TOHO Today 桐朋トゥデイ

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さる3月6日(水)に、小学校講堂で英語スピーチコンテストが開催されました。

対象の高2学年は、3学期に入ってから、英語表現の授業にてALT(Assistant Language Teacher)の先生方と一緒に、スピーチの作成や練習に取り組んできました。

お題は自由。自分の好きなこと、嫌いなこと、経験、日々誰かに聞いてほしいと思っていたことなど、予選が行われた各授業では色とりどりの内容のスピーチが発表されました。

今年度はパワーポイント等の視覚資料を用いず、自分たちの声や表現のみでスピーチを届けることを目標としたため、聞き手を惹きつけるレトリックを学んで取り入れたり、ジェスチャーやアイコンタクトを意識した発表が数多くありました。

コンテスト当日は、各授業クラスから選ばれた代表14名が壇上に立ち、ALTを含めた4名の先生方に審査員を務めていただきました。


熾烈な戦いを勝ち上がった14名の発表はレベルが高く、彼らの「自分の伝えたいことを英語で自由に伝える力」に、刺激を受けた仲間も多かったことと思われます。(英語科 S.U)

2月27日・29日・3月1日(各日程2クラスずつ)の日程で、中2社会科見学が実施されました。
「多摩地域の戦争遺跡と現代の問題を考える」をテーマに、旧日立航空機変電所を訪問して学芸員の方から説明を受けました。また横田基地周辺をバスで周回し、瑞穂町のスカイホール展望台から基地の大きさを確認しました。

軍都と呼ばれた立川は、80年前のアジア・太平洋戦争末期に、空襲により大きな被害を受けました。東大和市にある旧日立航空機変電所はこうした空襲の様子を伝える貴重な戦争遺跡です。また、横田基地は極東米軍の司令基地となっており、輸送基地・訓練基地としての重要な役割を担っています。一方で騒音や事故が懸念されるオスプレイの配備など、周辺住民の不安の原因にもなっています。この見学を通じて戦争・平和・基地の問題と向き合い、生徒たちに考えを深めてほしいと思っています。

 

見学に参加した生徒たちの感想を紹介します。

・辛うじて残ったこの変電所は当時日本の要となっていたことを知った。説明されなかったが宿直部屋の様子を見ていると、その酷さに驚かされた。また壁にあった銃弾の痕を保存し、市全体で動画を作成していたのは、我々若者に対する姿勢が感じられ、平和が連想された。
・戦争当時の跡をそのまま見ることができた。コンクリートを大きく傷つけるほどの強い力で、人間を殺す。そのひどさを肌で感じた。ひどいといっても悪いのは飛行機に乗っていた人ではない(全くないとはいえないが)。戦争というシステムそのものが存在すべきではないと思った。
・横田基地周辺は、米軍関連の人による経済的な良い影響を受けている部分もあったが、騒音や町の分断などの悪い影響もあったので、そのような部分のバランスが難しいと思った。
・横田基地周辺を低空飛行する米軍機を見て、米軍機が墜落する危険性を考えさせられた。また、横田基地が自分の思っていたよりもはるかに広大だったのに驚きを感じると共に、日本がアメリカに大きく依存していると思った。

去る2/21(水)に、警察大学校特別捜査幹部研修所長の小笠原和美先生をお招きして講演会を行いました。日常を送る中で、性暴力に関する正しい知識や考え方・ふるまいなどを、我々はもっと知っていかなければならない、という教員達の思いから、今回の会は行われました。

 

誰もが考えていくべき重要なテーマであると同時に、生徒によっては心理的負担を伴う内容であったかもしれません。講演会後は中高の教員・養護教諭を対象とした学習会もおこなわれ、困難を抱えた生徒たちに、学校現場の大人たちはどのように接していくべきかについても、小笠原先生から貴重な示唆をいただきました。以下に、講演を聴いた生徒達の感想を紹介します。

【講演会を経て 生徒の感想】

著名人の性加害報道が毎週のように放送されている中において、このような話が聞けたことは意義のあるものであったと思う。性加害の加害者にならないのはもちろんのことであるが、傍観者にならない、相談者として適切に振る舞うといったことも重要なのだと感じさせられた。正直、自分がその場面に出くわしたとして適切な対応ができる自信が全くない。だがその内気さを打ち破って、意識的に行動することが令和の世に求められているのだと思う。講演者の小笠原先生、ありがたいお話をありがとうございました。(D組H君)

