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大学で研究してみませんか スペシャル版 竹中工務店訪問

3
Mar
12

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。
今回はスペシャル版として、高校入学試験後の休校を活用して2月12日(水)に竹中工務店東京本店を訪問しました。ご案内くださったのは、桐朋高等学校卒業で、竹中工務店木造・木質建築推進本部長の松崎裕之さんです。参加したのは、高校3年1名、高校2年2名、高校1年5名、中学3年3名、中学1年2名の合計13名です。
最初に、松崎さんからご挨拶をいただきました。その中で、竹中工務店で、桐朋女子高校卒業の方も含め、19人が働いていると教えていただき、説明でお世話になる、作業所でご活躍の中山尚之さん、技術研究開発部の松田耕さんをご紹介いただきました。
続いて、竹中工務店東京本店人事部の山岡沙織さんから、竹中工務店の施設のご案内、建物を作るプロジェクトの流れ(建築主のニーズと土地の特徴に応じた企画開発→デザイン・素材の意匠、設備、構造に関する設計→各種工事にあたる施工→メンテナンスなどアフターサービス)をご説明いただきました。

次に、現場で監督としてご活躍なさっている中山さんからご説明いただきました。

最初に自己紹介をしていただきました。中山さんは、桐朋中高卒業後、早稲田大学理工学部建築学科に進学、大学院を経て、竹中工務店に就職されました。
続いて、竹中工務店が建築した建物として、「『ドームの竹中』と言われるほど、国内のさまざまなドームを建築した。さらに、超高層ビルでは、あべのハルカス、新丸ビル、東京ミッドタウンなどを手がけている」と紹介いただきました。
中山さんのお仕事についてもご説明いただきました。
「組織としては作業所に属し、工事現場で現場監督員として指示を出す役割を担っている。主な仕事は、デスクワークとフィールドワークの二つに分かれる。デスクワークの一つに、設計図書の把握がある。工事は、設計事務所の建築士が描く設計図をもとに行うが、現場では、設計図を読み込み、より詳細な施工図を作る。他に、工事計画の立案、確認、工程表の作成などがある。フィールドワークでは、作業指示書通りに工事が進んでいるのかのチェックなどを含め、現場でさまざまにコミュニケーションを取りながら対応している。
建築の現場をサッカーチームに例えると、協力業者などが選手、現場監督員がマネージャーにあたる。マネージャーが個々の選手の個性を見極め、戦術を練るように、現場監督員による現場のコントロールが大切だ。
また、最近の現場は、VRやドローン、GPSを使ったナビゲーターの活用など、ICT化が進んでいる」
生徒からの質問として「傾きなど、複雑な形をした建物を建てる際に、鉄筋を組むにはどうするのか」などがありました。
次に、技術研究所に所属されている松田さんからご説明いただきました。
最初に自己紹介していただきました。桐朋中高を卒業後、東京大学に進学。大学ではソーラー建築の研究をし、大学院を経て、竹中工務店に就職したとのことです。

現在は、竹中技術研究所に所属されています。建設会社が技術研究所を持っているのは日本だけで、屋上緑化から宇宙空間での建築の検討まで、幅広く総合的な研究が行われ、千葉県印西市にある竹中工務店の研究所には、室内音場シミュレーターでのホール等における音の響きの研究、構造実験施設での地震の揺れなどへの強度の確認、耐火実験棟での耐火性能の確認などが行われているそうです。
松田さんが研究なさっている先端技術について、詳しくご紹介いただきました。
「先端技術部門には、ロボットやAIを研究している部署もあるが、自分は、建築現場の生産性向上に関わる研究をしている。『こんなシステムがあると便利だ』という現場の声があると、そのシステムを開発するという感じだ。これまで、鉄筋の組立に関する設計や施工で活用する三次元ソフトや、建築用の3Dプリンタの開発を行った。最近は、建築現場で建設中の建物内の位置を認識できるソフトの開発に取り組んだ。屋外ではGPSを活用して位置の把握はできるが、屋内ではGPSを活用しにくいので、ビーコンと呼ばれるBluetoothの小型発信器を活用して把握するシステムを作成した。これにより、建物内の人や物の位置が特定できるので、撮影した工事写真の位置の管理、現場での人や物の位置の把握、高所作業車の予約・配車管理などに活用している」
さらに、建築に必要とされる力についてお話しいただきました。
「中学・高校で学んだ知識も、今の仕事でフルに活用している。建築会社の良いところは、さまざまな部署があり、いろいろな力を活かせることだ。理系の力が必要な部署はもちろんあるし、マネージメントや経営的な面、歴史や芸術にあたる力を活かせる部署もある。就職してから、自分の力を活かせる仕事を見つけることもできる。どの道に進みたいかを迷っている人には、この点でお勧めだ」とお話しいただきました。
生徒からの質問として、「大学で建築を学んだことと、情報系とも言える今のお仕事とが直接結びついていないような気がするが、どのように取り組んでいるのか」「建築の歴史の中で開発された技術のうち、現在大きな役割を果たしているものは何か」などがありました。
次に、松崎さんにお話しいただきました。
まず、自己紹介をしていただきました。桐朋小、桐朋中高を経て、東京工業大学に進学、竹中工務店では構造設計に関わる仕事をなさっていて、現在は中高層の木造建築に取り組んでいらっしゃるとのことです。

