際には、政治部のデスクの方からお話を伺い、紙面作りの流れを教えていただきました。また、印刷工場の巨大な輪転機が稼働している様子や、

発送室ではその日の夕刊が自動で梱包される様子見学しました。

最後に、桐朋高校の卒業生の方々と2時間ほど懇談をしました。
懇談では、生徒から事前に集めた質問に対して、卒業生の方々からお答えいただきました。

媒体が紙からデジタルへ移行しつつあることへの対応についてでは、「紙の新聞だろうが、デジタルだろうが、取材を記者がすることには変わりはない。紙は、全国の販売店が600万部の新聞を各家庭などに届けているのに対して、デジタルでは、記事一つ一つを読者の側で選んで読む形となる。記事をどう届けるのか、ネット上で拡散できるかなど、紙では行っていない工夫が必要となる。そのため、記者としての資質だけでなく、エディター、プロデューサーに近い資質が求められる」
記事を書くにあたって注意していることは
「記事の書き方として、心がけているのは全体像を伝えること。『わかりやすく書け』とも言われるが、わかりやすさとは、明快さや平易さにあたる。明快さでは、白黒はっきりさせることが求められ、例えば、グレーなものにおいて白のウエートが大きいと『白』と表現してしまいがちだが、グレーであることをきちんと伝えることを大事にしたいと考えている」とお話しいただきました。

他にも、「新聞社に入ろうと思った理由」や「記者の魅力、取材のやりがいや難しさ」などについてもご紹介いただきました。

懇談の場で出た生徒の質問として、「刑事事件での実名報道の意義について、どう考えるか」「地元の思いとは裏腹に、辺野古に基地を移そうと埋め立てに賛成をしている政治家はどんな思いでいるのか」「元ハンセン病患者の家族への賠償を国に命じた判決に対して政府が控訴する方針と報じた朝日新聞の報道について」「記事を書く際に、購読者の意向を意識することはあるのか」「取材記事において、他社の報道より優れた記事となるには何がポイントとなるのか」などがありました。
「朝日新聞ならではの魅力、気風は」という質問には「朝日新聞社の気風として、立場の上の者を名前で呼んで肩書きでは呼ばないことがある。このことと関連して、『新聞は現場で作る』という意識が強く、下の立場の者が上の者に意見することも多いし、上の者もしっかりと耳を傾けている。桐朋の雰囲気と通じるものがあるように思う。実際、朝日新聞社には桐朋出身者が実に多い」とお話しいただきました。

最後に、桐朋高校45期卒業で、朝日新聞の政治部記者として活躍中に難治がんを患い、闘病しながら「書かずに死ねるか」というタイトルのコラムを執筆し続けた野上祐さんを紹介したテレビ番組を皆で見ました。

全体の説明が終わった後にも、朝日新聞社本館2階コンコースで、生徒の質問にお答えいただきました。

参加した生徒の感想です。
・新聞記者という仕事に興味があったので、参加しました。新聞社では、もっとぴりぴりした雰囲気で仕事をしていると想像していましたが、実際にはアットホームで良い雰囲気だとわかりました。特に印象に残ったのが、社説に関する討論会です。書きたいテーマをプレゼンテーションした論説委員に対して、次々と意見が出され、やり取りする姿に、会議の理想を見たように思いました。仕事内容や新聞記者を志望した理由などを丁寧にお話くださり、とても面白く、学ぶことの多い時間でした。ありがとうございました。(高2)

・特に印象に残ったのは、社説の昼会です。静かな会議室で行われているのかと思っていたのですが、広い部屋の脇のスペースで、リラックスした雰囲気で行われていました。新聞の文体からはわからない裏の姿が見られて面白かったです。普通は入れない場所を見学でき、参院選の開票速報が行われる重要な場所も見せていただいたことは、この企画ならではの良さだと思いました。朝日新聞社には多くの桐朋OBがいらっしゃり、皆さんさまざまに活躍されていました。首相動静や沖縄での取材など、現場での様子を聞くことができ、実に興味深かったです。(高2)

・朝日新聞に興味があったので、参加しました。新聞の作り方や書き方などを知ることができましたし、朝日新聞社の雰囲気を直に感じることができて、とても面白かったです。ありがとうございました。(高2)

・政治に興味があり、朝日新聞社はリベラルとして有名なので、記者の方々の個々の意見を聞いてみたくて参加しました。朝日新聞の論説は、どのように誰が書いているのかが気になっていましたが、その現場である「昼会」を見学できて、とても勉強になりました。また、たくさんのOBの方の体験談を聞けて、ドラマのような話がリアルにあると知り、大変興味深かったです。お忙しい中、お時間を作ってください、本当にありがとうございました。(高2)

・企画内容に「昼会」の見学や社内の桐朋OBとの懇談会があって、この機会でないとなかなか経験できないような魅力があると考え、参加しました。「昼会」の見学を通して社説が書かれるプロセスを知ることができましたし、OBとの懇談会で、労働環境を含めた記者の仕事ぶりや報道に対するポリシーを伺うことができ、大変良かったです。今回教えていただいたことを念頭に置いて、今後新聞を読もうと思います。大変貴重な機会を、ありがとうございました。(高2)

・この進路企画では、文系に関する企画が少ないように感じていましたが、新聞社見学という、自分にとって興味深い内容だったので、参加しました。選挙での当選確実の表示がなされる仕組みを知るとともに、自分がその場に行くことができて、とても驚きました。実際に記者の方々が経験されたことや裏事情もお話しいただき、とても勉強になりました。ありがとうございました。(高2)

・社説に向けた議論の見学など、滅多にない体験ができると思い、参加しました。OBとの懇談会では、多くのお話を伺うことができ、大変参考になりました。ありがとうございました。(高2)

・具体的な進路がまだ決まっていないので、今後決める際の参考にしようと思って参加しました。たくさんの桐朋の卒業生の方から、多岐にわたるお話を聞くことができ、今後進路を決める上で重要な判断材料になりました。ありがとうございました。(高1)

・高校に進学し、今後の大学進学に向けて真剣に考え始めたものの、どの道に進もうか迷っています。実際に職業について体験しながら学べる絶好の機会だと思い、参加しました。日々、手軽さ故にテレビやスマホから情報を得ていて、新聞はけっして身近な感じはなかったのですが、多くの人が議論して丁寧に作っていることを知り、第一線で活躍されている、多くの桐朋卒業生の方々のお話を伺い、新聞を読む楽しさが増えたように思います。また、さまざまな人の、さまざまな仕事によって組織が成り立っていることを実感しました。他の新聞社と違い、朝日は、上司と部下の壁がなく、自由な社風だからこそ、本当に伝えたいことを伝えられるという話が強く印象に残りました。その社風が桐朋とよく似ているという話も興味深く感じました。何が事実なのかがわかりにくい世の中において、自由に真実を追究できる新聞の果たす役割は大きいと改めて思いました。お忙しい中、ありがとうございました。(高1)

・将来の夢は検事になることなので、事件に関するお話をさまざま聞けて、大変おもしろかったです。(高1)

・普段読んでいる新聞がどのように作られているのかに興味があったので、参加しました。記者の仕事を、わかりやすく具体的に説明していただき、参加して良かったと思いました。朝日新聞社ならではの特徴を知ることができ、とても面白かったです。(高1)

・思っていた以上に内容の濃いお話ばかりでしたし、普段は見ることのできない新聞社の裏側を見ることができ、大変良かったです。(高1)

・新聞の記事はどのようにして作られているのか、記者はどんな仕事をしているのかに興味があったので、参加しました。実際に、論説委員による社説の議論を見学して、新聞記者一人一人が自らの考えを持ち、堂々と議論をしている姿が印象的でした。桐朋OBとの懇談では、仕事内容から社会問題の話まで、政治部・社会部・デジタルイノベーション本部などさまざまな部署に所属している方々から2時間じっくりとお話を伺うことができ、とても面白く、勉強になりました。朝日新聞の魅力を実感できたように思います。(中3)

