TOHO Today 桐朋トゥデイ

  • 中学
  • 高校
  • 行事
  • クラブ

進路企画として、本校卒業生の現役東大生が東京大学を案内するという機会を設けました。
題して、“現役東大生による大学ツアー”。

7月14日(日)に、現役東大生6名が本郷キャンパスを案内しました。参加したのは、高校2年生6名、高校1年生6名、中学3年生1名の計13名です。

まず、赤門前に全員集合し、案内中も気軽に中高校生と交流ができるように、東大生の自己紹介が行われました。その後東大生の案内により、キャンパス内のさまざまな施設を見学しました。

赤門前に集合しましたが、あいにくの雨でした。

ツアーの前に、東大生の自己紹介がありました。

ツアー開始。構内を歩き、図書館や安田講堂、大学生協、学食などを巡り、各学部の校舎紹介などもありました。

その後、構内の教室において、高校時代の取り組み、大学生活の今、大学にはどんなチャンスが待ってるか等についてのプレゼンが行われ、様々な学部学科の先輩からの興味深い話に耳を傾けました。個別相談の時間もあり、大学生活についてや大学にはいるための勉強法・心構えなどを相談していました。

10:30から16:00までの有意義な時間はあっという間に過ぎました。

 

 

 

NPO法人映画甲子園主催『高校生のためのeiga worldcup2019』の最終審査結果が2019年12月7日に発表されました。本校高校2年生と他校生でグループを組み、作成した2作品、『Nah Nah Teen』が自由部門で優秀音楽賞、『彩光の一手』が地域部門で全国2位にあたる優秀作品賞を受賞しました。

本校生に向けた上映会を以下の日程で実施します。場所は、本校ホールです。

2月19日(水)~21日(金)の放課後、2作品合わせて1時間程度の上映になります。鑑賞を希望する方は、ぜひご参加ください。

監督を務めた太田慎一郎君のコメントです。

表彰式にて。『彩光の一手』が地域部門優秀作品賞を受賞した際の写真

「高校2年E組の太田慎一郎です。今回僕たちは桐朋内と外部の高校で有志を募り、その仲間で夏に映画『Nah Nah Teen』と『彩光の一手』を制作し、提出先の『NPO法人映画甲子園主催 高校生のためのeiga worldcup』という高校生映画の全国大会で、優秀作品賞と優秀音楽賞を受賞しました。もちろん、僕たちが身を削って作った作品で賞を頂けたのは大変嬉しいことですが、何よりも参加してくれたメンバーが制作中楽しそうだったことが、僕の一番嬉しかったことです。
僕は中学3年の終わりに有志で短編映画を作り始めました。その時は、”中学卒業記念”という名目で有志を募って、『映画が好きだから』『なんか作ってみたいから』という欲で作り始めたのですが、制作し終わってその映画を上映した時、2つのことに気付きました。ひとつは、みんなで同じ目標に向かって一緒に何かを作り上げることが、大変でもあり同時に楽しく、作り終えた時に大きな達成感があったこと。そしてもうひとつは、価値観も性格も違う人間同士が考えを共有するというのはとても素晴らしいということです。
桐朋では、部活や委員会など比較的同じようなタイプの人と行動することが多いです。だから僕たちが有志で集まって活動した時、とても刺激的な雰囲気が生まれました。小説をよく書く脚本の人もいれば、最新の技術が好きで知識がある人、アクションっぽく動くのが得意な人もいれば、リーダーシップを取ってみんなをまとめられる人、場を盛り上げてくれる人、普段は大人しいけど知的で想像力に溢れた人、絵を描くのが得意な人、ポスターデザインやデスクワークが好きな人、音楽を作れる人、サポートが好きな人、などなど、有志で集まると、本当に多種多様な人が集まります。そして参加してくれたメンバーから『あいつとはあまり喋ったことなかったけど、こんな面白い人だったんだ』とか『こんな考え方もあるのね』という声を聞き、本当にやりがいを感じました。もしかしたら、この複雑化した社会で、このように価値観の違いを互いに共有することはとても重要なことなのかも知れません。
そしてその後は『作りたい』という私的な理由よりかはむしろ『みんなが違いを共有できる場を作りたい』という理由で、短編映画に限らず、バンドを組んで音楽、日本語を交えた英語の演劇などを、今日まで有志で作り続けました。今回作品を作り上げることができたのは、参加してくれたメンバーだけでなく、協力してくれた先生やお店、外部の人など沢山の方や、桐朋という自由で個人のアイデンティティを尊重する環境のおかげです。今は多くの人への感謝の気持ちでいっぱいです。
今回受賞した2つの作品は、『NPO法人映画甲子園主催 高校生のためのeiga worldcup』のHPから視聴可能です。お時間のある時に、是非観て頂けると嬉しいです。
長くなってしまいましたが、ここまで読んでくれた方、ありがとうございました。」

作品のあらすじです。
「NahNahTeen」(35分)
人間関係や社会についての僕なりの考えを、7つのパートに分けて、ドラマとミュージカルでポップに表現した作品です!!
今作は桐朋生だけでなく、桐朋女子や学芸大附属高の友達とも一緒に制作しました!!
カメラワークや色使い、そして音楽にこだわり、映画甲子園では優秀音楽賞を受賞しました!!
そして、複数の視点を様々な方法で表現し、パートごとに雰囲気が違うのも今作の魅力なので、そういうところも楽しんで観て頂けたらなと思います!!

