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77期高2修学旅行記 京都バスコース編②

3
Mar
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③太秦・嵐山コース

視野を少し狭め雑多なモダンツールを視界から排除すると、そこはまさに江戸時代だった。かねてから時代劇を観たり歴史を勉強したりする度にタイムスリップしたいと思えて苦しくなっていながら、引き出しを開けても階段から落ちても時空を越えられず失望していた僕にとって、この機会は極めて理想的なものだった。当時の人々の生活感まで忠実に再現された大江戸の長屋。残念ながら江戸人はいなかったが、まるでつい先程まで人が人がいたかのように感じられる情緒だった。

江戸の街・太秦を出発し、バスに揺られ次に訪れたのは世界遺産・天龍寺だ。天井に描かれた巨大な龍には会えなかったが、寺の代名詞でもある日本庭園を歩くことができた。庭園を抜けた後、正直どこへ行くのかよくわからず緩慢な歩みを進める僕は、整然と並ぶ竹林に目を奪われた。その日の京都を覆う曇天さえも貫くように一人ひとりまっすぐ立ち誇る竹たちと、彼らによって形成されたトンネルを通る小径。きっと何百年も前の人々もこの景色に心奪われたに違いない。幾分か竹林を四方八方に臨みながら歩いていくと一本の通りに出た。それぞれに風情があり粋な商店が軒を連ね、道行く観光客の間を人力車が抜けていく。京都の地理が毛頭わからない僕にとって、天龍寺から導かれてやって来た先が何という場所なのか見当がつかなかったが、標識の「嵐山商店街」という威勢の良い文字を見て合点がいった。そうか、ここがかの有名な観光地・嵐山か。人々が嵐山を目指す理由がよくわかったのだ。この絢爛豪華な街を、どこの街にもある「商店街」という言葉で判を押すのがもったいないくらい優雅な街だ。それぞれの店舗が個性的で魅力的な商品を売っている。そしてなによりも、通りの終点に姿を現した木造の架け橋は圧巻だった。

渡月橋———。

鉄筋コンクリートといった文明の利器にも劣らずして橋を支える先人たちの叡智。京都にはそれが詰まっている。そして、それらを見つめて心のどこかにあるノスタルジックな感性に身を委ねる現代日本人も、何百年も前の日本人と何も変わらないことに気づいた。しかしそんなことを思っていた僕は、この修学旅行最大の失態を犯してしまった。心の底から絶賛した渡月橋を渡り忘れたのだ。宇治抹茶ソフトクリームに夢中になるあまり、集合時間が間近である事に気づいた時の悲痛は今でも忘れない。将来にまた一つ宿題を残してきてしまったようだ。

 

77期高2修学旅行委員 Y.N.

④座禅コース

 

座禅コースが最初に向かうのは高台寺。言わずと知れた天下人・豊臣秀吉の正室・ねね(北政所)が秀吉の菩提を弔うため建てた寺です。今回はここで座禅体験を行います。

胡坐をかけないほど体が硬い筆者にとってこの座禅体験は地獄。そもそも姿勢を維持するのが大変です。スポーツ同然のこの苦行を、筆者は早く終わることを願いながらなんとか耐え抜きました。こんぴらさんの階段駆け上がりの方が楽なように思えたほどです。

座禅体験をした洗心寮。木造のこぢんまりとした建物です。

座禅を前にした桐朋生たち。

 

座禅体験を終えてからはいったん周辺を自由行動。お土産を購入したり高台寺の本堂を拝観したりして過ごしました。筆者は少し下りたところにある「ねねの道」へ。情緒あふれる街並みが広がっていました。

ねねの道から高台寺へ続く階段。

ねねの道。奥には八坂の五重塔も見えました。

 

高台寺を出発して次に訪れたのは慈照寺銀閣。室町幕府8代将軍・足利義政が金閣に倣って建てた山荘で、一回の心空殿は日本最古の書院造として国宝に指定されているほか、庭園も当時のまま残されています。前日に訪れた金閣とはまた違った趣ある美しさは見事でした。

自然と調和した美しさの銀閣。自分の語彙力のなさを実感します。

境内の散策路からの眺望もなかなか。

銀閣の中でいったん解散となり自由行動に。哲学の道を通って南禅寺を目指します。哲学の道は琵琶湖疎水に沿って続く1.5kmの遊歩道で、哲学者・西田幾多郎が思索にふけりながら歩いた道です。

「日本の道100選」にも選定されている哲学の道。

 

しばらく歩くと南禅寺に到着。鎌倉時代創建のこの寺は日本で最も格式の高い禅寺とされています。高さ22m・二階建ての三門は石川五右衛門の「絶景かな、絶景かな」の名台詞で知られる歌舞伎「楼門五三桐」の舞台となっています。

境内奥には琵琶湖疎水の水路橋・水路閣があります。1888年に完成した水路閣は田辺朔郎が設計を手掛け、周辺の景観に配慮したレンガ造りのアーチ橋となっています。レンガ造りだからか、景観に調和しながらも独特の存在感を醸し出しているように感じていました。

南禅寺の三門。二階に上っている人もいました。

水路閣。未だに水路橋としての役割も果たしています。

 

三門に集合し集合写真を撮影してから昼食場所へ移動します。江戸時代の医学学問所の建物を再活用した料理屋で名物の湯豆腐料理を頂きました。

この日の昼食。豆腐の見方が少しだけ変わったような気がします。

デザートの豆腐プリンも絶品でした。

昼食後、京都駅で他コースと合流し新幹線で東京へ。

東京駅には18:00ごろ到着。長いようで短い、77期高2修学旅行の5日間が終わりを告げました。

 

77期高2修学旅行委員 K.S.

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