進路指導部主任メッセージ

出会いと対話を通して、進路を切り拓く手助けを行います。

進路指導部主任 佐々木 紀幸

卒業生を招いて行った高校1年生対象の進路企画の後に、ある生徒が「生き方って思っていたよりも自由であることを知った」と述べました。家庭と学校での生活が主である生徒たちに、卒業生と話をする機会を設けることは、将来の選択肢を広げるためには大きな力があるように思います。高校1年生の段階ですと、多くの生徒はまだ将来就きたい職業や取り組みたい学問は見通せず、文理の選択を決めかねるのが現状です。卒業生への質問でよくあるものの一つは、「どのようにして文理を決めましたか?」というものです。興味のある学問分野が明確にあったからと答える方がいれば、「とにかくどっちかに決めないといけなかったから」という答えをする方も一定数います。どちらの話を参考にするにしても、大事なことは生徒が自分で決めることです。これは本校が共通して大事にしていることであり、教育目標の一つである「自主」に象徴されます。

進路企画をしていて感じることの一つは、卒業生の仲の良さです。私がかつて担任した生徒たちに進路企画のための来校をお願いしたのですが、二つ返事で応じてくれ、さらには同期の卒業生たちにも声をかけてくれて、当日は実に楽しそうに後輩たちに大学での学びについて話をしてくれました。私が直接教えたことがない卒業生の方々が進路企画のために来校されたときも、同じ様子を感じます。自由な校風の下、趣味や関心、文理の違いなどを越えて、他者を尊重する精神が6年間、あるいは3年間で育っているように私には思えます。担任集団が中学入学から高校卒業までの6年間で基本的には変わらないことも、人間関係を知るという意味では大きいように思います。

 

本校では進路選択を、どの大学で何を学び、その先どのように社会と関わって生きていくのかを総合的に、幅広く考えていくことと捉えています。そのプロセスには自身の能力や適性と向き合うことは欠かせません。ある教え子は大学生になってから高校3年生の受験勉強を振り返り、「受験勉強をしながらずっと自分と向き合っていた」と話してくれました。他者や自分との対話を通し、憧れ、将来の自分像のようなものがだんだんと形作られていくものだと思います。本校は中高ともに行事が比較的多く、クラブ・委員会活動が活発です。これは仲間や教員たちと対話し、協力しながら物事を進めることに大きな教育的意義を見出しているためです。行事のもつ大事な側面の一つに「出会い」があります。本校では宿泊行事などの旅先で、多くの場合、現地で生活する人と接する機会を設けています。例えば、中学2年生の林間学校では尾瀬に行きますが、この行事は50年前から続いており、現地の方とのつながりを大事にしながら運営しています。「出会い」は行事以外の場面でも大事にされています。例えば、教員たちは専門教科を授業研究し、普段の授業の中で生徒たちに新たな学びとの「出会い」を提供できるように努めています。他にも、高校からも新入生を受け入れて混合クラスを作ることは、双方にとって新たな「出会い」となる場を提供するためです。

 

卒業生を招いて行う定まった進路行事(在校生卒業生懇談会)は高校3年間を通じて2回あります。

 

高校1年6月・・・高校を卒業して10年になる、社会人になって間もない卒業生を招き、仕事についての話や、その仕事を選んだ経緯などを話してもらいます。直後の夏休みに、「私の将来」と題する文章を作成し、9月に文集としてまとめます。

高校2年11月・・大学等で研究を続け、教鞭をとっている卒業生を招き、研究内容やその魅力について話をしてもらいます。

 

高校1年では、自身の興味関心、適性、能力と向き合いつつ、比較的遠い将来のこととして職業や生き方に対する認識を深めることを目指します。高校2年では、近い将来のこととして、大学等における学問分野への探求を進めるようなアプローチを行い、高校3年生における大学・学部選択へとつなげることを目指します。いずれの在卒懇においても、どのような体験に基づいて進路を決めたのか、中高にしておくべきことは何かなどが話題になります。

以上2つの行事以外にも、学年独自の取り組み、あるいは進路指導部主催の取り組みを複数行っています。例えば、大学の研究室訪問、会社訪問、医学部生・医師との交流会など、自分の興味や関心に応じて自由に参加できる行事が催されています。さらには、放課後には教員たちによる特別講座も行われ、日常の授業では触れるのが難しい専門性の高い内容に触れる機会が用意されています。

 

ほとんどの生徒は大学に進学するため、共通テストをはじめ、大学入試に対応する力を身に着けさせることも大事にしています。自校作成の実力テストや校内模試、大きな母集団の中での客観的な力を測るための外部模試を、高校の各学年で定期的に実施しています。生徒たちには、これらの試験を短期的な目標として設定するよう声をかけています。高校2年生、3年生では夏期講習を行い、非常に多くの生徒が利用します。文理別、大学別、分野別、レベル別、テストゼミ形式、小論文の添削、理科の実験など、講座の内容は多岐にわたります。また、進路指導部から、各学年の段階に応じた内容の説明会を行い、大学入試制度や入試に向けた準備・心構えについて、卒業生の助言を紹介しながら、伝えています。

 

生徒一人ひとりが自主性を発揮しながら学校生活を送る中で、様々な出会いを通して培った力をもとに、力強く未来を切り拓いていけるよう、サポートします。