『Nah Nah Teen』の撮影最終日に撮った集合写真

『彩光の一手」(10分)

父親の転勤のため転校の多い主人公には、「故郷」と呼べる場所がない。今度の転校先でも、また同じことの繰り返しだとおもっていたのだが…。

“故郷”が今年の映画甲子園の地域部門のテーマであり、それに対して「故郷の無い人にとっての本当の故郷とは?」というアプローチで、少人数で制作し、映画甲子園では優秀作品賞を受賞しました!!
今作の脚本は、1年前に制作した「翡翠」に引き続き、高校2年大藏幹太君が担当しました!!
学校だけでなく、国立市内のあらゆる場所でロケをしましたので、是非そんなところも含めて楽しく観て頂けたらなと思います!!

1月16日の放課後に『数学カフェ』を開催しました。
ジュニア数学オリンピック(JJMO)の予選問題の解答を公式サイトによる発表よりも早く作る企画です。
参加者はJJMOに出場した中学2年生が中心でしたが,それ以外の生徒も参加してくれました。

多目的ラウンジのホワイトボードを利用して,予選当日に解けなかった問題・解答が判然としない問題について議論が交わされました。
「カフェ」ですので,コーヒーと若干のお菓子も出ます。多目的ラウンジは壁面全体がホワイトボードになっていますので,数式や図で埋め尽くすにはちょうど良いスペースです。

この日議論が白熱した直角三角形によるタイル張りの問題では,数え上げをする上での2人の生徒から出た2つのアイデア(120°の分割と平行四辺形によるタイリング)の良いところを融合させ,答にたどりつくことができました。

また,問題文を理解すること自体が難しいオセロのような第11問の問題についても,鋭いアイデアが出たことにより解法の突破口が見えました。

JJMOはある種の競技性が強い数学のコンテストです。
教員も巻き込み,仲間と楽しみながらアイデアをぶつけ合う,非常に良い時間となりました。

本校では、2020年の夏休みに、ケンブリッジ大学での語学研修と、ハロウスクールのサマーコース(2020年度はインターナショナルクラスになります)をともに実施する予定です。
ケンブリッジ大学での海外語学研修は、2012年より2年に一度実施しています。高校1年・2年生の希望者を対象に、ケンブリッジ大学内のcollegeを使って研修します。プログラム内容は、本校教員と現地のプログラムコーディネーターとが連携して作成したオリジナルなものになっています。
詳細につきましては、2016年の様子をこちらでご確認いただけます。
イギリスのパブリックスクールとの交流は、ラグビースクールのラグビー部が海外遠征で来日した際、本校ラグビー部と試合をしたことがきっかけで始まりました。2017年にラグビースクールでのサマーコース(桐朋生のみのクラス)を実施し、ハロウスクールでは、2018年にはサマーコースのうちインターナショナルのコースを、2019年にサマーコースで桐朋生のみのクラスを実施しています。
詳細につきましては、2019年の様子を2019年の様子をこちらでご確認いただけます。

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回は、2学期期末考査後の自宅学習期間にあたる12月19日(木)に、東洋大学社会学部に訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、東洋大学社会学部社会文化システム学科教授の高橋典史先生です。参加したのは、高校3年1名、高校2年3名、高校1年1名、中学3年1名、合計6名です。

最初に、高橋先生の、宗教社会学の講義に参加しました。

受講生は、大学2・3年生が中心で、230名あまりでしたが、大教室の一番前で講義を受けました。講義のテーマは「宗教と多文化共生のまとめ」で、概略は次の内容でした。
「在日外国人労働者の増加や移民のもたらす宗教文化の影響などから、宗教組織やその活動において、グローバル化、多様化が進んでいる。この点を社会調査する際に役立つ研究視点として、移民による宗教を、「モノエスニックな宗教組織」(特定の民族で構成されているもの)、「マルチエスニックな宗教組織」(複数の民族を包含するもの)という2類型で捉える見方がある。また、多文化共生を考える上で、それに関する、宗教組織の活動を二つに分類することが必要になる。一つは、マルチエスニックな組織における「宗教組織内<多文化共生>」で、言語や背景の異なる民族が組織内でいかに共存できるかをマネージメントすること、具体的には儀式をどの言語で行うかなどがある。もう一つは、「宗教組織外<多文化共生>」である。宗教組織の外側にあたる公的な領域において、布教活動などとは別に、多文化共生に該当する社会活動を行うことである。例として、地域における日本語教育などがある。社会学的に重要となるのは、宗教団体が社会に対してどのような活動をしているかを捉えることである。地域社会において多文化共生政策を実施する活動主体として、行政・NPO・宗教団体などがあるが、日本の経済力の低下により、行政による社会福祉や公共サービスではスリム化、民営化が進められている。こうした中で、NPOなどは行政の下請け企業化する状況が生じ、補助金への依存が進む一方、不況による補助金の削減もあって、NPOの活動は翻弄されている。一方、宗教団体は、行政に依存しておらず、理念的・人的・経済的に自立し、幅広く社会貢献活動に取り組んでいるものも少なくない。地域の多文化共生において存在感が増している宗教団体の活動に、学術的、社会的に目を向ける必要性がある。ただし、宗教団体は社会活動に特化した団体ではないので、宗教理念に違和感を覚えるなど、社会から賛同されにくい面もあり、宗教団体による多文化共生の活動にも限界がある点には留意が必要である」