今回、小笠原先生の講演を聞いて、漠然としていた性暴力という事柄について具体的に知ることができました。特に何度も強調されていた「相手の気持ちを想像する」ということは、性に関することだけでなく、多岐に渡り必要とされる力だと実感させられました。若者が最も身近に接しているであろうインターネットも、そこから性暴力へと繋がっていく可能性があるということで、インターネットとの関わり方も見直そうと思いました。最後に、慶應大学生の方達の話の中で「高校生は世間を知っているようで知っていない」という言葉があって、自分の中で思っている常識と大人になってからの常識は具体的に何が違うのか、真剣に考えていく必要があると思いました。(D組H君)

【担当教員より】

講演会では「想像力」・「同意」という言葉が用いられていました。「想像力」とはどの方向に向けられるべきものなのか、そして、前提となるべき「同意」とはどういう状況や関係性の中で形作られるのか、あらためて深く考えさせられました。

また講演会では「Active Bystander」について、その重要性が語られました。「見て見ぬふり」をせず自身が正しいと思ったことを実行するのは、とても難しいことです。感想にもありましたが、行動を起こす際に必ず巡り会う例の命題。

「倫理的な正しさは、しばしば世俗的な成功と一致しない」

僕らが「ファーストペンギン」になるかどうか判断を迫られるのは、必ずしも性暴力やハラスメントの場面だけではありません。そして判断を下す際の状況は様々です。簡単には答えは出ませんが、我々大人も含めて、多くの人々が知識と想像力を持ち、考え続けることで、少しずつよりよい状況がつくられていくことと信じたいです。

行事高校
3
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6

3月2日(土)に高校卒業式が行われ、78期293名が桐朋高校を卒業しました。
また、式には多くの保護者の方々のご臨席を賜りました。
式後、担任とともに最後のホームルームを行い、解散しました。
卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。

卒業生を代表して答辞を述べた土田淳真くんの感想を紹介します。
また、土田くんの答辞を写真以下に掲載します。

「卒業生代表の土田淳真です。78期の卒業にあたり、答辞の名誉にあずかりましたことを大変光栄に思っております。このたびの答辞を作るにあたり、78期の全てを詰め合わせるという思いで、卒業生293名全員の氏名から1文字ずつとって本文に組み込む、ということに挑戦しました。また、最後から3行目には担任団の先生方の氏名を1文字ずつ入れております。つたない文で恐縮ではございますが、78期の歴史・気概を感じ取っていただければ幸いです。」

 

 

卒業式答辞

ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきは、巡り巡ってアメリカ・テキサス州のハリケーンの原因となりうるでしょうか。1972年、アメリカの気象学者エドワード・ローレンツは正確な気象予報の困難さをこのように例え、初期条件の僅かな違いが観測結果に大きな影響を与えることを示しました。ローレンツのこの問いはやがて「バタフライエフェクト」として大衆文化にも受容され「偶然に導かれた数奇な因果関係」を意味する言葉として用いられています。本日体育館の外に吹いている朗らかで少し物寂しい風も、ともすると3年前・6年前初めてこの学校に足を踏みいれた時の肌寒く不安な風の名残なのかもしれません。

自らの歩みを振り返り、新たな日々を予感させる春風が吹くこの佳き日に、桐朋高等学校78期、293名の卒業式を挙行くださること、卒業生を代表し感謝申し上げます。そして6年間僕達に知的好奇心の入り口を開け続けてくださった先生方、また何より18年間僕達の成長を見守ってくださった保護者の皆様に、重ねて御礼申し上げます。

振り返ると78期は常に風と共に歩んできました。2019年4月1日、「平成」に替わる新元号「令和」の発表。出典の万葉集に曰く、「初春の令月にして、気淑く風和らぎ…」しかし、令和最初に吹いた「風」は通常の「風邪」を遥かに凌駕した未知の感染症でした。「期末試験は中止です」最後の登校日、担任の先生が複雑な表情でそう告げた時、歓喜の声を上げた僕たちのそばで一人下を向いていた友人が流した悔し涙が、コロナの残酷さを如実に物語っていました。憎たらしいほどの青空の下で、僕たちの中学修学旅行は、部活の試合は、そして何よりマスクの下に見るはずだった皆の笑顔は、全て「不要不急」の4文字に淘汰されていき、その鬱憤を誰のせいにもできない葛藤の毎日が続きました。それでも、時計の針は進み続けます。たとえそれが黒板に打ち付けられた腕時計の針であっても。桐朋祭は3年ぶりの有観客開催となり、熱狂の渦を取り戻しました。無事に迎えられた高校修学旅行、旅館の屋根の上、あるいは大文字山から見た京都の星空は、さぞ格別なものだったでしょう。「7回学んで8回笑え」修学旅行のこのスローガンは元々「7回笑って8回学べ」だったそうです。最後は笑いたいよね、実行委員のその一言で少しだけ変わったこのスローガンからは、一生ものの信念を感じます。