・母親が朝日新聞で働いているので見学してみたいと思い、参加しました。とてもわかりやすい説明をしていただけたので、朝日新聞社が大事にしている社風や、新聞を作る仕組みを深く知ることができました。社員の皆さんは忙しそうでしたが、皆さん笑顔だったのが印象的でした。(中2)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、1学期期末考査後の自宅学習日である7月9日(火)に、東京慈恵会医科大学を訪問しました。東京慈恵会医科大学には、桐朋高校の卒業生3名、桐朋女子高校の卒業生2名が基礎医学の分野で教授・准教授をなさっています。この方々の研究室に訪問し、研究内容について教えていただきました。参加したのは、高校2年生8名、1年生3名の計11名です。また、大学の授業を終えた卒業生1名も顔を出してくれました。

最初に、昨年度に引き続いて研究室訪問を企画してくださった岡部正隆先生からお話をうかがいました。岡部先生は、桐朋高校卒業で、解剖学講座の教授をなさっていて、形態学や進化学の研究に取り組んでいらっしゃいます。
まず、東京慈恵会医科大学について、慈恵医大の歴史と絡めてお話しいただき、病者中心の医療・医学をモットーとし、『病気を診ずして病人を診よ』『医と看護は車の両輪のごとし』をスローガンに掲げていて、研究の点でも、国をリードする最先端の医学研究を実施しているとご紹介いただきました。
岡部先生ご自身の研究内容もご説明いただきました。
「発生の研究をしている。発生において、細胞は分裂、増殖するのだが、その際、元の細胞とは別のもの(骨、筋肉、神経などの細胞)になっていく。このプロセスは遺伝子の制御による。研究の一つとして、魚はどのように上陸をし、陸上の脊椎動物になったのかに取り組んでいて、現存するさまざまな生き物のゲノムを比較し、どの遺伝子の変異により、魚のえら呼吸が動物の肺呼吸になっていくのかなどを研究している」とのお話で、いくつかの事例について教えていただきました。

ご説明の後に、実際のネズミ、魚を使った研究の一端を見学しました。
ネズミを使った研究では、遺伝子を操作して全身の細胞が緑色蛍光タンパク質で光るネズミを作り、臓器移植、例えば骨髄移植をした場合、移植した骨髄がどうなっていくのかを調べるそうです。生徒は手袋をしてネズミを確認し、ライトを当てることで緑に光ることを観察しました。

また、ゲノム編集に繋がるものとして、培養室で、培養したネズミの精子と卵子を顕微鏡で観察しました。

続いて、組織のプレパラートを作る方法を数種類教えていただき、さらに、共焦点レーザー顕微鏡とその仕組みもご説明いただきました。水槽に入った遺伝子組み換えをしたゼブラフィッシュを見学し、受精卵を観察しました。

続いて、桐朋高校卒業で、再生医学研究部の教授である岡野ジェイムス洋尚先生の研究室を訪れ、培養室で血液から培養した、ヒトのiPS細胞を顕微鏡で観察しました。

岡野先生から、再生医療の現在と未来についてご説明いただきました。

パーキンソン病や心筋梗塞を例に、iPS細胞による新たな治療法の開発に関するお話をうかがい、現在の医療の進歩と未来の可能性を実感することができました。また、遺伝子の異なる細胞を一つの体に合わせ持つ生物、キメラ動物に関連して、iPS細胞を用いて、人の臓器をブタで製造するというショッキングな研究についても教えていただき、もしブタの脳に人間の細胞が入った、知能の高いブタが誕生したら、その生物についてどう判断すべきなのかといった生命倫理の問題について話題にされ、深く考えさせられました。

その後、昼食を取りながら、岡部先生と岡野先生からさらにお話を伺いました。
両先生から、「医者として必要な社会性が育めるかを考えた場合、大学入試段階では、論理的に思考できる力が重要であり、その力があれば社会性は身につくと考えている。社会性を育む、脳の前頭葉が発達してくるのは10代後半からなので、その前にしっかりと論理性を育んでおくことが大事だ。論理的な文章を作るには、日本語で書くよりも英語の方がやりやすい。そのため、論理性を磨くために英語で論文を書かせようという話題もある」とお話しいただきました。さらに、岡野先生から「スタンフォード大学では、生物学に関する倫理的な問題を議論できるよう、文系の学生にも生物学を必修にしている」「テクノロジーはここ10年間でブレイクスルーを起こしていて、以前は治療できなかった病気にもさまざまな可能性が生まれている。この時代にメディカルサイエンスに取り組めるのは大変ラッキーだと学生に話している」と教えていただきました。
生徒からの質問で、「病気を持つヒトのiPS細胞を培養したら、病気になる細胞にはならないのか」「ヒトのiPS細胞で臓器を作る際、ブタの体内で作るのはなぜか」などの質問がありました。

続いて、桐朋女子高校卒業で、分子遺伝学の教授である玉利真由美先生からお話を伺いました。

先生は、疾患と遺伝子の関係を解明し、患者に対して最適な医療が施せるよう、病気に関係する遺伝子を特定して、治療方法や薬の開発に繋げる研究をなさっています。特に、アレルギー研究10ヵ年戦略の策定に向け、重症アレルギー患者の死亡者数をゼロにすることを目標に、国の研究チームの代表研究者として取り組んでいること、さらに、仕事上の指導者にあたるメンターと出会い、「追いかけたい背中を見つける」ことで、自分の可能性が広がっていくとお話しいただきました。

さらに、遺伝子の塩基配列を高速で読む装置、次世代シークエンサーを実際に見せていただきました。

次に、桐朋女子高校卒業で、分子生理学の准教授で、筋肉の研究をなさっている山口眞紀先生からお話を伺いました。
解剖学が身体の構造を解明する学問であるのに対して、生理学は身体の機能を研究する学問であること、コンピュータを使って、筋肉の動きをタンパク質の動きを基に解析する、分子動力学シミュレーションの仕組みなどについてご説明いただきました。

その後、筋肉の張力に関する実験などを見学しました。

続いて、桐朋高校卒業で、薬理学講座の教授である籾山俊彦先生の研究室を訪れ、脳の神経細胞のシナプスによる情報伝達の仕組みを研究するために、マウスの脳をスライスし、それに電気的刺激を与えて電流の流れ方をコンピュータで解析する様子を見学し、脳内のニューロンを観察しました。

最後に、岡部先生から本日の見学のまとめをしていただきました。
「iPS細胞やゲノムに関する研究は、ダイレクトに人間の役に立つ医療で、基礎研究は、生命の謎解きなど真理の探究をしている。科学を人に役立つテクノロジーにするために基礎研究があり、実際、日本でノーベル賞を受賞しているのは真理探究型の研究である。」「1人の医者を育てるには多くの費用がかかり、大学の授業料だけでなく国からの補助を受けて医学教育は行われている。だからこそ、医学の道に進む上で、国民のための医者であるという自覚を持つべきだ」とお話がありました。
生徒からの質問としては、「医学の研究にかかる費用はどのように支出されるのか」「自分は、医学だけでなく工学にも関心があるのだが、医療への工学の貢献にはどんな可能性があるか」「医師国家試験に合格した後、臨床に進むか、研究に進むのかはどのように決まっていくのか」などがありました。

参加した生徒の感想です。
・大学でどのような研究が行われているのかに興味がありましたし、桐朋の卒業生の方々の活躍の様子を実際に自分の目で見て学べる良い機会だと思い、参加しました。研究室を案内していただき、施設の素晴らしさを実感できましたし、研究の様子や医学部での学びについて詳しく知ることができ、将来のイメージを持つことができました。先生方の講義が大変興味深く、たくさん新たな知識を持つことができました。今後は、今回の体験を活かして、さまざまな物に興味を持ち、探求し、自分にふさわしい進路を見いだせるよう、頑張っていきたいと思います。(高2)