次に、会議室に移動し、質疑応答を基本として、高橋先生から1時間ほどお話をお伺いしました。

最初に、自己紹介をしていただきました。
「大学では、民俗学・文化人類学を学びたいと思い、千葉大学文学部に進学した。きっかけとして、一つは、自分は東京郊外の農村地域のあきる野市出身で、お祭りや地域の行事が多く、お寺や神社を身近に感じながら育ったが、桐朋中に来て、他の地域では宗教と関わりのない生活をしていることを知り、違いに興味を持ったこと。二つ目として、中3の修学旅行で遠野に行った時、引率の小柳敏志先生 から、柳田国男の『遠野物語』や日本人の伝統的な考え方などに関するお話を聞き、自分の幼い頃の体験はかつての日本で一般的になされていたことだが、近代化、都市化が進み、大きく変化していることに興味を持ったことがある。その後、大学生の頃、9.11の同時多発テロがあり、文化や宗教の衝突がもたらす事態に衝撃を受け、宗教の社会的意義と多文化共生に関心を持つようになり、また、中高生の頃、オウム真理教事件が起き、興味本位からではあるが、宗教に関心を持っていたこともあって、宗教社会学を志し、大学院から一橋大学社会学研究科に。大学院で学ぶ中で研究者の道に魅力を感じ、2012年から東洋大学社会学部に勤めている」
生徒からの質問として、「一般企業では業績などにより給与等に違いが生じると思うが、研究者の世界ではどうか?」「キリスト教関係と思われる、日本語に堪能な外国人から『英語を教えるから来ないか』と、街中で声をかけられたことがある。不審に思い、相手にしなかったが、そんな自分がいずれ宗教に目覚める可能性はあるのか?」「日本に移民が増えることで、自分の回りにも宗教に対する考え方の異なる人が増えていくだろう。どんな問題が起き、それをどう解決していくべきか?」「宗教社会学における宗教の定義とは何か?」「社会学の研究が、社会に与える影響力についてどう考えているか?」などがあり、詳しくご説明いただきました。
先生からのご説明の一部をご紹介します。
「キリスト教で、同性愛に否定的な教義がある一方で、アメリカでは、同性婚が認められていて、扱いの違いが議論になっていると聞いた。今後、宗教の尊重と、人間としてのマイノリティへの理解は両立できると思うか」という質問については、
「授業では、宗教が社会に適合している例として多文化共生を話題にしたが、宗教の中には、保守的、伝統的な考えから、近代的な人権とは必ずしも一致しない価値観を持つものもある。日本では、人権問題への意識の高い人が、こうした宗教の保守的傾向を忌避してコミュニケーションを取らない傾向がある。一方、アメリカなどでは、キリスト教の各宗派で考え方に違いがあっても、社会的に対話や議論がなされ、宗教側が考えを変えていくこともある。もちろん、日本でも、個々の宗教者レベルで、社会との対話に積極的な人もいるが、団体レベルの取り組みはそれほど進んでいない。研究者やメディアが宗教団体に働きかけていくことで、社会と積極的に対話する、開かれた宗教へと促していく必要を感じている。去年、イギリスでLGBTの若いムスリムたちと話をした。彼らはイスラム教の信仰を続けたいのだが、イスラム教はLGBTに否定的なため、ムスリムのコミュニティではなかなか受け入れてもらえない。その状況でも試行錯誤しながら頑張っていると聞いた。今後日本でも、宗教団体の古い体質の中で新しい動きを起こす人たちと社会がいかに連携していくかが、問題となるだろう」とご説明いただきました。
また、「アメリカでは、建国の理念である『神の下の平等』を重視していると聞く。宗教によって、格差が解消する可能性はあるか?」に対しては、
「アメリカは、清教徒が信仰をもとに建国し、他の移民もそれに賛同することで国家となっていった。人種や移民に対する差別という現実はあるが、宗教社会学者のロバート・ベラーが『市民宗教』と語ったように、理念としては『神の下の平等』が共有されていて、さまざまな問題に直面した際の強みになっている。宗教ではないが、フランスでは共和国の理念が浸透している。日本は、このような宗教的理念や共通の基盤となる思想が弱く、社会的課題と向き合う際に、拠って立つ根拠が薄弱であるため、普遍的価値の構築と共有が今後の課題だと考えている。実際、日本人による議論は、共通の価値観をベースに解決策、合意点を見出す形とはならず、それぞれの立場で意見を表明するだけで、問題が先送りになることが多い。多文化共生においても、外国人による『ご近所トラブル』が生じた際、『郷に入ったら郷に従え』の発想から日本の習慣を押しつけて済ますことが多い。こうした問題について多文化共生の専門家に聞くと、トラブルの関係者が議論を通して、お互いが納得できるルール、原則を決めることが重要だという。これは外国人に対してだけでなく、さまざまな価値観、バックグラウンドを持つ他のマイノリティに対しても同様のはずだ。皆で意見を出し合って、共有できる原則、価値観を作り上げ、それを尊重しながら社会を動かしていく、こうした姿勢を、日本人も教育などを通して身につけていくことが、今後ますます必要になるだろう。」とお話しいただきました。

