TOHO Today 桐朋トゥデイ

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脳科学に関する講演会が行われました

12
Dec
24

今年度の進路企画として、11月19日、20日の二日間にわたり、「脳科学@桐朋」が行われました。そのときの様子を、本校新聞局員が記事にまとめ、校内新聞「Press Toho」に掲載しました。その内容を抜粋してご紹介いたします。

11月19日と20日の放課後に、進路指導部の企画として「脳科学@桐朋」が行われた。これは、文部科学省の脳科学研究戦略推進プログラム(脳プロ)とのコラボレーション企画として実施されたもので、理系向けと文系向けの二種類の参加型講座が用意され、どちらも新視聴覚室で開講された。新聞局ではこれらの講座について取材した。

 

11月19日

脳科学に関する理系向け講座が開催された。講師は仲嶋一範先生。慶應義塾大学医学部・解剖学教室教授であり、神経科学を専門としている。

今回の出張授業は「動く細胞たちが織りなす脳の形づくり」という題で、大脳皮質の発生の仕組みについてのものであった。ヒトの大脳皮質は高度な機能を持っており、これは他の動物と比較して極めて多い神経細胞の数に起因する。出張授業では、どのようにしてヒトは神経細胞を増やすことができるのか、ということを脳の発生過程での細胞移動の観察によって解明していくことを目的としていた。

この企画は文科省の脳プロ事業の一環としての授業であったため、実際の研究に使用されているレベルの蛍光顕微鏡が用意され、脳の神経細胞を観察する場も設けられた。黒い画面の中で赤や緑、青といった色で神経細胞が可視化されている様子は、「小さな宇宙」という別称にふさわしく、宇宙の景色を思わせる神秘的なものだった。

脳はヒトの中枢としての役割を果たす身近な存在でありながら解明されていない事柄も多い。普段、私たちが脳科学の分野に触れる機会はあまりないだろうから、行われている研究の最先端を知るという体験は、企画に参加した人の視野を広げる貴重なものになったのではないだろうか。(木村楓)

 

11月20日

19日の脳科学に続く第二弾として、農研機構主任研究員で心理学博士である、和田有史先生による食品と心理学についての出張授業が行われた。

今回の授業には、中学と高校から合わせて40人以上の生徒が参加し、和田先生の専門分野である心理学について、「なぜ人の心を研究するのか」といったことから「人の五感と錯覚」、「人の感じる味覚」などについて、およそ二時間の講義を受けた。

講座は「なぜ心理学という学問が存在するのか」という問いかけから始まった。その後は、よく知られた錯覚や盲点についての体験を行った。その中で、和田先生がつい最近発表したという錯覚が登場し、心理学がまだまだ発展の余地があるホットな学問であることをうかがわせた。そして授業は、味覚に関することに移っていく。味とは口の中だけで感じるものではないということを証明するため、鼻をつまんでチョコレートを食べる実験が行われた。

その他、色と食品の味など、様々な内容の授業が行われた。

そして、和田先生は進路についてのお話として、最先端の研究を行っている研究者たちは出身の理系・文系に関係なく研究を行っていること、研究者であることはとても大変だが、それ以上に楽しい仕事であることなどを話された。今回の企画は将来の進路について考えている生徒たちにとって、とても参考になるアドバイスだったのではないだろうか。(渡辺丈洋)

 

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