しかし、僕達のこの信念は、決して既存体制への反骨心に基づくものではなく、僕らに本質的に内在する潤澤な学びと笑いへの希求である、僕はそう思います。僕達でなくして誰が、壊れたプリンターで射的をしたでしょうか。電子研は78期の学びある笑いの象徴でした。僕達でなくして誰が、教室のベランダにガーデンテラスを作ったでしょうか。中学最後のスポ大、掟破り瀬戸際のクラTを着て優勝した3年1組が、僕はとても羨ましかった。僕達でなくして誰が、数学の問題集より分厚い修学旅行のパンフレットを作ったでしょうか。学校説明会に来た小学生がこれを見て目を輝かせていたのは忘れられません。CreationとImaginationが同じ「そうぞう」という音なのは日本語の奇跡としか言いようがありませんが、僕達にとってこの両者はもはや同一でした。そしてまたこれも言葉の綾ですが「そうぞう」はえてして騒々しい――群馬県警を呼び、1年1組の天井を破壊し、あるインドカレー店と癒着ができました。ともかく、78期はなんというか、豪快でパワフル。学年閉鎖をことごとく回避し「馬鹿は風邪をひかない」あまりのうるささに呆れ顔で言われたその言葉ですら、僕達には誇らしく感じられました。馬鹿と言えば、これまた「そうぞう」の一環として、生徒による学年通信「馬鹿たれ」を想起した方も多いことでしょう。学年目標を冠した本家「大鵬たれ」のパロディとして作られたこの「馬鹿たれ」、後付けではありますが、かのスティーブ・ジョブズの演説も由来の1つだそうです。 “stay foolish stay hungry”僕達はこの演説を高2英語総合の授業で学ぶことになります。偶然、ちょうどそのころ、この演説を扱ったある番組がNHKで放送されました。1人の細やかな営みの連鎖が、世界を動かす、と語られるこのシリーズ番組は、また偶然にも僕たちが高1の世界史で学んだ「映像の世紀」の続編で、その名も「映像の世紀 バタフライエフェクト」 2022年11月7日の放送回では、「世界を変えた愚か者」としてご存知ジョブズと、彼に影響を与えた思想家バックミンスター・フラーが紹介されていました。フラーは人類の持続可能な発展についての先駆的概念「宇宙船地球号」の提唱で知られています。バタフライエフェクトと「宇宙船地球号」はともに、いかなる矮小な存在も雄大な世界の要素であることから逃れられないことを示しました。1人の細やかな営みの連鎖が、世界を動かす。情報化社会と呼ばれる今日、それはいよいよ僕ら若者のレベルですら現実となりつつあります。絶えず大衆を突き動かし、ふと消えていくこれらの動きは、まさに風と形容するに相応しい。ですが、風そのものはいかなる善悪も吉凶も帯びていません。曖昧で流動的で得体がしれない、だからつい単純化し、意味づけしたくなるだけなのです。0か1かで定義されるデジタル技術が世界を支配する一方、0と1の間の無限の可能性を認める多様性、個性といった言葉が盛んに繰り返されています。しかし、個性的とは決して固定的なものではない、まして赤の他人から全角140字で押し付けられるものではない、僕は同級生の底知れぬ人間力と接する度にそう思います。僕達が一生かけて取り組む問題集には別冊の解答解説なんてついていません。解説されてたまるものか。解答なんてあるはずもない、だけれども、あるいはだからこそ、その問題を直視し、従うべき、逆らうべき風を判断せねばなりません。