参加した生徒の感想です。
・大学は、推薦入試で文学部に進学することが決定しているので、入学後の学科の選考に役立つのではと考え、さらに、以前に宮台真司氏の社会学の本を読んだことがあり、興味があったので、参加しました。第一線で活躍している教授の方の講義に参加し、さらに、1時間以上にわたって、質疑応答ができて大変良かったです。大学で社会学を専攻することも考えているので、とても参考になりました。自分のいる環境では、宗教にとっつきにくい面を感じていましたが、社会学を介することで、実生活と結びつくものとして、身近に感じることができました。(高3)
・オープンキャンパスでも模擬授業はありますが、本物の大学の講義を実際に受けることができ、オープンキャンパスでは味わえない、生の雰囲気を知ることができたように思います。日本に外国人が増えると、宗教が多様化することや宗教団体が公的領域で行っている活動の存在などについて、非常に興味深いお話を聞くことができ、楽しかったです。外国人に初めて勧誘されそうになったときのモヤモヤした気持ちが消えました。ありがとうございました。(高2)
・社会学に興味があり、高校2年生対象の在校生卒業生懇談会の際の高橋先生のお話がとても興味深かったので、参加しました。大学の授業に参加して、こんなにおもしろいんだとわかりましたし、大人数の授業の雰囲気も実感できました。また、質問の時間には、丁寧に説明いただいたので、有意義な時間を過ごすことができました。現在、SDGsの動画コンテストに向けて、映画制作に取り組んでいるので、社会問題をテーマとして扱う際の注意点などについて、教えていただきたいと思っています。(高2)
・自分は社会学に興味があり、一つの正解に絞れない「社会問題」というテーマに対して、人々がそれぞれどんな価値観を持っているのか、あるいは、自分の考えとはどう違っているのかを知りたいと思っています。高橋先生の講義を受け、元来の固体化された宗教に対する概念とは違って、先生独自の見解を見出し、宗教社会学への理解を深めていこうとする姿勢に感銘を受けました。日本にも滞日外国人が増加しているが、そのことを考える際、ヨーロッパの宗教文化だけを基準に捉えるのは正しくないというお考えを聞けて良かったと思います。また、宗教設備を公的教育にも利用している集団もあるなどのお話を聞き、異文化交流に対する理解も深まったように思います。(高2)
・自分は理系志望ですが、文系の研究を一度見てみたかったし、宗教にも興味があるので参加しました。なかなか体験できない、大学の実際の授業に参加し、大学というものを実感できましたし、宗教社会学についても深い内容を知ることができました。良い経験になりましたし、関心が理系に偏っている自分には、新しい見方を持つ良いきっかけになったと感じています。ありがとうございました。(高1)
・自分にはあまりなじみのない宗教を、社会学的視点から捉えることによって、どう考えることができるのかについて学んだり、大学の先生と話したりしてみたかったので、参加しました。実際に200人を超える講義に参加し、宗教社会学について学べただけでなく、大学の講義の雰囲気を感じ取ることができました。また、身近な話題から、社会学は何を研究し、社会にどう発信していくのかについて考えることができ、とても良かったです。現代の社会問題、宗教問題、さらには、社会における社会学の役割について詳しく知ることができました。ありがとうございました。(中3)

78期学年(中学2年)では数学コンテストを定期的に実施しています。

形式は,「短い制限時間内の試験」ではなく,1/8(木)から1/30(木)までの約3週間,自宅や休み時間など自由に時間を使って,与えられた7つの難題に挑戦する形式です。


【写真】数学コンテスト解答状況を廊下に掲示。毎日正解者数を更新しています。(写真は1/15日時点のものです)

実際に出題した7題のうち2題ほどを紹介します:

<問題3>

nを自然数とし,次の条件を満たす を見つけることを考えます。

(条件)n×2020 は2つの連続した自然数の積で表現される。

この条件を満たす明白なnは,n=2019 やn=2021 ですが,
n=5 のときも,
5×2020=100×101
と書き換えられるので条件を満たしていると言えます。これは興味深いことです。
では,2019未満の自然数nのうち,条件を満たす最大のnを求めてみてください。

<問題7>

学習したように,√2 を小数で書き下すと,
√2=1.4121…
となります。循環のない無限小数です。ところで,
√55=7.4161…
ですので,√2と√55では小数第1位と小数第2位が一致していることが見てとれます。 また,
√180=13.4161…
であるので,√2と√180でも小数第1位と小数第2位が一致していることが見てとれます。
さて,そこで, 次の条件を満たす最小の自然数n(ただしn≧3とする)を求めて下さい:

