vol01.地学「体感」が開く、サイエンスへの扉。 vol02.家庭科暮らしの手仕事に学ぶ

桐朋ism

次の学びプロジェクト

体験の質にこだわり、環境を整える

新校舎の1階に、新しい家庭科実習室があります。
実習室を作るにあたっては、こだわりをもって設計しました。他校の家庭科教室の見学や研究会などにも積極的に出向きました。設備の見学とともに家庭科教育の在り方についても意見を交流しました。そして、施設・設備と教育実践とをつなげ、桐朋らしい家庭科教室づくりに取り組んできました。細かなことですが、換気のためのダクトひとつとっても、授業の視線や空間を大事に考えて位置を決めています。そして、実習に参加する生徒たちの動線を考え、作業が効率よく、協力してできるように、コンロや水道の位置を細かく決めていきました。班単位でのコミュニケーションの取りやすさにも配慮しました。設備が機能的であることは、生徒の実習プロセス、思考プロセスの質を高めます。

体験を通して、体験以上を学ぶ

家庭科の授業と言うと、どんな内容をイメージされるでしょうか。
座学を通して学ぶことともに、実体験を通して学ぶことが大切だと、桐朋では考えます。調理、裁縫はもとより、高校2年生の福祉体験を重視しています。調理実習では、単品を作るだけでなく、一食分の料理を2時間連続の授業で調理します。班は、さまざまな役割が担えるよう、毎回メンバーを変えて実習を行います。調理実習は単に調理の上手下手を問うものではありません。実習を通して、食生活の大切さを総合的に考えられるよう構成します。同時に、班活動では、生徒たち個々の得意不得意を上手にいかしたチームマネジメント、協力する大切さなども、生徒自身が気付いていけるように配慮しています。 また、福祉体験では、体験する施設の選択と交渉からすべてを、生徒自身が行います。高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、保育園などでの体験は、生活の中に息づいている「生きる」ことの意味を問い直すきっかけとなります。大きな困難や矛盾を肌で感じることも少なくありません。このような生徒個人の体験を、二学期の授業の中で交流することによって、他教科での学びとも結びつき、重層的に学習を深めていきます。そして、生徒たちと教師たちのインタラクティブ(双方向)な学びが「次の学び」を創り出す原動力となっています。

発達段階に応じて知性・感受性・身体性を磨いていく

中高一貫校だからこそ、生徒の6年間の心身の発達段階に応じて、授業の内容・カリキュラムを構成することができます。
たとえば中学2年では、調理や裁縫の基本的な「手仕事」を身に着けることを大切にしています。調理実習の完成写真を手に取ると、生徒たち自身も、家族も、教職員達も、微笑みながら話が弾みます。調理実習の楽しさ、手作り美味しさを味わった記憶が、学習を深めていく土壌となります。思春期の反抗期の時期とかさなりますが、その時期に、自分の衣食住を問い直すことは意義深いと考えています。
また、高校2年生は、大学受験に向け、進路選択をしている時期です。思い悩んでいる生徒も少なくありません。中学での学びを深めつつ、福祉体験、人生設計、女子部との意見交流会などを通して、視野を広げ、将来の自分の家族、暮らし、仕事、生活と社会のあり方などをつなげ、生活のリアリティを感じ取りながら「生きる」ことを考える授業を展開したいと思います。

他者への想像力につながる学びへ

調理実習を通して、生徒たちの関心は、食物の安全性、健康、アレルギー、食材の産地、食料自給率、国内・海外の農業、TPP…などと展開していきます。これまで知らなかった価値観や社会問題へと視野が広がります。
高2では、生徒自身が生まれてから死を迎えるまでの生活設計にも取り組みます。桐朋女子と合同で、生徒に結婚・就職・子育て・ジェンダーに関するアンケートを実施し、それをもとに各クラスの代表者で男女交流会を開き意見交換を行います。そして、そのアンケートや議論の内容を授業にフィードバックして、ライフステージごとの生活課題に気づき、将来のパートナーとの関係性も視野に入れ、自分の生き方を考えていきます。この学習は、夏の福祉体験ともつながっています。
 桐朋の家庭科では、私的生活の現実に迫るリアリティを要としながら、生活者の立場から社会のあり方や制度を問い直し、家庭人として、社会の形成者としての生き方や社会構造について考える基盤となる学びをめざしています。

Detail
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バンダナで作るシューキーパー

中学生の今日の裁縫の課題は、バンダナを利用したシューズキーパー作り。
どんどん作業を進め縫い始める者、裁断の段階でつまずく者。最初は賑やかだった教室も、作業が進むにつれ、皆、集中し始め、真剣な眼差しになっていく。

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エビマカロニグラタンとトマトのブルスケッタ

高校生の調理実習。メニューはエビマカロニグラタンとトマトのブルケスッタ。実習のグループは毎回固定ではなく、実習の度にメンバーが変わる。でも、あっという間に、それぞれの役割を決め、チームワークの良さを発揮します。

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ホワイトソースが肝と知る

失敗することも大事。グラタンの肝であるホワイトソース作りに失敗したグループも。しかし、手順を見直し、すぐに再チャレンジ。

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エビの背わたを初めて取る

動線を考えられた実習室では、それぞれの動きもなめらか。慣れた手つきで野菜を刻む生徒もいれば、エビの背わたと皮むきに手間取る生徒も。

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自分たちで作ったものは格別においしい

盛りつけにも気をつかい、できたグループから試食。調理台の天板を動かせば、あっという間にテーブルに早変わり。紅茶もポットでいれて、おしゃれにおいしくいただく。自分たちで作ったものは格別においしい。

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後片付けまでが調理実習

後片付けまでが、実習。調理の途中から手際よく片付けていたグループもあれば、最後にまとめて全部片付けるグループもある。

家庭科教員

中山めぐみ

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