解説
国立の丘にそびえたつ僕等の学校の窓からは老松の枝ごしに朝夕富士がながめられる。
その富士のいかにもゆったりとした姿はいつも『この雄大な大自然に対してはずかしくない人間になれよ。
こせこせした人間になるなよ』と僕等に教えている。
その美しく輝く富士の高峰の雪の様に清らかな心を持とう。武蔵野の季節の移りかわりにつけても『少年は老い易く学成り難し』という言葉の意味を良く考えあじわい、さらにこの様にすばやくすぎ去ってしまう人生にひきかえて、はかり知れない遠い昔から決して古びることなく常に新しい姿を見せている大自然の偉大さを考えあわせ、たえず新しい勇気をふるいおこして努力してゆこう。
良い友達がより集っている多摩川に近いこの学校で、多摩川の石が流れにみがかれる様に、我々もすぐれた素質を、一層磨き上げ、ますます志を高く持って勉学に運動にはげんでゆこう。鳳凰という鳥は桐の木にだけ住むと言われているが、そう考えると桐朋という名は実におくゆかしい名だ。そしてこの学校は、その鳳凰のひなの様な僕等が宇宙の真実を探求しながら、鳥でいえば鳳凰の様な立派な人間に育ってゆくところなのだ。
桐朋中学校・高等学校 応援歌―暁映ゆる―
作詞 児玉 実雄
作曲 田沢 茂
一、暁映ゆる 武蔵野に 真理の光 桐の学舎
南風薫り 雲呼べば いざ鳳凰は 羽ばたいて
蒼空高く 翔りゆく
二、仰げば富士の 秀嶺に 永遠の理想を 歌うとき
調べは高く 情熱は燃えて 自由と自治の 若人は
青雲遠く 征かんかな
三、あゝ雄渾の 丈夫が 乾坤一擲 意気高く
かざす真紅の 大旆に 歓喜を語る 生命の
泉は清し 多摩の川
四、春秋幾年 若き日の 感激燃ゆる 健児等に
勝利の月桂 輝けば 松籟高く 鳴りわたり
武蔵原頭 月淡し
桐朋中学校・高等学校 学園歌
作詞 石森 延男
作曲 入野 義朗
一、心の象徴 こむらさき ゆたかに匂ふ 桐の花
希望ははるか おほらかに はばたく翼 たくましく
(くり返し)
雲よ流れよ わが友よ
ものみなここに 響きあひ
桐朋学園 幸あふる
二、尊き生命 守りつつ 真理の世界 あこがるる
われらは若し すがすがし 歌わんいざや 歓びを
三、露草茂る むさしのの 光に眼 洗はれて
はるかに仰ぐ 富士山は 親しく呼べり この朝も