(条件)√nと√2は小数で書き下したときに,小数第1位,小数第2位,小数第3位,小数第4位が一致する。

※なお,この問題は電卓があると解きやすいと思われます。使用する電卓については根号機能は必要なく,掛け算機能のみあれば充分です。

柔軟な発想と計算力が要求され,1題解くのも難しい問題です。
解答に際しては,友人と相談しても構いませんし,電卓やPCを使っても構いません(PCは使わなくても解ける問題を出題していますが)。実際に第7問目は電卓の使用を推奨する問題でしたが,手計算のみで答えを出した生徒が今のところ2名います。また,プログラミングによる解答も立派な解答で,そのような方法で解答してくれた生徒もいます。

学年としては,
①新しいアイデアを考えることの楽しさ
②数字に遊び感覚で触れ合い,「勉強」と「遊び」の境界をなくすこと
③親友と話題になる数学
をねらいとしてコンテストを開催しています。

作題者としては,生徒が楽しそうに解いているのを見るのが最高の喜びです。

<追記>
解答をこちらのページに掲載いたしました。

希望者対象の催しとして、生徒に紹介するものについての情報を発信します。要点のみとなります。

「大学で研究してみませんか」

中高入試の代休日を利用して、高校生を中心とした桐朋生のための特別講義が行われます。

「慶應大学法学部訪問」

日時 2月4日(火)13時30分~16時
内容 桐朋高校47期ご卒業で、慶應大学法学部法律学科教授の大屋雄裕先生に、慶應大学三田キャンパスで、大屋先生から、法学部で学べる内容・法律学を学ぶ意義、さらに、法律学が直面している課題であるAIを法学がどう受け止め、コントロールしようとしているのかについてもご説明いただきます。
集合時間・場所 13時20分 慶應大学三田キャンパス正門付近集合
解散 16時頃 慶應大学三田キャンパスにて解散予定
中学生の参加 可
定員 特になし
締切 1月29日(水)

「竹中工務店東京本店訪問」

日時 2月12日(水)13時~17時10分
内容 桐朋高校33期ご卒業で、木造・木質建築推進本部長の松崎裕之さん、55期ご卒業で、技術部計画2グループ主任の中山尚之さん、56期ご卒業で、技術研究所先端技術部デジタル生産グループ研究主任の松田耕さんから、竹中工務店東京本店で、最先端技術、生産部門、木造でのビル建築などについてご説明いただき、作業所や建築途中の木造ビルの現場などを見学します。
集合時間・場所 12時50分 竹中工務店東京本店1階受付付近集合
解散 17時15分頃 東陽町駅にて解散予定
中学生の参加 可
定員 20人
締切 2月5日(水)

「進路企画」

「医学部生と医学部志望者との懇談会 および 現役医師による特別講義」

日時 2月23日(日)懇談会9時30分~14時30分 特別講義14時30分~16時30分
内容 
懇談会では、桐朋高校67期~73期ご卒業で、現在医学部在学中の10数名(東京医科歯科大・東北大・大阪大・筑波大・佐賀大・横浜市立大・防衛医科大・東京慈恵会医科大・順天堂大・日本医科大など)から、各大学の紹介、受験勉強について話してもらうとともに、聴診器の使い方に関する実習を行います。特別講義では、「診断における頭の使い方」をテーマに、桐朋高校39期ご卒業で、杏林大学医学教育学准教授の矢島知治先生からお話しいただきます。
集合時間・場所 
9時30分 本校多目的ラウンジ集合 (途中入場・途中退室可 必要のある人は昼食を持参すること)
解散 
懇談会14時30分頃 特別講義16時30分頃 解散予定 (途中入場・途中退室可  必要のある人は昼食を持参すること)
中学生の参加 

定員 
特になし
締切 
2月19日(水)

 

・ウィンタースクールとは?
桐朋中学・高等学校の文化部のセンパイたちから、それぞれの部で取り組んでいることなどを、小学生にも分かりやすく、楽しく、実際に体験しながら学ぶことができるイベントです!

・ウィンタースクールの概要
開催日時:2020年2月23日()
主催:桐朋高校総務委員会

授業1 授業2 授業3
授業名 化学部
「水溶液の化学(60分)」
将棋部
「初心者でも楽しめる将棋指導対局(90分)」
地学部
「虫眼鏡と望遠鏡(90分)」
授業時刻 9:00~10:00 9:00~10:30 9:00~10:30
※3つの授業の中から自分が好きな1コマに参加することができます。複数の選択はできません。

開催場所: 桐朋中学・高等学校
※正門からお越しください。
募集対象: 公立または私立小学校に在学する小学3年生から小学6年生
※保護者様も授業をご参観いただけます。
募集期間: 12月24日(火)~2月16日(日) 《募集は締め切りました。》
※桐朋学園小学校生は1月1日(水)から応募可
※各授業、先着制となります。ご了承ください。
募集定員: 各講座で異なります。下記「授業紹介」をご覧ください。
参加部活: 化学部・将棋部・地学部
持ち物: 上履き・下足袋・筆記用具

・お申し込みについて

ウィンタースクールのお申込み、またはお問い合わせは、
下記メールアドレスまでお願いいたします。

メールアドレス:winterschool2020@toho.ed.jp

ただし、メールには以下の事柄を必ずご記入ください。
・在学小学校と学年
・参加者氏名
・参加したい授業名※1※2
・緊急連絡先

※1 複数の授業の選択はできません。
※2 「初心者でも楽しめる将棋指導対局」をご選択の場合は、おおよその棋力をお書きください。分からない場合はその旨をお書きください。