・医学部への進学を考えていて、入学後のことを詳しく知ることのできる良い機会だと思い、参加しました。医学部と言えば“医者”というイメージでしたが、研究による土台があってこその医者だとわかり、自分が医者になれたときの考え方が変わったように思います。実際に、iPS細胞やラットの実験などが見られて、大変良かったです。先生方が患者さんのための研究に取り組まれている姿を見て、自分も困っている人の助けになれる人間になりたいと思いました。貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。(高2)

・最先端の生物研究に関心があり、参加しました。近年話題になっているiPS細胞について知ることができ、大変勉強になりました。自分はまだまだ生物に関する知識が足りないのですが、そんな自分でも理解できるくらい、わかりやすく説明していただき、お話が大変おもしろかったです。ありがとうございました。(高2)

・理学部に進もうと思っているのですが、医学への理工学によるアプローチは、社会に貢献できる一つの選択肢だと思い、医学の現場も見てみたくて参加しました。iPS細胞を作る現場を実際に見て、お話も聞けて、大変勉強になりました。また、生物を学ぶ意義を改めて気付かされました。現場を実際に体験し、研究室の機材なども見ることができ、進路選択の際の重要な資料になると感じています。本当にありがとうございました。(高2)

・進路について考え始めなければと思い、医学に興味があったので、参加しました。先生方の研究内容や研究室の様子を知ることができて良かったです。ジェイムス先生のiPS細胞の研究は、今、一番話題になっているもので、その研究について詳しく知ることができ、勉強になりました。自分も、そんな研究をしてみたいと強く思いました。(高1)

・医学の研究に興味があったので、参加しました。研究内容を詳しく知ることができて良かったです。漠然と抱いていた研究へのイメージが、具体的なものになったように思います。今回は貴重な体験をたくさんさせていただき、本当にありがとうございました。(高1)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回は、高校生は1学期期末考査後の自宅学習日であり、中学生は期末考査最終日の7月8日(月)に、東京農工大学農学部を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で現在東京農工大学農学研究院教授の有江力先生と、東京農工大学客員教授の二谷貴夫先生です。参加したのは、高校3年3名、高校2年9名、高校1年4名、中学3年2名の計18名です。また、途中まで東京農工大学農学部在学中の卒業生も参加しました。

最初に、有江先生からご説明いただきました。

まず自己紹介をしていただきました。桐朋中高では33期で、卒業後東京大学理科Ⅱ類に進学、東京大学農学研究科博士課程を修了後、理化学研究所などで研究され、現在は東京農工大学農学部で教授をなさっています。

続いて、東京農工大学についてご紹介いただきました。

「東京農工大学は、一橋大学に次いで桐朋から近い国立大学である。農林学の分野では、国内で東大、京大に次いで第3位、世界でも50位に入る研究基軸大学で、大学院の教育に力を注ぎ、先端の研究力を付けることを目的とした教育を行っている。農学部は5学科あり、農学、生命科学、環境科学、獣医学を扱っている。農学部の学部生は300人いて、東大と並んで学生数が多い。教員数も多く、教員一人当たりの学生数は少ない大学として知られている。東京農工大学のスタートは、現在の新宿御苑の場所にあった農業関係の研究施設で、農学部と工学部という2つの学部の大学となったのは、養蚕に由来している。」とお話しいただきました。

また、研究についてご紹介いただきました。

「桐朋の生物の先生の影響で、33期生は生物系に進んだ者が多い。大学では、植物を観察したくて山に籠もる日々で、結果現在の道に進んでいる。植物病理学は植物が病気にかかる原因を探る学問で、植物と微生物の関係を見ることができ、さらに人間の生活を支えるという広がりも持っている。農林水産省とともに、植物の病気が日本に侵入するのを防ぐ取り組みも行っており、日本の農業を守る仕事もしている。植物の病気はカビによって起きる。ただし、カビのうち、ある株はバナナに、別の株はトマトにといった具合で、カビには特定の野菜にしかつかないという特徴があり、これについて研究している。例えば、トマトの病原菌である菌自体はどこにでもあるものだが、遺伝子を調べることで、野生のトマトが食用化される中で、菌がトマトへの病原性を持つようになったことがわかる。ゲノム解析にかかるコストが下がったことで、研究の手法が変わってきている。また、農薬にも化学物質に基づく農薬と微生物を使った農薬とがあり、生物農薬の可能性についても研究している。」とご説明いただきました。

生徒からの質問で、「生物農薬にはどういうものがあるのか」「害虫駆除のための、飛べないテントウムシというものを見たことがあるが、これも生物農薬にあたるのか」「ゲノム解析は今後どう活用されていくのか」などがありました。

続いて、農学部本館内にある農学部展示室を見学し、福島で栽培されている「倒れにくい稲」、農工大のルーツの一つにあたる駒場寮にあった「雲と自由の住むところ」と書かれた碑などについてご説明いただきました。

その後、研究室を見学し、菌の振盪培養の様子や、バナナの病原菌などを見せていただきましたし、一部実験の授業の様子も見学しました。

次に、雨量や土壌温度を計測しながら栽培しているトウモロコシなどがある圃場(東京ドーム3個分の広さ)を歩き、

植物工場を見学しました。植物工場では、ブルーベリーの栽培を通して、さまざまな研究がなされています。植物工場には、早春・晩秋を加え、四季を再現する6つの栽培室があり、

栽培に最適な環境である各部屋にブルーベリーの鉢を移動させ、ブルーベリーが通常1年かけて行うライフサイクル(萌芽→開化→着果→収穫→休眠)を1年に二度行わせ、品質を保ちつつ収量を増やす取り組みをするとともに、果樹への影響を調査しています。さらに、赤い光と青い光とで生育がどう違うのかの調査、鉢を移動させたり、果実を収穫したりする仕組みやロボットの開発といった研究も行われていました。ブルーベリーを試食し、種類による味の違いも体験しました。

生徒からの質問では、「植物を、本来の旬とは異なる時期に収穫できるように栽培して、悪影響などが出ないのか」「農学部と工学部で、研究の交流はあるのか」「大学院で博士課程を修了した後、どんな道に進めるのか」「研究費の点で、国立大学と早慶などの私立大学とで違いがあるのか」などがありました。

最後は、有江先生のご案内で、希望者が図書館を見学しました。

参加した生徒の感想です。

・農学部を志望していて農工大は行きたい大学なので、参加しました。先生のご説明で、農学部がどんなことを学ぶのか、特に、植物の病気や菌などといった、さまざまなアプローチから農学を学んでいることを知り、参加して大変良かったです。(高3)

・第一次産業に研究を通して関わりたいという思いがあるので、農学部に興味がありましたし、農工大ではトップレベルの勉強ができると思い、それを実感したくて参加しました。学園祭などでは見学できない、大学の「いつもの姿」を見ることができ、とても良かったです。(高3)

・農学部に興味があったので、参加しました。農学部の中で、細かく学科が分かれているとは知りませんでしたが、自分は生物、中でもフィールドワークやマクロなものが好きなので、自分にあった学科もあると知り、安心しました。(高2)

・生物が好きで、大学では実際どんなことをしているのか知りたくて、参加しました。理系の学生がどんな学習をしているのかを、生で見ることができ、おおざっぱであった大学の学習のイメージが、より鮮明になりました。有江先生、二谷先生、もし農工大に進学できたら、そのときはよろしくお願いします。(高2)

・農工大の共同獣医学科を志望していて、学科は違いますが、農工大について詳しく知ることができると思い、参加しました。学園祭では“外”を見ている印象が強かったのですが、今回はその“内”を見ることができたように思います。一般の人は入れないような施設を見学でき、大変良かったです。学科こそ違いますが、農工大が第一志望なので、無事合格できたら、よろしくお願いします。(高2)