さてこの“stay foolish stay hungry” “be foolish be hungry”ではありません。僕達はいつまでfoolish、馬鹿でいられるのでしょうか。無知を馬鹿というならば、僕は永遠に馬鹿で構わない。無知とは、また新たな何かを学べるということであり、学びとはすなわちその奥に未知が存在することへの知覚なのですから。高1の時、担任の先生がこう言っていたのを思い出します。「学ぶ意味なんて学びきるまで分からない、でも意味がわからないから学ばないってのは、あまりに安直だよね」学びには王道もなければ聖域もない。永久の学びを志向する者ならば、他者に対し冷笑的、厭世的な態度で臨むことは許されません。

馬鹿は風邪をひかない――己の無知を自覚し、故に学び続ける「馬鹿」であるならば、流言飛語やデマといった一時的な「風」に惑わされることはないはずです。未成年という防風林が除去された僕たちには、今後多くの逆風が吹きつけるでしょう。時には向きを変え、その逆風を追い風に変えることも重要な戦略1つです。ですが、青臭いかもしれないが、コロナ禍を乗り越えた学年として、いやそうでなくとも78期として言わせてほしい。逆風を味わうことができるのは、前に進む者だけだ、と。

さらに僕達はそう遠くない未来、風を受ける側から風をおこす側になるでしょう。最後にこんな話を紹介させてください。ある日、生徒会の意見箱に右翼や左翼といった言葉を使って特定の政治思想を中傷するものが投書されていたことがありました。どう返信しようかと悩み、そのまま机に置いて帰った次の日、誰の字とは分かりませんが、しかしはっきりと次のようなことが書かれていました。「片方の翼だけでは、鳥は空を飛べません」 僕達が大鵬ならば、両方の翼を自在に使いこなせる大鵬でありたい。大鵬は古代中国における季節風の象徴だという説があります。中国大陸の南、太平洋を吹き抜ける季節風は、古来より貿易船の帆を押し、東西文明の融合、新たな文化の隆興を育んできました。1匹の蝶でさえハリケーンを引き起こすなら、293羽の大鵬は何をもたらすのでしょうか。僕達がおこす風もまた、曖昧な他者を融合させ誰かの「そうぞう」の一助となると信じています。

桐の朋。ですがけっして「これっきりのとも」ではないはずです。

数千里の翼を伸ばして校舎の外に尚も広く晴れ渡る大空を悠々と、颯爽と翔けていく我ら大鵬。

78期が飛び立つ空に、学びあれそして笑いあれ。
78期よいつまでも、馬鹿な大鵬であり続けよう。

2024年3月2日 78期卒業生代表 土田淳真

さる2023年7月29日~8月9日にかけて実施されたケンブリッジ大学海外語学研修が「読売新聞オンライン」で紹介されました。

ケンブリッジ大学海外語学研修は、本校初の海外研修として2012年度にスタートしました。以後、隔年で実施してきた本研修でしたが、2020年度と2022年度はコロナ禍で中止を余儀なくされたました。コロナの感染症法上の位置付け変更をにらみながら、2023年の年明け早々に再開へと動き出し、今般実施に至りました。

定員を高1生と高2生の希望者20人ずつとしていたところ、参加希望者は高1は定員の約3倍、高2は約2倍となりました。生徒たちの意欲と志の高さをあらためて感じました。

以下のリンクから記事内容を読むことが出来ます。ぜひご一読ください。
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/support/information/CO036564/20240216-OYT8T50016/

さる2月16日・20日・22日(各日程2クラスずつ)の日程で、中3社会科見学が実施されました。

見学場所は東京地方裁判所、東京証券取引所、第五福竜丸展示館でした。

東京地裁では実際の刑事裁判を傍聴しました。生徒も引率する教員も相当の緊張を強いられますが、裁判の難しさを肌で感じてもらえたら…という思いから、30年以上続けている内容になります。

また第五福竜丸展示館では、1954年にアメリカの水爆実験の被害を受けた「第五福竜丸」の実物を見て、展示館の方からお話をうかがいました。当時乗組員であった大石又七さんは、かつて桐朋で生徒たちにご自身の体験をお話しくださったこともあり、こちらの見学も30年以上続けているプログラムです。

 

もう一つの見学地が東京証券取引所です。コロナ禍を受けてしばらく訪問出来なかったところですが、今般見学を再開することが出来ました。

 

あるクラスでは、ここでお勤めのOBの方から直接館内のご案内をいただきました。また22日は奇しくも、バブル期以来の最高値更新を果たした日となり、多くのメディアがカメラを構えている中での見学となりました。

 