※3 12月25日~1月7日まで、冬季休業中のためご返信が遅れることがございます。あらかじめご了承ください。

・授業紹介

「水溶液の化学」〈定員に達しました〉
主催:化学部
授業時刻:9:00~10:00
会場:化学実験室B
募集人数:20名まで
応募状況:定員に達したため、締め切りました。
液体の色の変化に関する実験を体験していただき、液体を評価する指標となる「pH(ペーハー)」という量に関する理解を深めていきます。本格的な実験室で部員の指導の下、安全に様々な指示薬や金属片、電極を利用した実験を行うことができます。

「初心者でも楽しめる将棋指導対局」〈定員に達しました〉
主催:将棋部
授業時刻:9:00~10:30
会場:国語教室
募集人数:20名まで
応募状況:定員に達したため、締め切りました。
参加者の棋力に応じた駒落ち、もしくは平手で将棋部員が丁寧に指導対局を行います。ルールを理解していない方も将棋部員が丁寧に説明しますの是非ご参加ください。

「虫眼鏡と望遠鏡」〈定員に達しました〉
主催:地学部
授業時刻:9:00~10:30
会場:地学教室・プラネタリウム・太陽観測所
募集人数:30名まで
応募状況:定員に達したため、締め切りました。
虫眼鏡を用いた実験を行い、その後プラネタリウムでの太陽の動き方を部員が解説します。そして、太陽観測所での実際の観測を行ったりなど、桐朋が誇る設備を用いて、部員が授業を展開します。時間に余裕があれば、ペーパークラフトも行う予定です。

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回は、2学期期末考査後の自宅学習期間にあたる12月17日(火)に東京理科大学薬学部薬学科を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、東京理科大学薬学部薬学科教授の上村直樹先生、同じく桐朋高等学校卒業で、東京理科大学薬学部臨床教授の高橋裕先生です。参加したのは、高校1年4名、中学3年1名、中学2年1名、中学1年2名、合計8名です。

最初に、東京理科大学野田統括部薬学事務課課長の森知春様より、東京理科大学についてご説明いただきました。東京理科大学は、東京大学に次いで、日本で2番目に古い理系大学であること、大学のランキングで、教育力は大学全体で4位、私学の中では1位、研究力も全体9位、私学で1位、就職力は大学全体で1位であること、学生の書くレポート・論文の枚数は、大学4年間で約1,000枚、修士・博士課程まで含めると約1,200枚に達し、学習への意識が高い大学であること、薬学部のキャンパスは、2025年に葛飾に移転の予定であること、薬草の学習のための薬用植物園や薬学実務実習のための病棟・調剤・薬局の実習室があり、施設が充実していることなどをお話しくださいました。

続いて、医療分子生物学を研究され、がんの治療薬の開発に取り組んでいらっしゃる高澤涼子先生の研究室を見学しました。

「正常な細胞では細胞増殖がコントロールされているが、がん細胞はコントロールが効かず、どんどん増え続けてしまう。この研究室では、がん細胞の増殖を助けているタンパク質の働きを特異的に阻害する化合物について研究している。

細胞の死には2種類あり、遺伝子にプログラムされた、正常な死にあたるのがアポトーシスで、死んだ細胞は急激に収縮し、死後に他の細胞に食べられて再利用される。一方、細胞が傷ついた結果死ぬのがネクローシスで、この場合、細胞膜が崩壊し、有害物質が周辺にばらまかれ、炎症を起こす。がんでは、炎症によって痛みや苦しみが生じるので、がん細胞をアポトーシスに導くことが重要となる」とご説明いただきました。

その後、培養した肺がんの細胞においてアポトーシスがどのように起こるのかを、顕微鏡の映像を基に観察しました。

生きているがん細胞の映像

がん細胞に抗がん剤を加えた際のアポトーシスの様子

最後に、がん細胞が培養されている部屋も見学しました。

次に、薬剤師になるための学習として、調剤室内での薬の種類、扱いなどについて、根岸健一先生からご説明いただきました。

錠剤、粉薬、水剤についてご紹介いただき、いろいろな水剤を手に取って、匂いや色の違いを確認しました。

薬を使っての治療における薬剤師の役割として、「医師は処方箋によって薬の指示を出すが、薬剤師は、患者の状況を考慮し、医師と協議の上で薬の量を調整するなどして、より安全かつ有効に薬が効くよう、取り組んでいる」とお話しいただきました。

その後、注射器に注射薬を吸引し、配合変化の様子を確認する体験をしました。

次に、河野洋平先生にご指導いただきながら、軟膏板とへらを使って2種類の軟膏を混ぜ、容器に入れる体験をしました。

その後、軟膏を混ぜる機械の実演を見学し、自分が混ぜた物と、混ぜ具合を比較しました。

さらに、調剤の際に高い清浄度を作り出すクリーンベンチ・安全キャビネットについてご説明いただき、見学しました。

次に、上村先生から、薬剤師の調剤過誤防止に関する研究についてご紹介いただきました。一例として、視線を追跡できるアイトラッカーを使った、医薬品個装ケースの識別性に関する研究の一部を、研究室の学生の方にご協力いただき、体験しました。アイトラッカーを装着して、個装ケースを並べた状況を模したシートから、指示された番号の医薬品を探す際の視線の動きを解析したデータを確認しました。