・農学部でどんな研究をしているのかを知りたくて、参加しました。正直名前しか知らなかった農工大について詳しく知ることができ、良かったです。農学でのゲノム解析に興味が湧きました。(高2)

・農学部について、知識・イメージがなかったので、どんなところか知りたくて、参加しました。農学部がどんなことをしているのか、どんな施設があるのかなど、実際の見学を通して知ることができ、良かったです。植物病理学という分野を知って、大学にはたくさんの分野があることに気付きました。また、遺伝子組み換えなどの説明を、農学の研究者の方から聞けて、自分にとって貴重な体験でした。ありがとうございました。(高2)

・農工大ではどんな研究をしているのかを知りたいと思い、参加しました。研究室を見て、大学の具体的な雰囲気を知ることができましたし、教授の方と直接話すことができ、とても良かったです。進学したい大学を決めるにあたり、参考になるお話をたくさん聞くことができました。(高2)

・大学や研究室がどのようなところか、見たり聞いたりしたくて、参加しました。今回、丁寧な説明をたくさん聞き、学生の様子や各施設の内容を見ることができ、理解を持てました。先生の研究について、あまり知りませんでしたが、先生のご説明にとても興味を持ちました。機会があったら、農工大の工学部にも行ってみたいと思いました。(高1)

・良い機会になると思い、参加しました。今まで大学の中に入ったことがなかったのですが、先生がなさっている研究の話を聞き、想像していたよりも、大学では高度な研究をしていることがわかり、大学の印象が変わりましたし、将来のことを考えるヒントをもらえたように思います。(高1)

・農学や工学に興味があったので、参加しました。農工大の歴史、農学部での研究を詳しく知ることができて、良かったです。微生物などにも興味があるので、菌についての具体的な話が聞けて、楽しかったです。(高1)

・理系志望で、最近生物にも興味が湧いてきたので、参加しました。研究室に入ることができましたし、先生方からも詳しく、分かりやすくご説明いただき、大変良かったです。また、ブルーベリーもとてもおいしかったです。(高1)

・東京農工大学は桐朋に近い、有名な理系の国立大学だとは知っていましたが、農学部でどのような研究をしているのか知りたいと思い、参加しました。農学や生物病理学について、詳しく教えていただき、大変勉強になりました。植物工場の中を見学できて、特に四季の環境を人工的に作り出し、ブルーベリーをモデルとした研究をしていることに興味を持ちました。(中3)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、保護者の方との面談期間のため午前中のみの授業となる6月19日(水)に、東京大学医学部附属病院と、東京大学発ベンチャーであり、東京大学医学部附属病院とともにがんゲノム医療に取り組んでいる株式会社テンクー(Xcoo)を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、現在東京大学医学部附属病院助教、糖尿病・代謝内科の笹子敬洋先生と、同じく桐朋高等学校卒業で、株式会社テンクー代表取締役社長の西村邦裕さんです。参加したのは、高校2年4名、高校1年2名、中学3年2名、中学1年1名の計9名です。また、途中から東京大学医学部在学中の卒業生も参加しました。

最初に、東京大学医学部附属病院を訪問しました。笹子先生のご案内で、東京大学医学部附属病院内を歩き、病棟が見える場所では「病棟が一棟新設され、病床は1、200あまりとなった。また、病棟の屋上にはヘリポートもある」と教えていただきました。
その後、笹子先生の研究室でお話をうかがいました。

まず自己紹介をしていただきました。桐朋学園小出身、桐朋中高では51期で、生徒会活動に取り組むとともに、ESSに所属。卒業後東京大学医学部医学科に進学、現在は医学部附属病院助教、内科・糖尿病を専門になさっています。笹子先生が医師を目指したのは、生まれて間もない頃に二度手術を受け、命を助けてもらった経験があること、また、多くの人の役に立つ仕事がしたいという思いを持っていたことがあるとお話しいただきました。
続いて、糖尿病についてご説明いただきました。
「生活習慣病になるのは、運動不足、食生活の変化による脂肪の過剰摂取によって肥満が増えていることと関係している。現在、糖尿病の患者は1、000万人ほどで、50年で30倍以上増えている。糖尿病の怖さは、いろいろな合併症を引き起こすことにあり、細い血管が詰まると腎臓病、失明などに、太い血管が詰まると、心筋梗塞、脳卒中などに繋がる。治療は、食事、運動によって生活習慣を改善することを基本とし、内服薬、注射薬での治療を、患者の状況に合わせて行っていく。治療で大切になるのは、医師からの声かけ、対話である。医師との対話を通して、本人が納得して生活習慣の改善や自己管理に励むよう、働きかけている。また、薬を始める際にも、効果、副作用などを詳しく説明し、患者が納得をした上で行っている。納得を得るには、その患者にあった話し方をすることが大切だ」とお話しいただきました。

また、研究についてご紹介いただきました。
「研究などを論文にして発表する中で、珍しい患者の症例報告をすることもある。おそらく病気への不安から、肝臓に良いと聞いたサプリメントを摂取し、肝臓の働きが悪化した事例を報告したところ、サプリメントの規制に関する厚生労働省の検討会で取り上げられたことがある。研究の一つとして、マウスを使った基礎研究があり、マウスの遺伝子を操作することで、特定の遺伝子を持たないマウス、あるいは多いマウスを作り、病気のモデルとして詳しく解析し、治療法などの改善に繋がる研究をしている。さらに、マウスでの研究をヒトでの基礎研究に繋げ、生検検体での研究を行っている。また、臨床試験として、これまで通りの治療と、より厳しい目標に向けた治療とでの結果を比較することにも取り組んでいる」といったお話をしていただき、具体的な事例も紹介いただきました。
生徒からの質問で、「マウスを使った研究では、何匹くらいのマウスを使うのか」、「研究内容は自分で決めるのか」、「医者は忙しいと聞くが、実際はどうか」「大学の医師と開業医との違いは?」などがありました。笹子先生のお答えの中で強く印象に残ったお話として、「大学であれ、開業医であれ、医師は最終的には、教授や院長、科のトップなど、自分が何らかのトップになって仕切る役割を担う。この点は医者の仕事の一つの特徴だ」がありました。
続いて、マウスでの実験の一部を紹介してもらいました。
通常のマウスと、遺伝子の異常により、食欲が旺盛なことに加え代謝が悪く肥満になったマウスとを比較する実験において、筋力計による力の計測で、太ったマウスの方が力がありそうなのに実際は力が弱いことを見せてもらいました。また、マウスの血糖値の測り方も紹介いただき、血糖値が高い理由や治療法、薬の効果の確認などについて研究しているとお話しいただきました。
生徒からの質問として、「実験室に冷蔵庫が多いのはなぜか」「マウスの寿命は?」「マウスの感染症対策は?」などがありました。

続いて、西村さんにご案内いただきました。
最初に、東京大学内にある分子ライフイノベーション棟を見学しました。こちらは西村さんが東京大学医学部附属病院とともにがんゲノム医療の研究をしている施設の一つです。インフォマティクス室・シークエンス室などを廊下から見学し、次世代シークエンサなどいくつかの設備をご紹介いただくとともに、ゲノム解析の仕組みをご説明いただきました。

その後、東京大学構内をご案内いただき、安田講堂、図書館などの建物を見学しました。

続いて、本郷三丁目駅近くにある株式会社テンクー( https://xcoo.co.jp )を訪問し、会議室でお話をうかがいました。

最初に自己紹介があり、桐朋小学校出身、桐朋中高では51期で、陸上競技部に所属。卒業後東京大学理科Ⅰ類に進学し、博士課程修了後、東京大学大学院情報理工学系研究科助教などをお務めになりました。その中で起業もされ、現在、株式会社テンクーで代表取締役社長としてご活躍中です。2018年には、文部科学省科学技術・学術政策研究所が選定する、科学技術への顕著な貢献のあった研究者の一人に選ばれています。
がんゲノム医療と、その中での西村さんの取り組みについてご説明いただきました。