教室を離れ実際の社会に触れることで、社会の「いま」に一層の興味を持ってくれることを期待しています。

対談講演『作家の眼 文学のことば』~直木賞作家、木内昇さんをお迎えして

対話が必要な場所で、対話のことばが失われ、多くの犠牲が生まれている。そんな今、「新しい対話」が始められないものか。世界中でそうした声が広がってきています。
どうしたらそんな対話のことばを生み出していけるのか。それについて学び考える機会として、2月14日に中学三年生のL.H.R.企画で、直木賞作家の木内昇さんをお迎えして『作家の眼 文学のことば』というテーマで対談形式での講演会をおこないました。対談相手の武田裕藝さんは桐朋56期卒業生で、現在読売新聞文化欄を担当しておられ、新聞記者のインタビューが実際どんなふうに行われるかも知ることができるというユニークな対談講演となりました。

事前に国語の授業で、木内昇さんの短編集『茗荷谷の猫』所収の「庄助さん」「てのひら」の二編を読み、その作者の方とお話しするという新たな試みでしたが、木内さんも中学生の学年全員を前に話されるのは初めてとのことでした。
木内さんからは先ず、自分が本好きになったのは遅く、本に携わる仕事をしたいとは思っていたものの、小説家になったのは志望してではなく偶然だったと自己紹介されました。小説家の仕事については、作者である自分自身にも登場人物がどういう人物かわからないからこそ書いてわかりたいという思いがモチベーションになっていることや、人の内面を描写するのではなく、身体の動きを描いていくうちにその人物がどういう人物なのかわかってくることのおもしろさ、時間をかけて丁寧に動きを見続けていくことの大切さなどが語られました。また、「小説を書くとき、自分の斜め少し後ろにもう一人の自分を置きながら、作品世界や登場人物を見ている。それは生きていくうえでも大事なことではないか」というような、書くことと生きることとのつながりについて深く掘り下げる話がされました。
後半は、「どのような小説がすぐれた小説だと思いますか」というような生徒からのさまざまな質問に、木内さんと武田さんが直接答えてくださり、活気ある対話の場がうまれました。

 

講演の最後に木内さんは、「人生においてさまざまな困難にぶつかることがあるけれど、そんなときこそ小説を手に取ってみてほしい。困難を特定の誰かだけのせいにし他責の念にとらわれて自分の人生を失うことのないように、また、自責の念に縛りつけられてしまうこともないようにして、自分の人生を自分のものとして生きていってほしい。」というメッセージを贈られました。
文学のことばでの対談と、一人ひとりとの直接の対話を通して、自分自身の人生と自分たちの「新しい未来」をどう生み出していくかについて思索を深める場をつくってくださった木内昇さん、武田裕藝さん、ほんとうにありがとうございました。
(文責 岩﨑)

本校では、約20年前より毎年、高校2年生の家庭科の授業の一環として同法人の桐朋女子高校(以下女子部)との意見交流会を開催してきました。

家庭科で学びのテーマとしている、「職業の考え方」「これからの生き方」「結婚観」「家庭での家事分担」等について授業内で女子部と男子部共通のアンケートをおこなってきました。

アンケートの集計結果をもとに、それぞれ疑問に思ったことを同年代の異性に尋ね、生の声を聴くことを目的としています。

今年度は2023年11月11日(土)に男子部校舎にて各クラスの代表者どうしでの交流会を開催しました。

 

今回の報告会はその時のディスカッションの内容や様子を男子部に持ち帰り、男子部高2学年全体で共有することとしました。

 

発表のテーマは、

1班 ・共学別学に関して ・生理に関して ・結婚相手/付き合い相手に関して ・性別の固定観念に関して ・女性の社会進出に関して

2班 ・共学/別学のメリット・デメリット ・ジェンダーレスはどの程度改善されるべきか ・性の固定観念への執着 〜男女のあるべき姿〜 ・

3班 ・結婚相手の容姿・スタイルを気にするか? ・将来、専業主婦という選択肢はアリか? ・デート代は男が払うべきか?

