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東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の方による講演会

11
Nov
28

進路企画として行っている「大学で研究してみませんか」。

今回は、保護者の方との面談期間のため午前中授業となる11月19日(火)に、桐朋高等学校卒業で、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森泰夫さんにご来校いただき、「スポーツとみなさんの関わりについて」というタイトルでご講演いただきました。生徒は、中高陸上競技部を中心に、57名が参加しました。

最初に、自己紹介をしていただきました。森さんは桐朋中高、さらに大学でも、陸上競技に取り組み、大学では、連盟の一員としても関わったこと、その後、企業に就職されましたが、縁あって、日本陸上競技連盟に転職し、大会運営、広報、強化、普及などさまざまな活動を統括する役割を担当され、現在は、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の大会運営局次長として、大会の運営に奔走なさっていることなどをお話しくださいました。

続いて、世界陸上やアジア大会のダイジェスト映像を交えながら、以下のようなお話をしていただきました。

「一般的な人々のスポーツへの関わり方は、選手として仲間とともに『スポーツをする』、プロスポーツなどの『スポーツを見る』といった形があるが、もう一つの大切な関わりとして、スポーツ団体の運営、イベントの運営スタッフとして『スポーツを支える』立場がある。

実際のスポーツ界でも、選手として競技をする人、メディアの一員、医師や教員など、職業を通してスポーツに関わる人、大会運営においてビジネスとしてスポーツに関わる人もいるが、多くは、スポーツ少年団などでの指導の形で、ボランティアとして関わっている。

ボランティアとしての関わりでは、日常のスポーツ指導、スポーツ組織の運営においては、そのスポーツに対する専門性が求められるが、オリンピックなど、ビッグイベントのボランティアでは、専門性はさほど重視されない。

実際、「日常」にあたる陸上競技の地域大会に関わっている人数は、1年間で100万人余りとなり、「非日常」にあたる2020年のオリンピック・パラリンピック大会で想定しているボランティアの人数を上回っている。スポーツはボランティアに支えられている。

ところが、忙しさ故の余裕のなさ、地域の繋がりの希薄化といった社会的環境の変化、さらに、これまでボランティアで関わってきた人が高齢化し、世代交代も進んでいない現状などから、スポーツを支える存在の確保が難しくなっている。

今後を考えるポイントとして、一部に負担が偏るのではなく多くの人で役割を分担する、多様な関わり方を推奨するなど、支え方の工夫が必要だ。特に、日本では一つの競技のみに関わる人が多いが、異なる競技も運営するなど、多様な関わり方を進め、新たな発想が生まれる可能性を高めたい。さらに、日常的にスポーツに親しむことで、運営の意識も高まるという流れも大事にしたい」とお話しいただきました。

続いて、スポーツイベントでの組織体系、実際の業務についてご紹介いただきました。

また、スポーツの普及に向けた取り組みとして、従来は、「スポーツをする」人を増やすために、ジュニアの育成、指導者のレベルアップ、大会参加の機会の増加などを意識していたが、今後は、①競技を続けられる環境を整備する、②「スポーツを見る」人の増加に向けて、競技大会の魅力を高め、ファンとなるきっかけを用意する、③「スポーツを支える」人を増やすために、スポーツによる社会貢献の意識を高め、社会的に支持される取り組みを進めるなどのことが必要となる、とお話しいただきました。

最後に、森さんから、今後スポーツに関わる存在である中高生にメッセージをいただきました。

「自分の目標として、まずは2020年のオリンピック・パラリンピック大会を安全に運営し、成功に導くことがある。加えて、オリンピック・パラリンピックの成功をきっかけに、スポーツの、社会のプラットフォームとしての位置付けを高め、今後スポーツに関わり、支えていく人材を育てていきたい。

自分がスポーツを支える世界に身を置くようになったのも、社会で役立つ自分でありたいと願っていた中で、陸上競技連盟のオファーと周囲の勧めがあり、最終的には、スポーツに恩返ししたいという思いから決断した。

社会で活躍する人の特徴として、素直で前向きな意識と情熱を持ち、さまざまな経験と出会いを大切にしていることがある。ぜひこうした点を心かげてほしい。

また、何かを判断し、決定する立場となると、自分の下した判断に否定的な反応を示す人がいて、時に孤独を強く感じる。そんなとき、支えとなってくれるのは、若いときからの友人である。中高時代の友人の持つ意味を認識してほしい。