「現在、日本人の死因の3割ががんであり、また、2人に1人ががんになる時代であり、個人に合わせた精密医療としてのがんゲノム医療の重要性が高まっている。自分ががんゲノム医療に取り組んでいるのは、複雑で多量の医療情報を、AIの技術によって整理・解析しわかりやすく提示することにより、社会に貢献したいという思いがあるからだ。
がんとは、普通の細胞から発生した異常な細胞の塊のことで、がん細胞は、正常な細胞の遺伝子に傷がつくことにより、発生する。これまでの投薬治療では、がん細胞以外の細胞にも影響が及ぶため大きな副作用が生じたが、がん細胞のみを標的にできる分子標的薬が生まれた。また、ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑先生の研究により、免疫チェックポイント阻害剤も生まれている。これらの薬を効果的に使用するには、がん組織の遺伝子の情報を正確に把握することが必要になる。がんゲノム医療によって、遺伝子のチェックを基にした個人に適した治療、予防の実現が見込まれる。現在、がんゲノム医療が推進されているのは、遺伝子情報の読み取り技術の向上によって大幅なコストダウンが実現し、ゲノム医療の実現可能性が高まったことがある。情報技術は医療に貢献できる面がある。
実際のがんゲノム医療の手順は、①医師による検査・診療→②遺伝子情報の読み取り・解析→③データベースを基に治療の科学的根拠を検出→④情報をまとめたレポートの作成→⑤医療機関での診断・治療という流れになり、西村さんの会社では、このうち②~④を担当している」とお話しいただきました。
生徒からの質問では、「コンピュータのプログラミングをいつから勉強したのか」「発がん性のある物質にはどんなものがあるか」「がんによって、遺伝子が傷ついている状態は違うのか」「西村さんは、東京大学工学部で他にどんなことに取り組んだのか」「VRも研究していたそうだが、現在のがんゲノム医療に役立っていることはあるか」「東大工学部ならではの魅力として、どんなことがあるか」などがありました。「DNAを分析することで、その人の能力や未来がわかると聞いたりするが、信憑性はどうなのか」という質問へのお答えとして、「インターネットなどで購入できる遺伝子検査は、生活で役立つことを目的に性質を話題にするもので、病院で受けるゲノム医療は治療を意図した医療行為であり、大きく内容が異なる。遺伝子検査に基づくものには、商品によっては根拠のないものも多いので注意して欲しい」とご説明いただきました。

参加した生徒の感想です。
・医学系の研究や実験はどう行われているのかに興味があったので、参加しました。普段見ることのできない研究施設を見ることができて、勉強になりました。プログラミングが、間接的にではありますが、医療に貢献していることを知ることができ、よかったです。(高2)
・がんやAIに興味があったので、参加しました。医学の研究室を初めて体験して、具体的なイメージを持つことができましたし、工学について西村さんからたくさんお話を聞けて、とても面白かったし、勉強になりました。(高2)
・東大医学部に進学したいと思っているので、参加しました。これまで東大医学部のオープン・キャンパスに参加したことはありますが、普段の様子を知ることができ、大変参考になりました。研究内容のお話を聞き、研究に用いるマウスを見ることもでき、将来へのイメージが膨らみました。また、ゲノム分析により、効果的にがん治療を行えることを知り、素晴らしいと思いました。西村さんのお話を聞き、多分野との融合が起こりやすい総合大学に進学したいという思いが強くなりました。(高2)
・医学にも工学にも興味があり、志望する東京大学にも行ってみたいと思っていたので、参加しました。マウスを使った研究や病院の様子を実際に見ることができたこと、西村先生のスケールの大きなお話を聞き、医学と工学の繋がりの素晴らしさを知ったこと、がんゲノム医療を知り、学部を超えた繋がりを持つ、東大の長所を実感できたことなど、全ての点において良かったです。ありがとうございました(高2)
・純粋に楽しそうだと思い、参加しました。東大の中に入ることさえ、ためらいを感じていたので、良い機会を与えてくださり、ありがとうございました。テレビで見るような研究室を直に見ることができて良かったです。理系に進んだ人がどのようにして社会に出て行くのかが少しわかったような気がして、理系に進もうという目標がはっきりしました。(高1)
・医学部を志望しているので、参加しました。研究室の見学は、普段の生活ではできないような体験で、たいへん興味深かったし、お二人から経験談を交えたお話を聞くことができ、参考になりました。また、医学部に通っている先輩の話を聞くことができたのも良かったです。(高1)
・自分は何に興味があり、大学で何を研究するのか探したいと思い、参加しました。また、医学でどのような研究をしているのかも知りたいと思っていました。大学病院でどんなことをしているのか、また、マウスを使った実験の紹介を通して、研究の様子を知ることができ、大変良かったです。また、がんに対する新たな治療法や研究について詳しく知ることができましたし、情報工学から医療に貢献している方がいることを知り、感銘を受けました。東大病院の中を見ることができ、感激しました。(中3)
・東京大学の医学関係の施設を見学し、どんな研究をしているのか知りたいと思い、参加しました。これまで治療を受ける立場であり、治療を支える医学・科学などの技術もテレビで見るくらいしかできず、医師や科学者を雲の上のような存在だと思っていました。今回参加して、医師も科学者もスタート地点は自分と変わりがないが、「人を救いたい」という強い思いを持っているので、この職にあるのだと感じました。自分が勉強していく上で、何か自信が持てたように思います。また、お二人とも、順序立てて説明してくださり、大変わかりやすかったです。自分がスピーチや研究をする上での手本だと感じました。ありがとうございました。(中3)
・医学部志望で、将来どこの大学に行こうかと思っていたので、参加しました。思っていた以上に、大学の研究について自分なりに理解が持てたように思います。桐朋の先輩に会えて、僕も絶対に医学の道に行こうという気持ちが強くなり、がんばろうと思いました。(中1)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、保護者の方との面談期間のため午前中のみの授業となる6月18日(火)に、東京大学社会科学研究所を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、東京大学社会科学研究所教授の宇野重規先生です。参加したのは、高校3年2名、高校2年9名、中学3年2名の計13名です。本校卒業で、現在東京大学に在学中の2名も参加しました。

最初に自己紹介をしていただきました。先生は、桐朋には高校から入学、卒業後東京大学法学部に進学。博士課程を修了後、東京大学社会科学研究所の一員となり、アメリカやフランスの政治思想を研究なさっています。ご自身の原点として、桐朋中学受験での不合格があるとお話しいただきました。高校、大学の受験はうまくいったものの、最初の大学院入試でも失敗。交換留学、奨学金の審査でも希望通りにいかなかったりと、先生の人生は「一勝一敗」だと評されました。

続いて、東京大学社会科学研究所の全所的プロジェクトであり、先生も深く関わっていらっしゃる「希望学」についてご説明いただきました。希望学に取り組むにあたり、

「希望があるか」についてアンケート調査し、年齢・所得などの社会属性との相関性を確認したそうですが、想定を超える結果は得られなかったとのことでした。続いて、「希望」の定義を「Hope is a WISH for SOMETHING to COME TRUE by ACTION」と確認したことで、「希望が持てない」のは「WISH(強い思い)が足りないのか、SOMETHING(具体的な対象)がないのか、COME TRUE(実現可能性)が問題なのか、ACTION(行動)が足りないのか」と細かく分析できるようになり、定義の確認が研究の切り口になると教えていただきました。

