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桐朋高校69期生卒業式

3
Mar
14

3月7日(土)、多くの保護者や来賓の方々にご来場いただき、第67回桐朋高校69期生卒業式が挙行されました。

今回は、在校生送辞を受けて、卒業生代表として猪股大輝君が述べてくれた答辞を掲載いたします。

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この頃は、ふとした時に日の長さを実感するようになりました。大学通りの桜も日に日にその蕾を膨らませ開花の時を待っています。
本日、桐朋高等学校第六十九期生徒一同は無事卒業の日を迎えることができました。本日はこのような式を催してくださり、本当にありがとうございます。先生方、学校職員の皆さん、ご来賓の方々、保護者の皆様、それ以外にも我々の学校生活を支えてくださったすべての方々に卒業生を代表して、心から御礼申し上げます。本当にありがとうございました。
鎌田くん、素晴らしい送辞をありがとう。一年間、我々の代を引き継ぎ、学校を引っ張ってきた後輩たちをとても誇らしく思います。それではその送辞を受けて、答辞を述べさせていただきます。
三年前、期待と不安を抱きながら我々はこの学び舎に入学しました。ちょうど大学通りの桜が遅咲きで、入学式の時分に満開であったことを覚えています。
高校での三年間、我々は大人の前段階、いわゆる「こどな」として、桐朋という環境で、のびのびと自由を謳歌してきました。多くの生徒が、部活動や委員会活動、あるいは学校行事等、自分のやりたいと思うことに全力で取り組んできました。
そんな桐朋生活を通じて、私が得た最も大きなもの、それは「問う力」でした。
桐朋において、我々は主体的に様々な「問い」を見つけることを求められます。桐朋での活動はなぜそれをやるのか、どのようにそれをやるのかを自らに問い続け、その問いの答えを考え続けることの連続でした。例えば私が取り組んでいた生徒会活動でも、何か新しいことをやろうと思えば、常に問いを自分たちで見つけ、解決することを求められました。
また、桐朋では、人間関係においても常に他者について問い、考えることを求められました。桐朋は非常に多くの個性がぶつかり合う場です。そんな場にあって、他者の価値を認め、より良い人間関係を築いていくためには常に相手の事を問い、考え続けなくてはなりません。しかし、そうした思考を経ているからこそ、桐朋での人間関係は非常に強固でかけがえのないものとなっています。
今日、我々は鳳の雛の家を巣立ち、社会に羽ばたいていきます。しかし、その社会は決して明るいものとは言えません。
我々が生まれた十八年前からこの方、日本の先行きは常に暗いと言われ続けてきました。国際化・情報化の時代、伝統や規範、権威は相対化されて、その絶対性は失われました。個々人もまた、大量の情報によって相対化され、今後のことはおろか、自分の今さえよくわからない、そのような不確かさに満ちた時代を我々は生きてきました。
しかし、だからこそ、我々は、今問うことをしなければならないのではないでしょうか。問うことは物事を考え、自分なりに理解する端緒となります。いかに答えが見つからないようなこと、不確かなことであってもその物事を問い続け、それについて考えることは理解の第一歩となるはずです。そうして得られた自分なりの理解こそ、真に重要なものを見分け、自らの先行きを自ら決定できる強い規範となるはずです。いわばそうした規範づくりの実体験を、この学び舎で私は行うことが出来ました。
今日、我々は「桐朋生」という肩書を捨て、一人の大人として、不確かな社会に歩みだす時を迎えました。我々は、桐朋で得たかけがえのない友と共に、これからも自立した一人の人間として、自ら問い、自ら考え、自ら行動していきます。そのようにして生きていくことこそ、今まで我々を指導し、支え続けてくださった方々への真の恩返しになると信じています。
最後に、今までの十八年間、どこへ行くともしれない我々を影に日向に支え続けてくださったすべての方々に今一度感謝の意を述べ答辞とさせていただきます。
みなさん本当にありがとうございました。

二〇一五年三月七日
第六十九期卒業生代表 猪股大輝

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