4班 ・男女別学に満足しているか? ・性別に対する固定観念 ・ジェンダーレストイレは
どうあるべきか

 

質疑応答の時間も多くの質問が寄せられ、学年全体で交流会の雰囲気を共有できる貴重な時間となりました。

発表者の感想のひとつを紹介します。

「入学して初めて、『女性』と『男性』という区分けを体験して、新鮮であったと同時に、学校の日常においては『男性であること』をあまり意識していないということも改めて感じた。女子部のみなさんにも同じことが言える。その上で、ニュートラルな距離感で意見を交流できたのはとても貴重な時間だった。」

また、この発表を聞いた学年の教員からも

「男女別学であるからこそ、探求の対象として「結婚観」や「家事分担」または「生理」のことについて意見交換をすることで、互いにいい距離感で率直な意見交換が交わせた印象だった。貴重なこの機会をこれからの人生に生かして欲しい。」

とのコメントが寄せられました。

12月2日(土)放課後,希望者を対象に,住友商事キャリア教育支援プログラム『Mirai School』を開催し,中学3年生と高校1年生の希望者約30名が参加しました。

講師として,住友商事の社員2名(うち本校OB1名)に来校していただき,キャリア形成や商社での仕事について講義をしていただきました。

そもそも商社とは何なのか?というところから,お二人の具体的な仕事内容まで様々お話しいただきました。普段なかなか聞く機会の無い職種の方々のお話に,皆真剣に耳を傾けていました。

“今まで僕は総合商社について「いろいろな方面の産業についての商売をしている」というイメージしかなかったが,お二人の話を聞いて,具体的にどんなことをしているかがよく分かった。(中3)”

“僕が将来「起業したい」と講師の方に伝えたら,すごく親切に起業する時に大事な事やご自身の体験談を話してくれて,とても将来のためになりました。(高1)”

また,学生時代や仕事での海外経験についてのお話に刺激を受けた生徒も多くいたようです。

“御二人の話で,海外経験が豊富で,それによって転機となったと聞き,海外に興味を持ちました。(高1)”

お二人の学生時代のお話などは,身近な話題としてよく印象に残ったようでした。

“学生時代に住んでいた環境や,好きだったことが仕事につながるということを知りました。(高1)”

講義から得られたことを共有するグループワークでは,活発な意見交換がなされていました。

本企画が,これからの進路選択について考える材料の一つになったようでした。

カシオ計算機羽村技術センターの見学会および講演会を開催しました。
本企画は,本校OBの持永信之さんとのご縁で進路指導部の企画として開催する運びとなりました。見学には中2~高2までの40名弱の生徒が参加しました。
持永さんからはカシオ計算機についてのほか,どのように進路を選択し,仕事をしてきたか,などを桐朋生の視線に寄せてお話しいただきました。今でも桐朋を身近に思ってくださっている先輩の話が心に響いたようでした。

“持永さんの講演は桐朋からのその後が話されていて,その内容から,人生何がおこるか分からないなとしみじみ思い,これからの人生を改めて考えるきっかけになりました。(中3)”
“教師になろうとしていたのにカシオへ行ってその道を極めている先輩はかっこいいなと思いました。桐朋生は対応力があるのかなと思いました。(高1)”

また,カシオ計算機の経営理念や商品開発の流れなどについてもお話しいただき,メーカーで働くことについて思いを巡らせた生徒もいたようです。

“講義で特に印象に残ったことは,カシオは「~のようなものが欲しい」といった需要からだけでなく,新しい技術などを活かすためなど,その他の事柄からも製品開発を進め
ているという事です。これにより,G-SHOCKなどの革新的な商品が生まれているのだと感じました。(高2)”

羽村技術センターはCASIOの様々な商品の開発を行っている場,ということで,その中でも代表的な商品であるG-SHOCKの開発に携わる方々からもお話を伺いました。
G-SHOCK誕生や新製品の開発・改良の過程など,身近な製品であることもあり皆興味津々でした。

また,G-SHOCKの耐久試験などを行う品質保証実験室も見学させていただきました。自分たちの想像よりも過酷な試験を課されているのを目の当たりにし,耐久性へのこだわりに感動した生徒も多かったようです。

“G-SHOCKのテストでは,ハンマーで叩いている実験が印象的だ。日常以上の負荷にも余裕で耐えていた。ブランド名にとことんこだわっていて尊敬する。(高1)”
“特に研究室の見学では,見たことのない耐久テストがたくさんあり,あらゆる故障の原因に対策していることが分かりとても驚きました。また,腕時計の落下実験にはとても興奮しました。(高2)”

この見学を通して生徒たちは様々に刺激を受けたようでした。ご協力いただいたカシオ計算機の皆様どうもありがとうございました。

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