こうした中で、興味深いデータと出会います。「挫折した経験があるか」と「希望のあるなし」に相関関係があり、「挫折したことがある人の方が、希望を持つ割合が上がる」ことが確認できたそうです。「挫折」の持つ意味として、「挫折して初めて見えるものがある・回り道した方が得られるものが多い」などがあると、お話しいただきました。さらに、迷路にネズミを入れた際、どんなネズミがゴールしやすいかについての実験があり、最初に多く失敗したネズミほど最短でゴールするという結果が得られたそうです。こうした点から、「迷って失敗したほど、学習できる」と、われわれにメッセージを贈っていただきました。

続いて、岩手県釜石での地域調査が話題になりました。東京大学社会科学研究所では、2005年から、東日本大震災後の2012年からも、さらに現在と、3回の調査を実施しているそうです。釜石の歴史を調べると、大津波に何度も襲われ、第二次世界大戦時には艦砲射撃を受けるなど大きな被害に逢い、中心の産業であった製鉄も1989年に操業停止するなど、街として繰り返し悲劇に見舞われています。それでも、2008年に製造業出荷額が最盛期のピークを上回ります。この復活では、釜石を出て都会で働いていた世代が活路になったそうです。「地域の人の力を、地域に戻った人の持つ新たなネットワークで活かし、それが復活の力になった。危機の際、狭い世界に閉じこもってはいけない」と教えていただきました。釜石のローカル・アイデンティティを再確認して、釜石の自然の魅力を活かした取り組みも進めました。その中で、街の人たちが積極的に対話し、希望を共有したことも大きな力になったそうです。希望に繋がるもの、支えるものを考えるヒントがここにあると感じました。

せっかく復活できたのに、東日本大震災が起き、絶望に逆戻りとなります。釜石は再び希望の光を見いだせるのか。子どもたちの力だけで津波を逃れた「釜石の奇跡」、「津波てんでんこ」の持つ意味を再度問い直しているそうです。津波の被害は、第一波でのものよりも、第一波を逃れたのに家族が気になって家に戻り、第二波に呑み込まれたケースの方が多いそうです。普段から津波の対策、準備をしっかりと共有し、皆がきちんと逃げていると信じられるようになること、これこそ「津波てんでんこ」の真の意味であり、釜石は、こうした準備、共有、信頼を基に、再びやり直せると良いのだが、とお話しいただきました。

その後、東京大学構内をご案内いただきました。

安田講堂

夏目漱石の小説『三四郎』の舞台にもなった三四郎池

続いて、質問を受けてくださいました。

ここでは、三つの質問についてご紹介します。
一つは、「希望学を行うことの意義」について。それに対して、次のようにお答えいただきました。
社会科学は、人間の行動を経済的利益などわかりやすいもので説明しようとする。政治学は権力で説明する。しかし、人間の行動は経済的利益や権力だけですべて説明できるのか。
行動する理由として、人との繋がりも重要だが、繋がればいいというわけでもない。『未来をはじめる 「人と一緒にいる」ことの政治学』という本でも話題にしたが、「教室内カースト」「友だち地獄」などの言葉があり、常時他者と繋がる辛さ、しんどさを感じてもいる。時に繋がりを切ってしまいたいという願望を持つことさえある。
「weak ties(弱い繋がり)」という言葉がある。親、仲間などの「strong ties(強い繋がり)」に対して、年1回会う程度の知人といった弱い繋がりを意味する。転職においては「weak ties」の方が役に立つことがわかった。強い繋がりでは煮詰まってしまい、発想の転換、新たな展開を作れない。もちろん、仲がよいのは良いことだが、べったりとした繋がりはしんどい面もある。
日本で調査すると、職場に不満を持つ人が増え、未婚率も高まっている。日本人は、人との繋がりを希望しつつ怯え、仕事、家族から遠ざかる傾向にある。
人が行動するときには、何らか思いがある。行動を起こすきっかけを探りたいという思いで、希望学に取り組んでいる。

次に、「東浩紀さんと宇野先生との対談を読み、民主主義に対する考え方の違いを感じました。この点について話して欲しいと思います」と、生徒がお願いしたのを受けて、次のようにお話しくださいました。
東浩紀さんは、哲学者・評論家で、ジャック・デリダなどの研究をしている。
東さんは「一般意志2.0」として、新しい民主主義のあり方を提案した。これは、『社会契約論』を書いたジャン・ジャック・ルソーが「一般意志」を話題にしたことによる。「一般意志」とは、個人個人の持つ「特殊意志」、それを集計した「全体意志」と異なり、公共の利益を目指し、公平さを失わない「社会としての意志」にあたる。しかし、問題は何が「一般意志」なのか、ということだ。
東さんは、「ルソーの時代では、『一般意志』を捉えることは技術的に困難だったが、今はネット上の世界がある。人はそれぞれ自分の情報や価値観をネットに流していて、現在は、それをビックデータを基に確認できる。つまり、『一般意志』を可視化することが可能な状況となった」と言っている。
それに対して、宇野先生は「デジタル上に『一般意志』があると思えない」とした上で、「民主主義はリアルな人間関係の中にあるし、一つの答えがあるわけではない。デモクラシーとは、いろいろな場でさまざまな人たちが自分の人生をかけて、社会を良くしようと取り組むことである。社会は、そうした実験を認め、許し、それにより社会が少しずつ変わっていく、それこそが民主主義だと考えている」とお話しくださり、ハワイ州ポリハレ州立公園の周辺道路が荒れているのを住民たちの努力で補修した事例、ITを駆使して地域の課題を解決する「コード・フォー・アメリカ」の事例などをご紹介いただきました。自分たちで仕組みを作り、社会を変えていく民主主義のあり方について理解することができました。

最後に、「研究者に進むにあたり、桐朋での経験が影響した部分はありますか?」という質問に対して、次のようにお答えいただきました。
桐朋生は社会の現場で活躍する志向があり、これまでは研究者になる人は少なかった印象がある。研究の世界では、筑駒や武蔵出身と比べると、桐朋出身者はあまりいなかったかもしれない。実は自分も大学生の頃は研究者になる気はなく、外国に行きたくて外交官になりたいという希望を持っていた。実際、大学ではESSに所属し、日米学生会議にも参加していた。そこで痛感したのは、アメリカ人はストレートに自分の政治主張を語るのに、日本人は政治を語りたがらない、語れないこと。これではいけないと思い、政治思想の道に入ってもう少し勉強しようかなという感じだったが、結果として一生の仕事になった。
桐朋の良い点は、やりたいことを自分で見つけろという姿勢にある。デモクラシーとは、各自が自分の責任で社会を良くしようと取り組むことで、桐朋の姿勢に通じる点があるし、桐朋には、自分で見つけたものに取り組む人を応援する雰囲気がある。自分は、海外の大学を複数巡り、日本国内でも全県を訪れ、さまざまに行動しているが、政治思想研究者でこんなことをしている者は珍しい。「社会をよくしたい」「アクティブに働きたい」という姿勢は桐朋のDNAと言えるとお話しくださいました。

参加した生徒の感想です。
・大学で社会について学びたいと考えていて、社会科学の企画だったので参加しました。事前にイメージしていたより対話形式での説明が多く、面白くお話を聞くことができました。社会を研究するとはどういうことなのかを多少理解でき、社会科学というものを実感できたように思います。ありがとうございました。(高2)

・東大志望だし、先生の本を読んだことがあったので、参加しました。オープンキャンパスとは異なる、普段の東大を見ることができたように思います。生徒との対話による講義だったので、楽しくお話を聞くことができました。また、現役東大生である先輩の頭の良さを間近で感じられ、刺激になりました。(高2)

・東大に行きたいと思っていて、政治にも興味を持っているので、参加しました。実際に、キャンパスを訪れ、社会科学研究所の内部を見ることができましたし、総合図書館の広さも知ることができ、大変良かったです。参加して、若者の政治離れが言われる現在、こうした機会は大変貴重だと感じました。今後も、後輩のためにこのような機会を設けていただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。(高2)

