難関大学が推薦・AO入試の導入を開始し
「多様な資質を持った学生」、「新たな知的価値を創出できる学生」を集めようとするなか、
多彩な個性を持つ桐朋生の底力が、ますます発揮されようとしています。
和氣 拓海 (わけ たくみ)
70 期 2016 年卒業
・東京大学 理学部 公募制推薦で進学
・在校時、生物部で活躍
・化学グランプリ2015 大賞
藤田 創 (ふじた はじめ)
69 期 2016 年卒業(高2 留学)
・東京工業大学 第7類にAO 入試で進学
・在校時、化学部、ESS などで活躍
・化学グランプリ2015 奨励賞、日本化学会関東支部 支部長賞
・ESS スピーチコンテスト“ベスト・アクター賞”
藤田
「化学部に所属し、さまざまな実験や仮説の検証ができることが楽しく、毎日充実していました。桐朋の化学部には、優秀な先輩が熱心に応援してくれる伝統があり、先輩たちの知識と情熱が刺激的でした」
「でも、僕は理系と文系を線引きしてしまう発想が好きではなく、化学のみならず、英語劇や模擬国連などの文系的な活動にも熱を入れました。自分なりの表現ですが、“変わったやつでいたい”という思いが常にあります。ESS英語劇では、“ベストアクター賞”を、化学グランプリでは、奨励賞をいただきました」
和氣
「僕は生物部でしたが、理系全般が好きで、中学ではジュニア数学オリンピックに挑戦したこともあります。その時は、本選に進めなかったので恥ずかしく思ってしまい、他の大会への参加を敬遠していた時期もあります」
「しかし、生物部の活動や学校生活など、桐朋の自由な校風の中で、失敗を恐れないタフさが身についてきて、“今やらねばいつやるのか”と、高校3年で化学グランプリにチャレンジしようと決意したのです。先輩や仲間たち、先生の応援もあり、おかげさまで化学グランプリ2015の大賞をいただくことができました」
和氣
「化学グランプリの大賞をいただいたことが、東大の推薦入試受験を決意するきっかけになりました。一般入試のチャンスもありますので、ダブルチャンスだと思ったというのも、正直なところありました」
「そして、大きかったのが、藤田君をはじめ同級生からアドバイスや情報をもらうことで、推薦入試のメリットや手続きがよくわかり、前に進みやすかったことです。とても感謝しています」
藤田
「僕は、英語劇の役者として演技することの奥深さを感じたり、1年間海外留学をしたりと、座学の知識だけではない、自分の体験の幅を広げようとしてきました。そんな体験で得たことも含めて、まるごとの自分を見てもらえるAO入試に魅力を感じました」
藤田
「やはり、複数名の教授との面接のシーンです。生命が地球上に生まれてからの変遷について、しっかり理解しているかどうか、質問を次々と浴びせられました。黒板も使って説明をするのです」
「桐朋で考えを深めてきた世界観をそのまま出せば、きっといい結果が出ると思っていました。緊張感と同時に、とても気持ちのよい高揚感がありました。この面接を通して学んだことは多かったです」
和氣
「大勢の教授たちに囲まれて、大学生レベルの知識を問われる口頭試験です。いくつか間違いはあったのですが、気にせず質問に答えていきました。解答の背後にある理解や洞察力を見ているのだと思います」
「量子のこと、原子、電子の軌道について、炎色反応、有機化学など、実に多岐にわたる質問内容で、高校生レベルではありませんでしたが、桐朋の先生が、大学生が使う教科書を読む機会をくださっていたので、対応できたのです」
和氣
「東大の推薦入学者は、研究室、実験施設に入ることが認められます。大変貴重な機会なので、さらに研究に取り組んで期待に応えたいと思っています」
「後輩のみなさんに贈りたいメッセージは、やはり中高生とは、中高生本人が思っている以上に特別な時期だということです。化学ブランプリは、負ける恥を恐れていたり、失敗を怖がっていたりしてもチャンスはやってこないのだと強く実感させられる貴重な体験でした。今しかできないことを探しましょう。ぜひ、学校にある、大会、イベントの掲示ポスターを探して下さい」
藤田
「いまの風潮として、学問に対して“これはすぐに役立つのか?”と実用性偏重なところがあると思いますが、僕は基礎研究の道に進み、大腸菌の研究など、本質的なテーマを探究してきたい」
「和氣君をはじめとする仲間たちとは、ライバルとしても共に切磋琢磨してきました。将来、化学を軸とした学際的な研究の中で、かつての桐朋の仲間たちと協力していければ素敵だなと思います」
「桐朋は、先生と生徒の距離がとても近く、何か聞こうと思ったらすぐに聞けるところです。遠慮せずに、どんどん桐朋という場を活用してください」