さらに、今後社会で活躍していくには、一つのことを突き詰め、極める中で身につく力と、多種多様な経験を持ち、柔軟な考え方を持てる力とを併せ持つことが重要になると自分は考えている」とお話しいただきました。

話の締めくくりとして、「自分がこのような形で、スポーツに、オリンピック・パラリンピックに関わるとは、10年前、20年前には思いもよらなかった。だからこそ、きみたちに『あり得るかもしれない人生』ということばを贈りたい。人生にはさまざまな可能性がある。そんな意識も持ちながら、今後を過ごしてほしい」とエールを送っていただきました。

生徒からの質問として、「森さんが陸上で取り組んでいた種目は?」「森さんや同期の人たちは陸上競技で大活躍したと聞いた。活躍できたのはなぜか。どんな練習をしていたのか」といった陸上競技に関わるものと、「スポーツのビッグイベントでは経済効果も話題にはなるが、ボランティア精神に基づく貢献が欠かせないと聞く。実情はどうか」「イベントが開催され、盛り上がりを見せた競技も、しばらくすると熱が冷めてしまうと感じる。この点をどう考えているか」など、スポーツを支えることへの関心からの質問もありました。森さんから、「的確で鋭い質問があり、意識の高さが感じられて嬉しかった」とのおことばもいただきました。

参加した生徒の感想です。

・普段、直接お話を聞く機会のない、五輪大会の組織委員会の方のお話を聞いてみたいと思い、参加しました。実際に組織委員会で働いている方から生のお話を聞け、大変刺激になりました。われわれの質問に真摯にお答えいただき、ありがとうございました。(高2)

・オリンピックに興味がありましたし、一度“大学で研究してみませんか”の企画に参加してみたいと思っていたので、参加しました。森先生のような、スポーツに関わる仕事をしている人がいると実感できましたし、どのような展開の中でこの仕事に就いたのかを教えていただき、参考にしたいと思いました。スポーツはプレイするだけではないことがよくわかりました。とても興味深いお話で、楽しく聴くことができました。(高2)

・校内でお話をうかがうことができ、参加しやすかったです。スポーツに関わる分野やその人数、大会のことなど、幅広くお話しいただき、将来、スポーツにどのように関わることができるのか、理解できたように思います。また、心の支えになったり、強みにできたりするお話も聞けて、参加して良かったと思いました。自分は、選手としてスポーツに関わることは無理ですが、将来何らかの形で関わりたいとぼんやり思っていたので、大変参考になりました。お忙しい中お越しいただき、ありがとうございました。(高2)

・将来の選択肢として、オリンピックに関わることも考えていたので、ぜひお話を聞きたいと思い、参加しました。森さんが若い頃からオリンピックに関わっていたわけではないと聞き、正直驚きました。オリンピックだけでなく、スポーツ全般に関わることの意義についてもお話しいただき、自分の価値観が変わったように思います。僕も将来、何らかの形でスポーツに関わろうと思います。貴重なお話、ありがとうございました。(高2)

・陸上部のOBの方からのお話でしたし、将来の展望が広がるのではと思い、参加しました。お話はオリンピックに関する専門的な内容が多く、組織などについて学べて良かったと思いました。また、一つのことをずっと続けることが大事だと思っていましたが、途中で切り替えるという選択によって成功することもあるとわかり、大変参考になりました。来年は高3で受験なので、オリンピックを全力で楽しめるかはわかりませんが、できる範囲で精一杯楽しみたいと思っています。オリンピック、今から楽しみです。(高2)

・来年、東京でオリンピックが開催されるため、運営側はどんな仕事をしているかに興味を持ち、また、スポーツに関わる仕事について知りたかったので、参加しました。組織委員会の活動は、単なる実行委員会とは違い、どうすれば人々がスポーツに関心を持つのかなど、社会の深いところまで考えた上で運営していることを知り、勉強になりました。スポーツに関わる仕事においても、ただスポーツを楽しむだけでなく、選手へのサービス、ビジネスとしての収益など、さまざまなことを考え、進めていく必要があると実感できました。貴重なお話を教えていただき、ありがとうございました。(中3)

 

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