・東大の先生から直接お話を聞ける機会はなかなかないと思い、参加しました。お話の中心は、平等・不平等、デモクラシーのあり方など、社会思想に関する講義だろうと想像していましたが、希望学という、自分が全く知らなかった考え方に関する講義だったので驚きましたが、大変興味深かったです。また、質問に対するお答えの中で、社会を、一般意志を持つ一つの集合体として考えるのではなく、抽象度を下げた、もっと小さな規模で捉え、そこでの政治参加が本当の意味でのデモクラシーに繋がるという考えをお話しいただき、とても刺激を受けました。それと、先生が桐朋のOBでなければとうてい聞けないような、東大の裏話を聞けて、楽しかったです。また先生のお話をうかがえる機会を心待ちにしています。(高2)

・社会学に興味があり、大学見学を含め自分の進路の参考にしたかったし、東大という、日本で一番の大学はどんなところかを知りたいという思いもあって、参加しました。講義では小難しい内容が続くとイメージしていましたが、震災などの具体例を挙げながら、先生がなさっていることをお話しくださったので、大変わかりやすく、社会学部というものが、また東大という大学も、自分の中でより具体的なものになったように思います。またぜひお話をうかがう機会を得て、得られたデータなどから導き出した「希望学」に関する考えを、人々にどう発信し、社会に還元していくのかを、ぜひ教えていただければと思っています。よろしくお願いします。(高2)

・自分が何に興味があり、高校、大学何を学んでいきたいのかを見つけようと思い、参加しました。「教授のお話を聞く、研究に使う資料を見せてもらう」といった内容をイメージしていましたが、政治について一緒に話しながら考える形で、大変面白かったですし、希望学を軸として、現在の政治について深く考えることができたように思います。普段、政治について話を聞くことがあっても、希望という観点から社会の問題や復興について考える機会はなかったので、とても刺激を受けました。今後、さまざまな角度から政治について考えていきたいと思います。(中3)

・政治に興味があり、基礎知識を得たいと思ったし、社会科学とはどういうものかを知りたいと思い、参加しました。先生の研究や考え方に関する説明だけでなく、僕たちが社会を考え、自分なりの意志を持って未来に向け社会をより良くしていくことの大切さを力強く語ってくださり、この点が強く印象に残りました。政治的、歴史的な事柄を考える上での、基になるものを多く得ることができました。今後、社会を良くしていくために、新たな意見を自分なりに考え出せるのではと感じ、ワクワクしています。(中3)

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。今回は、2月13日(水)に、東京工業大学工学院経営工学系を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、現在東京工業大学工学院研究科経営工学系教授の井上光太郎先生です。参加したのは、高校2年1名、高校1年7名、中学3年4名の計12名です。

最初に井上先生にご経歴を紹介いただきました。

 

先生は、桐朋38期で、高校では世界史の綿引先生の授業に興味を持ち、東京大学文学部に進学。その後、興味が西洋史から経済史へと移り、金融やファイナンスへの関心が高まり、銀行に就職。銀行在職中にマサチューセッツ工科大学大学院に留学し、ファイナンスを専門的に研究。その後、研究者に転身され、慶應大学などで教鞭を執られ、2012年から東京工業大学でご指導なさっているとのことでした。

続いて、東工大の改革についてご説明いただきました。この春の入学生より、学部と大学院を統合・再編成し、6つの「学院」での入試、学修へと変更したことで、学部や大学院の区別を超えて学べるようになるなど、これまでと比べ、学びの選択肢が広がり、フレキシブルな学修が可能になるそうです。

また、東工大、東京医科歯科大学、一橋大学、東京外語大学の4つの大学は連合協定を結んでいて、井上先生のご専門である経営工学では一橋大学との交流があること、大学院の授業は、基本的に英語で行われ、学んでいる留学生も多く、博士課程では留学生が全体の8割を占めることもあること、それとともに、東工大からの留学も盛んなこと、また、東工大は就職に非常に強いことなどのお話がありました。

続いて、井上先生の研究室に所属している大学4年生から、東工大での学習や生活、受験の際の取り組み、ご自身の研究内容についてお話しいただきました。

 

 

 

経営工学のやりがい、強みについて、生徒が質問すると、就職先の限定がなく、いろんな分野に就職できる点、数学や経済はもちろん、文系の分野も含め、さまざまな学習を活用した研究ができる点などを、挙げてくださいました。

再び、井上先生のご説明となり、人生のキャリアパス、キャリアアップの道筋はさまざまで、若いころの挑戦は得るものが多く、失うものは少ないこと。また、勉強は、受験で終わりなのではなく一生続くし、社会に出ると厳しさが増すということを、ご自身の、マサチューセッツ工科大学での経験を通してご紹介いただきました。世界各国から集まる優秀な人たちに劣ることなく取り組むには、深夜3時、4時まで学習することが多々あり、その疲れから、授業でうたた寝をしたことがあった。その際、周囲に衝撃が走るほど、他の学生達にとって授業でのうたた寝はあり得ないとのことだった。大学が学生にハードワークを課す期間があり、そのときは深夜0時に課題が指示され、グループのメンバーで夜通し討議し続けたなどのエピソードを紹介してくださり、人間はこんなにも勉強できるのだと実感したとのお話でした。また、座学で学ぶのは大学受験までで、考えを構築する力は、高い知識レベルの者同士での討論で養われるとして、グループワーク、協働学習の重要性について語っていただきました。

続いて、ご専門の経営工学についてご紹介いただきました。

経営工学とは、生産現場の作業を科学的に分析する生産活動、企業の経営、経済システムについて、数理、経済、管理技術、経営管理の4分野に基づく幅広いアプローチによって問題解決を図るもので、数学を用いた統計分析から、文章・テキストのAIによる個人の趣味趣向の調査まで、多岐にわたる内容に取り組むため、理系だけでなく文系的発想も重要である。そのため、いろいろなことに興味を持ち学ぶ姿勢が大切になるとのお話でした。

さらに、具体的な内容として、ご専門のファイナンスについて教えていただきました。

 

 

 

 

ファイナンスとは、金銭の、現在の価値と将来の価値を繋ぐものであり、そこではリスクをどう評価するかがポイントとなる。リスクを回避したいと思う人は確実な利得を重視するし、リスクをとる人は高いリターンを期待した選択をする。

投資リターンの最大化は、企業にとっての共通した目的と言えるが、実際に企業がどう行動するかは、最終的な意志決定者である経営者が持つ、リスクに対する個人的なスタンスによる。そこで、経営者を対象に、個人の楽観度やリスクに対する意識を大規模調査した。

 

 

 

 

それによると、日本の経営者は楽観度が低く、アメリカは高い。リスクをとるかで言えば、日本は回避、アメリカはとる傾向が強い。中国は、楽観度は低いがリスクをとるという傾向がある。日本企業の経営者の安定志向、慎重な判断が、日本経済の活力にマイナスに働いている可能性があり、リスクをとらないことでイノベーションが起きないとも言える。

開成高校の校長がこんなことを言っている。「日本の高校生は世界一優秀だが、大学に入ると成長の度合いがアメリカの大学生に劣るようになり、40歳頃に逆転される。日本企業が持つ『出る杭を打つ』文化の影響だ。今、必要なのは『目利き』の存在だ。かつての名経営者は若手にチャレンジさせ、うまくいっていないと止めるという勇気を持っていた」この話は、『タフなKYになろう』という若者へのメッセージなのだと思う。

生徒が「日本の経営者の姿勢は、現在の経済状況によるのではないか。バブル期はどうだったのか」と質問すると、井上先生のお答えは「バブルの頃も変化はなく、本業でリスクをとってでも利潤を追求する姿勢は弱く、それが逆に、自分の専門外でリスク認識の薄い多角化や財テクと呼ばれる安易な投資に向かわせた」でした。さらに、「国によって、どうしてこうした違いが生じるのか」と質問すると、「中国系アメリカ人の対応は、中国よりアメリカに近い。アメリカでの教育がタフを求め、リーダーシップを育てることに関係している。会議でも、アメリカ人は自分の意見を曲げないのに対して、日本人は落とし所を常に考えている。教育の影響が強いのでは」とご説明いただきました。

