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在学生と医学部生との懇談会

3
Mar
25

進路企画として毎年開催している医学部生との懇談会が、2月23日(日)に桐朋中高の多目的ラウンジで行われ、今回は、桐朋女子中高との合同開催となりました。参加した卒業生は、桐朋高OBが、筑波大・防衛医大・東京医科歯科大・東北大・大阪大・佐賀大・横浜市立大・順天堂大・日本医科大・埼玉医科大・福岡大から合計13名、桐朋女子高OGが、聖マリアンナ医科大の2名でした。在校生は、桐朋中高が、高校3年3名、高校2年7名、高校1年3名、中学3年8名、中学2年3名、中学1年3名の27名、桐朋女子中高からは、高校2年3名、中学3年3名の6名が参加しました。

最初に、医学部生からの話題として、桐朋高校卒業の医師・医学部生が大学の垣根を越えて交流できる場としての「桐朋医会」の活動が紹介され、医学部に進学したらぜひ入会してほしいと、勧誘がありました。

続いて、標準的な医学部のカリキュラムについて説明として、①医学だけでなく一般教養も学ぶこと、②基礎医学で、病気を理解する前提として、正常な状態での人体の構造や機能を学び、薬の作用についても細胞レベルで学習すること、③臨床医学で、病気をどう治すのかを学ぶことなどが紹介されました。その後、臨床実習があり、実際の患者と接しながら、医療についての理解を深めていくと説明がありました。臨床実習にあたり、医学部生に対して、医療行為を行える能力と適性の確認を目的として共用試験が行われていることや、医師免許取得後、初期研修病院を選ぶ際に、研修希望者と受け入れる病院とのマッチングに取り組むシステムがあること、さらに、医学部卒業後の進路として、開業医以外に、医学研究に取り組む研究医になる、厚生労働省などで行政の面から医療に関わるなど、さまざまな道があることなどが紹介されました。

次に、医学部の紹介として、東北大・東京医科歯科大学について、それぞれの医学部の特徴、魅力などに関する説明がありました。

東北大では、先生が、生徒とのインタラクティブな関係を大切にしていて、希望すれば大学1年生から研究のチャンスがあり、説明した医学部生は、自分でiPS細胞を育て、難病を治療する薬の研究に取り組んでいるとのお話でした。

東京医科歯科大学では、留学制度が充実していて、多くの学生が利用できること、ビッグデータを医療に活用する学部が2022年に新設されることなどを紹介してくれました。

次に、学習への取り組み方について説明がありました。

「勉強する目的として、三点あると思う。一つは、『学問に必要な能力を身につける』ことで、最も大切なのは、読解力・文章構成能力・実験解釈能力などの土台となる『論理的思考力』である。二つ目は、『考え方を応用する力を身につける』ことで、ある教科の学習を通して一つの考え方を学べば、それを他に適用し、理解や説明ができる。三つ目は『必要な基礎知識を身につける』ことで、公式や用語の習得だけでなく、考え方の根本やパターンを知識として身につけることが大事だ。

勉強の取り組み方として、例えば、授業を受ける際、単にノートを取るだけでなく、先生の話を自分で再現しながら、授業で先生が力説した理由を納得いくまで考えるなど、自分なりの工夫を加えることで理解は深まる。また、得た知識を体系的に身につけることが大事だ。知識を分類・階層化して整理したり、知識を、付随するもの、関連するものと組み合わせながら、ストーリーを作るようにして覚えたりすると、知識のネットワークができ、知識を活用できるようになる。こうした力を身につけるには、自分の興味のある教科をやり込んで、とことんまで極めておくことが有効だ。

『いろいろなことを教えてくれる先生がいる』『質問のしやすさを活かしてどんどん質問することで、質問の仕方を学べる』『競争関係を意識せずに議論し合える仲間がいる』という学校だからこその魅力をぜひ活用してほしい。

最後に、なにより『自分で考えて決める』ことが大切だ。本日の話をまねする必要はない。自分と向き合い、どう取り組むかをじっくりと考えて決断し、実行していってほしい」と話してくれました。

また、自分の勉強法を具体的に紹介してくれた先輩もいました。

「『入試の直前の10分をどう過ごすか』を考えた。そこで、試験などで自分が間違えた内容をしっかりと復習し、克服すると決めた。これこそが勉強だし、クラブ活動では、上達を目指して誰もがやっていることだが、勉強だとおろそかにしがちだと感じた。自分は、ミスしたことを一つ一つノートに記録し、常に見返していた。これを、入試直前の10分にも行った」

次に、参加した医学部生から各大学の紹介がありました。大学ごとにブースを設け、在校生は複数の大学の話を順に聞きました。和気藹々とした雰囲気の中で、卒業生から、各大学の特徴や魅力、進学を決めた理由、勉強法など多岐にわたる説明がありました。