ケースのデザインによって、識別のしやすさがどの程度変わるかを実感できました。

最後に、上村先生・高橋先生から、ご自身が薬学・薬剤師の道に進むと決めた理由、薬学部卒業後の進路、薬剤師のやりがいについてお話しいただきました。

さらに、薬局の現状と今後について、映像とともにご説明いただき、

「薬剤師の仕事でも、国内、海外ともにロボットがさまざまに活用されつつある。ロボットアームを使って安全キャビネット内で抗がん剤などを調剤したり、薬の棚から薬を取り出したりする作業も機械化されている。調剤する仕事などをロボットが行うようになる中で、今後の薬剤師は、患者の相談に乗り、患者にとってベストな治療となる薬を選ぶなど、人と対する仕事が中心となる」とお話しいただきました。

生徒からの質問として、「薬学を学んで、創薬の研究に進めるのか」「薬学を学んで、薬局を経営するようになると、薬学とは違う知識が必要になる。どう取り組んだのか?」などがありました。二つ目の質問に、上村先生から「自分も勉強したが、桐朋の卒業生はさまざまな道で活躍している。その繋がりの中で、さまざまな専門家と知り合い、一緒に仕事をしている」とお答えいただきました。

参加した生徒の感想です。

・先生方にお会いして、貴重な体験ができました。先生方のご説明がとても興味深く、参加の前と後では、東京理科大学、薬学部に対する印象が大きく変わりました。薬学は、薬学のことしか学ばないのではと思っていましたが、薬学に関することなら何でも扱うのだとわかりました。ありがとうございました。(高1)

・薬学部に興味があったので参加しました。実際に薬を触る体験もできましたし、お話を聞いて、薬学部の良いところ、特徴への理解が深まり、「将来、薬学の道に進むのも良いな」と思うことができました。本当に、先生方のお話を聞けて良かったと思っています。(高1)

・将来、薬学系に進みたいと思っているし、大学の研究室も見学したかったので、参加しました。内容が単にお話を聞くだけでなく、軟膏を混ぜる実習があったり、薬品に触れることができたり、たくさんの施設・機材を見学できたりして、大学で研究してみたいと強く思うようになりました。また、薬剤師の現状を知ることができ、大変参考になりました。この度は貴重な機会をご用意いただき、誠にありがとうございました。(高1)

・薬について学ぶ機会はなかなかなく、また、薬剤師とはどのような仕事か、薬剤師になるにはどのような勉強をするのかを知りたくて、参加しました。実際に薬を作ったり、充実した設備を見学できたりして、参加して良かったです。特に、薬学部ではどんな研究をしているのかを、具体的に、かつ深く学ぶことができました。今回の企画で、自分の知らない世界を見ることができました。ありがとうございました。(中3)

11月23日(土)に、本校ホールにて行われましたPTA主催講演会の様子を、本校新聞局員が記事にまとめました。ホームページでもご紹介いたします。

「大隅教授、桐朋へ来校」

去る11月23日、PTA主催で講演会が開催され、2016年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典教授が本校に来校された。大隅教授はオートファジー(細胞の自食作用)の研究をされており、大きな功績を残されている。

講演会は、「半世紀の研究を振り返って ‐基礎研究の大切さ‐」というテーマで、約一時間にわたり行われた。主に講演内容は大隅教授の研究についてで、オートファジーのいろはから今後の展望まで、オートファジーに関する多くの内容が解説された。また、最後には今までの研究を振り返るとともに、若者へのメッセージということで我々中高生へのアドバイスを頂いた。

講演会後、場所をホールから食堂に移し、代表生徒による大隅教授への質問が行われた。主に新聞局員と生物部員がメンバーとなり、研究などに関することについて直接質問をする機会を得た。

以下に、その内容を記す。

――やりたい事を大切にというメッセージを仰っていましたが、やりたい事をやり通す際に意識すべきことは何でしょうか。

「まずもって、社会に求められている研究がストレートにやりたいことと直結していなくても心配しないでください。日本では早くから成果を上げることが求められますが、海外では、そういった風潮はあまりありません。また、仮にやりたいことがなくても、やりたい事を見つけなければならないという強迫観念に囚われる必要はありません。加えて、自分の研究室においても、オートファジーという主題に対して様々な目的で様々な分野の人が関わっているので、協力を得る際には協力にも色々な形があるということを念頭においてほしいです。」

――30年もの間研究を続けてくることができた理由に、様々な技術の発展を挙げていらっしゃいました。印象に残っている科学技術の発展は何でしょうか。

「顕微鏡技術の発展が印象に残っています。先日、最新式の電子顕微鏡に触れる機会があったのですが、オートファジーを発見した当時の顕微鏡と比較すると、分子構造の見え方には大きな違いがありました。その他の分野においても科学技術の発展には目覚ましいものがあります。色々な勉強をすることで世界の変化を知っていって欲しいと思います。その一方で、すべてを追う必要はありません。すべてを追っていると、この情報過多の現代で情報に埋没してしまいます。やりたい事をやるためのものや楽しさを勉強していって欲しいです。」