「木造建築というと、一戸建ての住宅をイメージすると思うが、海外では『Wood First』の取り組みが進み、木造による20階建ての建物が造られている。建物のすべてが木で造られているわけではないが、適材適所で木を使い、木の魅力である『ぬくもりと安らぎの空間』を活かした建築になっている。木造が注目されているのは、持続可能な社会の実現、地球温暖化対策、脱炭素社会の実現という観点からだ。国土の3分の2が森林である日本において、木こそ日本の資源だと言える。木を計画的に伐採し、森林の手入れをしないと、森林の荒廃が進む。『植える→育てる→使う→植える』という循環資源としての木材の利用は、持続可能な社会の実現にも繋がるし、森林を守ることで、地球温暖化対策にもなる。海外では環境問題への意識が高いので木造建築が重視されているが、木造と関わりの深い文化を持つ日本で、震災などの関係もあってか、現在、環境への意識が、京都議定書の段階と比べ、後退している感がある。若い世代からアクションを起こしてほしいと願っている。
高層建築での木の活用は、いわゆる丸太の使用ではない。板を接着して強度を整え、耐火の性能を加えた耐火集成材『燃エンウッドR』を竹中工務店が開発し、利用している。そもそも木造建築が低層住宅に限られたのは火災予防の観点からだが、現在は規制緩和が進み、中高層の木造建築が日本でも造られ始めている」とお話しいただき、竹中工務店が手がけた木造建築をご紹介いただきました。
生徒からの質問として、「木の柱とコンクリートの柱とで、強度はどの程度違うのか」「耐火集成材の利用に際して、シロアリなど防虫対策も行われているのか」「建築における設計で、設計者のセンスが問われるように思うが、実際はどうか」などがありました。
次に、竹中工務店東京本店内をご案内いただき、建物中央にある図書ラウンジや、植物をさまざまに配置し、リフレッシュエリアや集中エリア、打ち合わせなどに使いやすいエリアなどのあるワークラウンジ「KOMOREBI」などを見学しました。
その後、竹中工務店東京本店の近くにあり、木造12階建「FLATS WOODS KIBA」の現場の体験会に参加しました。

最初に、12階にあるカフェテリアスペースで、「竹中工務店の木造・木質建築の普及の取り組み」、「FLATS WOODS KIBAのプロジェクト」について説明いただきました。

その後、生徒が2グループに分かれて、建物内の見学、体験をしました。

カフェテリアスペースの丸柱(中心部分のコンクリートに木を巻いたもの)に触れたり、

耐震補強用の壁の説明を受け、木材のブロックを見学したり、

12階のテラスにある、「燃エンウッドR」の柱に触れたり、

部屋の中で使われている「燃エンウッドR」について説明を受けたりしました。

最後に、「FLATS WOODS KIBA」の建築に関わっている方々の思いをまとめた映像を見学しました。

生徒からの質問として、「この建物では使用している木の本数はどれくらいか」などがありました。

参加した生徒の感想です。

・建築関係に興味があり、参加しました。実際の現場を見学でき、ゼネコンの仕事を深く理解できたように思います。(高2)

・最近木造建築が話題になっているとテレビで見る機会があり、元々畳や木を使った和風の建物が好きで、今回の見学では実際の建物に入れると知って、参加しました。木や木造建築について詳しい理解のないまま参加しましたが、日本や海外での中高層木造建築の現状を知ることができ、たいへん良かったです。一番印象に残っているのは、やはり現場の見学です。木造の中高層建築は、想像以上の驚きでした。(高1)

・竹中工務店に興味があり、参加しました。鉄筋コンクリート内の、鉄筋の配置を確認できるシステムが興味深かったですし、「燃エンウッドR」を使った木造の建物を実際に見学でき、たいへん勉強になりました。(高1)

・建築について少し興味があり、この機会にぜひ専門的な内容や進路についてさまざま聞いてみたいと思い、参加しました。「建築」といっても、建築現場の話から、設計で必要な情報技術の分野まで、仕事の幅が広く、驚きました。実際に建築中の中高層木造建築の見学ができましたし、建てる上での工夫について詳しい説明を聞き、建築への関心が高まりました。これからの時代、木造建築が環境や資源の点で重要になることについて理解が深まりました。今回は貴重なお話をありがとうございました。(中3)

・木工をはじめとした技術の活用について見学したいと思い、参加しました。木材を適材適所に使う建築の利点について理解できました。ありがとうございました。(中1)

 

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