大学紹介の途中に、昼食の時間も設けました。食事をしながら、医学部生と交流する在校生もたくさんいました。

医学生との交流の最後に、聴診器の使い方について学びました。最初に、心臓の構造と働きについて説明があり、

心音を聞く位置のレクチャーを受け、聴診器で心音を聞きました。

聴診器で聞く心音で、正常なときと異常があるときでの音の違い、医療行為における、聴診器で心音を聞く意義などについて、説明がありました。

次に、主として医学部生向けに、杏林大学医学教育学准教授の矢島知治先生から、「診療における頭の使い方」というテーマで講義が行われました。

「現病歴とは、今の病気がいつからどのように始まり、どういう経過を辿ったかを聴取するところから始まる。日本の医学教育では軽視される傾向があり、アメリカ人の指導医から、そのことを痛烈に批判されたことがある。基本に忠実な現病歴の取り方を、実践を通して確認したい」とお話があり、医学部生が医師役となり、矢島先生を患者役として、問診にチャレンジしました。

「50歳の女性が朝6時に救急外来に来た」という設定で、医師役の学生と患者役の矢島先生とのやりとりをホワイトボードに記録し、現病歴の確認を進めました。

現病歴の取り方で心がける点として「時経列に沿って情報収集を進めることが、診断の質も患者さんの満足度も高めることにつながる」というアドバイスがありました。

その後、腹痛をきたす疾患を列挙した上で、それぞれの疾患の症状がどう異なるのかに着目しながら問診の情報だけで疾患を絞り込む作業をした上で、画像所見も確認しました。

結果として、卵巣茎捻転という診断に至るまでの理詰めの思考プロセスを体験することができました。

最後に、新型コロナウイルス感染症についてもお話しいただきました。感染症を罹患した患者が何人の未感染者に感染させるかを示す「基本再生算数」が、麻疹では12~18であるのに対して、新型コロナウイルス感染症は2程度と言われ、一見感染力が弱そうに見える。しかし、麻疹は95%以上の人が抗体を保有しているので感染が広がらない一方で、新型コロナウイルス感染症は誰も抗体を持っていないため感染が拡大し続けることになる。それを少しでも防ぐために、濃厚接触の回避と手洗いをはじめとした予防行動を励行することが重要であるとお話しいただきました。

当日お越しいただいた、横浜市立みなと赤十字病院で救急外科部長をなさっている馬場裕之先生からは「臨床現場で症状を把握し、すぐに対処すべきかを判断する機会の多い外科においても、現病歴に関する矢島先生のお話は大切だ。また、人体には、教科書通りではない、さまざまなケースがあるので、思い込みで診断してはいけない。新型コロナウイルス感染症の話題もあったが、臨床現場に出たら手洗いは必須で、それを守れない人は現場に出てはいけない」とお話しいただきました。

後日、36ページに及ぶ冊子が参加した在校生に配られました。これは、今回参加してくれた医学部生たちが作成した物で、合格体験記・不合格体験記、学習アドバイスが盛り込まれています。

参加した生徒の感想です。

・医学部に興味があったので参加しました。各大学の具体的な雰囲気が感じることができました。特に、順天堂大学・東北大学に関心を持ちました。(高2)

・医師である父親に幼い頃から憧れていて、医師を志望しています。元々わかっていることですが、医学部は入学できる枠も限られているので、部活をしながらではありますが、今のうちから勉強を頑張らないといけないと改めて感じました。(高2)

・医学部志望なので参加しました。先輩方がフレンドリーに接してくださったので、気楽にさまざまなことを聞けましたし、話を聞いたどの大学も魅力的でした。(高2)

・医学部に興味があるので参加しました。改めて医学部に入ることの難しさを感じました。具体的なお話をさまざま聞くことができ、とても良かったです。特に、横浜市立大学は、医学部に関すること以外でも、自分が求めている条件がそろっていると感じました。(高1)

・将来、医学系も視野に入れているので、参加しました。お話を聞くと、どの大学にも良いところがあるなあと感じました。その中でも大阪大学に興味を持ちました。(中3)

・医学部に興味があったので参加しました。医学部の人は勉強しかしていないというイメージでしたが、先輩方は楽しそうな人ばかりで、ますます医学部に入りたいと思いました。入試は難関だと思いますが、大阪大学に魅力を感じました。(中3)

・医師志望と決めてはいないものの、医学に興味を持っていたので参加しました。医学部でどんな勉強をしているのか、医学部に入るためにどんな勉強をしたのかなど、詳しく教えていただきました。わかりやすい説明でしたし、先輩方のプレゼンもおもしろかったです。東北大学や筑波大学は、国公立で、最先端の研究ができる上に、留学の選択肢も幅広いと知り、興味を持ちました。また、矢島先生の特別講義では、患者さんを診断する上で重要なことや、現病歴についての知見が得られ、とても勉強になりました。(中3)

・中2で、このままで良いのかと考えるきっかけになると思い、参加しました。お話を聞き、このままじゃ自分はダメだと感じ、もっと勉強しようと思いました。やさしくいろいろなことを教えてもらい、ありがとうございました。興味を持ったのは東北大学です。研究が本格的にでき、留学もしやすいと感じました。(中2)

・大阪大学の受験勉強について聞きたくて参加しました。実際にお話を聞き、さらに行きたいと思うようになりました。また、留学が魅力的な東北大学にも興味を持ちました。もっと聞きたいことがあるので、これからもこの会を開催してほしいと思いました。(中1)

 

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