桐朋ism

各界で活躍する卒業生が語る、本物のキャリアガイダンス

語る人:進路指導担当 林卓也

桐朋の「在校生・卒業生懇談会」は、各界で活躍する桐朋OBが高校1年生、2年生を対象に、
分科会形式で講義と懇談を行う進路指導企画です。
1970年のスタート以来、40数年に及ぶ実績を持つ「在卒懇」は、
桐朋生に大きな影響を与えてきた“本物主義”のキャリア教育です。

一生の仕事を考えるきっかけを提供する進路企画=「在卒懇」。

今でこそ、“キャリア教育”という言葉がよく聞かれるようになりましたが、桐朋では在校生に卒業生が、自分の学問領域や職業について語る「在校生・卒業生懇談会」という進路企画が、1970年から行われてきました。当初は、高校2年生を対象に、大学4年生や研究室の配属が決まった人を招待して始まりましたが、その後、高2向けの企画だけでなく、社会人10年目くらいの卒業生から現在就いている職業について語ってもらう高校1年生向けの企画が加わり、現在にいたっています。単に○○大学を目指すというような進路指導ではない、桐朋ならではの生徒の一生にとってどうか、という視点を大切にした本質的なキャリア教育だから長続きしているのだと自負しています。

幅広いジャンルから多彩な講師陣が、後輩たちのために集結。

最近は、高校生対象のオープンキャンパスなど、大学を見学できる機会が増えていますが、一昔前まではそのような行事もなく、実際の大学4年生、研究生の話を聞くことは貴重な機会でした。また、最近では学部学科の名前だけ見ても、「何をやっているのかわからない」ようなネーミングのものがあります。
こうした状況にあって、幅広い分野の多彩な講師陣の声を聞くことができる「在卒懇」は、桐朋生が進路を考えるうえで貴重な交流の場となっています。

日常の会話が充実していてこその「進路指導」。

夢はあきらめた時点で終わってしまう。夢をあきらめることのないよう、日常の会話の中で、背中を押してあげることは、教員が担うべき重要な役割です。その意味で、本当に重要なのはクラス運営、ホームルームだと言えます。進路企画の時だけでなく、6年間を通じた日々の中で、生徒たちが今、何を聞きたがっているのか、注意深く関心を寄せ、タイミングよくヒントを与えていくことが大切だと考えています。

難関大学何名合格、という目先の結果を追いかけるのではなく、ひとりの人間としての人生を見据えて「彼はこんなにここが成長しているね」と確認しあうことが桐朋の教員の喜びなのです。

Profile

進路指導担当 林 卓也

学校の事情を知らない外部の方を招くイベントとは違い、桐朋のことを存分に知っているOBが「阿吽の呼吸」で、生徒の刺激になる話しやアドバイスができるのは、「在卒懇」ならではのことだと思います。

多彩なジャンルで活躍するOB講師陣 在校生卒業生懇談会

2014年度「高2対象・在校生・卒業生懇談会」 参加OBの所属(2014年11月時点)

青山学院大学 法学部/東京工業大学大学院 社会理工学研究科 価値システム専攻/早稲田大学 先進理工学部 電気・情報生命工学科/東京大学大学院 農業生命科学研究科/東京慈恵会医科大学 解剖学講座/東海大学 観光学部 観光学科/早稲田大学 文学学術院/東京大学大学院 医学系研究科 糖尿病・代謝内科/日本大学 経済学部/東京理科大学 理工学部/東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻/海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター/埼玉大学 工学部 電気電子システム工学科/一橋大学大学院 国際企業戦略研究科/東京大学 法学部・法科大学院

参加OBからのメッセ―ジ

まず、早稲田大学第一文学部在学中に「受験」に関わる在卒懇で呼ばれました。その後、中央大学の教員になってから、また早稲田に移ってからも今の高2対象の在卒懇にずっと呼んでもらっていますが、結局、文学を専門にする人があまりいないからいつも僕なのかな、と思っています。逆に、使命感みたいなものを感じて文学を熱く語りたいと思っています、いつも、いつまでも。(早稲田大学 文学学術院)
単なる大学進学の準備にとどまらないものを得られるのが桐朋の最大の魅力だと考えています。在校当時の私にとっては在卒懇は日常の行事の一つに過ぎないものでした。しかし、いろいろな分野で活躍する卒業生の話しを聞く機会のあること、その貴重さと意義に卒業してから気づくのです。そして、大学在学中、職業選択のとき、働き始めてからも、在卒懇のある桐朋に通っていたという思い出が自分の顔を視線を足下から空へと向かわせるのです。(青山学院大学 法学部)
「桐朋」という場で高校生と卒業生が世代を超えて出会うことができ、桐朋への想いを振り返ることができる貴重な機会です。後輩たちには、何に対しても「自分とは関係ない」と思わずに取り組んで欲しいと思います。(東京工業大学大学院 社会理工学研究科 価値システム専攻)
社会と高校生をつなぐ場。世界の広さを知ってもらいたいと思っています。在卒懇に参加する諸君には、今、自分の考えていることがこれからの価値観の原点になるので、よく考えてメモをとって何か迷ったときに参考にしたらよいのではと思っています。(東京大学大学院 情報理工学系研究科 知能機械情報学専攻)
高校生が想像している大人の社会は現実のものとは異なると思われます。現状を知りつつも夢を追えるような進路選びの手助けとして、在卒懇が活用されればと思います。とはいえ、まだ高校生のうちは、自分が進みたい道はまだわからない(これから現れる)と思うので、常に視野を広く、興味の幅を保って勉強して欲しいです。(海洋研究開発機構 地球内部変動研究センター)
高校の時分は働くという行為が具体的に何をやるのか全く想像つかなかったため、高校1年の在卒懇では少しだけイメージわいたのでよかった。高校2年の在卒懇では大学がどのような所かを知れてよかった。今度は自分が後輩たちに話す番となったができるだけ夢を持てるような簡単にあきらめてはいけないことを伝えられる講義になれば幸いです。各界で活躍する桐朋OBはたくさんいますがみな共通しているところは、夢を持ち、そのための努力を惜しまないところではないでしょうか。そんな桐朋イズム、今でも健全であることを祈っています。(埼玉大学 工学部 電気電子システム工学科)
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