――基礎研究において行き詰った際にはどうされていましたか。また、どの様にモチベーションを維持していらっしゃいましたか。

「思っているよりも、なんとかなるものです(笑)。研究の際には、前提として大きな問いを自分のなかで持っているとよいと思います。自分が研究していることの背後にあるものを常に考え続けていればモチベーションを維持していけますし、次の課題も見えてきます。自分の研究室では、一つの事だけをやるのではなく多角的に研究を行っているので、なにかしらの発見が常にあります。研究はイチゼロの世界ではありません。正しい実験を続けていれば、必ず次の課題が見えてきます。」

――中高生の時には、どの様に将来を思い描いていらっしゃいましたか。

「高校生の時には研究者を目指すことを決めていました。しかし、その理由は消去法で、スポーツも音楽もあまり得意ではなかったのが大きな理由でした。自分の能力を活かし社会に貢献できるのではと思えたのが研究者でした。」

――研究者を志した具体的な出来事はありましたか。

「大学に入学した当初は何も計画はありませんでした。ましてや、世の中が流動的である今の現代では、早くから何かの専門家である必要はありません。じっくりと自分が何になりたいのかを問うといいと思います。私自身は最初化学の分野に興味を持っていましたが、大学の授業があまり面白くなく、そんな時に出会ったのがこの分子生物学でした。この分野には、自分をワクワクさせる何かがありました。皆さんには、ワクワクする気持ちを大切にして欲しいです。また、今その様な気持ちを持っていなくても焦る必要はありません。生きていくうちに必ず見つかります。また文系、理系といって区分は日本だけのものなので、幅広い分野に興味を持って欲しいと思います。」

大隅教授のメッセージのなかに、小さなことにも疑問を持ち続け沢山のものに興味を持ってほしいというものがあった。今回の講演会などのイベントを含め、功績を残された多くの方の考え方を吸収することは、自らの進路の幅を広げるほか多角的な視点を持つことにも有用である。このような機会に触れることは、多様化が叫ばれるこの時代で自らの付加価値をアピールするときにも大いに重要になってくるであろう。

 

オートファジーとは?

オートファジーを知る前に、タンパク質と生体膜について理解する必要がある。まず、タンパク質について。タンパク質と聞いて、多くの人が食品の中などに含まれる栄養素としてのタンパク質を思い浮かべると思うが、生物学的においてはより多くの分野の説明に用いられる。生体内の生命活性に大きく関わり、生物の生命活動とは切っても切れないのがこのタンパク質なのだ。また、すべてのタンパク質は20種類前後のアミノ酸から構成されているため、地球上の生命が一つの共通の祖先を起源としているとも言うことができる。

次に、生体膜について。細胞内の細胞小器官がそれぞれの境界として持つ膜のことを生体膜といい、それはリン脂質二重層という流動性の高い構造をもつ。また、タンパク質はリボソームで生じ、そこから生体膜を通り細胞内外へと輸送されて機能する。

さて、大隅教授が発見したオートファジーは、タンパク質分解の方法の一つである。ここで、講演会で大隅教授が挙げていた例を一つ引用したい。大隅教授は、大学で最初の生物の授業で学生たちに、「1秒間で何個の赤血球が体内で生成されているか計算せよ」という課題を与える。この課題の回答は毎秒30万細胞であり、つまり、30万細胞の生成と同時に同規模の破壊も起こっているということになる。大隅教授はこの課題を通して学生たちに、合成と分解がいかに普遍的かを伝えようとしているのである。

例の通り合成と分解は非常に重要であり、特に合成に比べ研究の対象とされてこなかった分解も同様に重要であると言える。人のカラダのタンパク質は2ヶ月から3ヶ月で完全に置き換えられることからも分かるように、私たち生命は合成と分解の平衡に支えられているのだ。また、分解の際にタンパク質は、壊れているのではなく壊されているのだということも押さえておきたい。しかもその過程では、合成の時にも劣らない多数の遺伝子が関わっているのである。

そんなタンパク質分解の方法の一つであるオートファジーは、ギリシャ語の「オート(自分)」と「ファジー(食べる)」という言葉から名付けられており、その和名を自食作用という。オートファジーでは、その名の通り細胞内のタンパク質を食べてしまうような形で分解が行われる。まず、細胞内で不要となった細胞小器官やタンパク質が、リン脂質二重層の生体膜で包まれ、オートファゴソームと呼ばれる小胞が形成される。これに各種の分解酵素を含むリソソームが融合し、内部のタンパク質などが分解されるのだ。これによりタンパク質から分解され生じたアミノ酸は、再び細胞内でタンパク質の合成などに利用される。

このようにして起こるオートファジーは、飢餓適応、細胞内浄化、抗加齢、抗原提示、胚発生、病原体排除、腫瘍抑制など、非常に重要な生理機能を併せ持ち、生物学の中でも様々な研究分野から注目が集まっている。また、医学においてもオートファジーはホットな話題であり、神経性疾患やガン、生活習慣病などとの関連が研究されている。それに伴うオートファジーの制御剤開発も近年テーマとなっており、諸外国では大きなフィールドを築いている。

関連コンテンツ