その後、井上先生のご案内で、キャンパス内を巡りました。話し合いができるようにテーブルの形が工夫されている図書館に入れていただき、

 

 

 

 

ものつくり教育研究支援センターでは、東工大ものつくりサークル「マイスター」作成の人力飛行機などを見学しました。

 

 

 

 

参加した生徒の感想です。

・将来東工大に進学したいと思っていて、東工大の教授の方のお話を聞ける貴重な機会だと思い、参加しました。先生のお話は大変わかりやすく面白い内容でしたし、大学生の方のお話も聞くことができ、良い体験となりました。(高1)

・私は研究することが好きで、以前から東工大に行きたいと思っていたので、参加しました。東工大のキャンパスがとても広く、研究しやすい環境が整っていることを知ることができ、大学で研究したいという思いがいっそう強くなりました。経営工学についても、これまで何も知らなかったのですが、興味を持ちました。井上先生のMITでのお話や経営工学に関するお話がとてもおもしろくて、勉強へのモチベーションを高めることができました。ありがとうございました。(高1)

・大学の見学をしたいと思っていて、内容も面白そうだと感じ、参加しました。実際に、キャンパスを訪れ、お話も聞くことができ、大学がどういう場所なのかを理解できたように思います。経営工学の考え方が大変興味深く、とても勉強になりました。(中3)

・大学受験を経験した兄から、オープンキャンパスなど大学を訪問できる機会には積極的に参加した方が良いと勧められ、参加しました。東工大は、キャンパスが広く、校舎も思っていたよりもずっときれいで、驚きました。勝手なイメージで、大学は堅苦しいと思い込んでいましたが、全く違いましたし、学食の食事もすごく安くて、とてもおいしかったです。先生のお話で、これからは、理系か文系かなどはあまり関係がないと知り、どの科目もしっかりと取り組まなければと強く思いました。(中3)

学問などに対する興味を引き出し、学ぶ喜び、楽しみを知る機会として、希望者を対象として放課後に開講しているのが特別講座です。2018年度は、昨年度に引き続き、「日米文化交流 Global Classmates」が行われました。この講座は、アメリカのパートナー校の日本語を学ぶ高校生と、インターネット(メールやビデオなど)を介して週1回のペースで交流します。日米の高校生ともに、英語、日本語の両方を使ってコミュニケーションをするので、「生きた英語/日本語」を学び合うことができます。「日米文化交流Global Classmates」は、Kizuna Across Cultures(KAC)が運営するプログラムです。このプログラムに参加している約1、700名の高校生から選抜された日米6名ずつ12名がワシントンDCに集まり、「Global Classmates Summit」を行いますが、昨年度は本校生1名が選抜され、大きな活躍をしています。

グローバル・クラスメート・サミット

 

「Global Classmates」の活動の一つに、参加校が特定のテーマに基づいて数分の動画を作成しできばえを競うビデオコンテスト「Video Koshien」というプログラムがあります。日本の生徒は英語で、アメリカの生徒は日本語で作成します。今年のテーマは「友情(Friendship)」。本校高校1年生5名が参加し、日米の文化や教育に精通したグローバル・リーダーによる審査により、彼らの作品がグランプリを受賞しました。

 

 

 

 

代表の太田慎一郎君のコメントです。

「自由な発想で人とは違うものを作ってみようと思って応募しました。まさかグランプリがもらえるとは思っていなかったので、とても嬉しいです。一緒に作った仲間とも、楽しい時間を過ごすことができ、良い経験になりました。来年も頑張ります。」

作品をぜひご覧ください。

Video Koshien

なお、高1学年は、学年通信を生徒が作成しています。以下は、今回の快挙を報じた学年通信です。

学年通信はこちらです。
学年通信(続き)はこちらです。

 

進路企画として毎年開催している医学部生との懇談会が、2月23日(土)に行われました。卒業生は、防衛医大・東京医科歯科大・東北大・筑波大・東京慈恵会医科大・杏林大・昭和大・日本大から合計9名が、在校生は、高校3年3名、高校2年4名、高校1年10名、中学3年2名の19名が参加しました。

最初に、医学部生の代表から標準的な医学部のカリキュラムについて説明があり、医学だけでなく一般教養も学ぶこと、基礎医学では人体の構造や機能について学び、自分の身体を使って機能を確認することもあること、臨床医学では病気をいかに治すのかを学ぶこと、これらを学んだ後に臨床実習があり、実際の患者と接し、臨床スキルを学ぶとともに、医師としての姿勢について学ぶこと、大学卒業後は、医師になる、大学で医学教育に携わり、研究をする研究医になる、厚生労働省などに進み、医療に行政の面で関わるなど、さまざまな道があることなどが紹介されました。

さらに、在校生への事前アンケートで寄せられた質問内容を基に、医学部生による「ぶっちゃけ座談会」が行われました。「医学部ってモテるの?」「医師を目指したきっかけは?」「医学部に入って良かった点・大変な点」などのテーマで医学部生が話し合い、「高校の頃、街中で倒れている人を見かけ、心臓マッサージをしたことが医者を目指すきっかけになった」「人体の発生について学んでいると、五体満足で生まれることの幸運を実感し、感謝するようになる」などの話題がありました。

また、 医学部生による模擬授業として、感染症の仕組みや治療に関する講義も行われました。

メインのプログラムとして、各大学についての紹介があり、大学ごとにブースを設け、在校生は複数の大学の話を順に聞きました。和気藹々とした雰囲気の中で、各大学の特徴や魅力、進学を決めた理由、勉強法など多岐にわたる説明がありました。

在学しているからこその打ち明け話も多く、在校生の関心はますます高まり、全体会が終わったあとも、30分以上質問していましたが、医学部生も丁寧に答えてくれました。

また、「医学部受験対策資料」というタイトルの、30ページを超える冊子が配られました。これは、今回参加してくれた医学部生たちが作成した物で、合格体験記・不合格体験記、学習アドバイスが盛り込まれています。

参加した生徒の感想です。
・今日の話を聞いて、先輩たちがどんな勉強をしていたのかがよくわかりましたし、研究内容や臨床実習への関心が高まりました。特に、東北大学は,研究の充実ぶりが他校にないように感じ、興味深かったです。(高2)

・OBの話を聞いて、自分が想像していたよりも何倍も多く勉強していることを知り、すごく刺激になり、勉強へのモチベーションが上がりました。話を聞いた中で、東京慈恵会医科大は、家からも近く、部活もたくさんあって、自由な雰囲気のようで、関心を持ちました。(高1)

・もともと医学部に入りたいと思っていましたが、東京医科歯科大学は留学制度が充実していることを知り、ぜひ留学していろいろな人と一緒に医学を学んでみたいと思いました。(高1)

・医学部に入ってからの学習は、覚えることもたくさんあり、大変だと知りましたが、そうしたことを乗り越えて見えてくる物もあるように感じたし、医学部での学習内容、臨床研修に興味が湧きました。やはり人を助けるという仕事は良いと改めて思いました。話を聞いて、昭和大学一年次の寮生活が楽しそうでしたし、東北大は、設備が充実しているし、薬学部など他の学部との繋がりがあって、魅力的だと感じました。(高1)

・自分はもともと工学部志望だったのですが、医学部の話を聞き、医学への関心が高まりました。特に、東京医科歯科大学の説明は面白かったです。ただ、医学部のカリキュラムの説明で6年間何をするのかを知り、大変そうだなとも思いました。説明に来てくださった先輩方、楽しく、充実した時間をありがとうございました。(高1)

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