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大江健三郎氏講演会  ~2009年度 PTA主催講演会~

9月19日(土)にPTA主催の講演会が開かれました。講師に作家の大江健三郎氏をお招きし、『言葉の力』というテーマで講演をしていただきました。

教育を通して、thoughtfulな人間になること、自分の経験したことのない困難に出くわしてものりこえることのできるような「人生の習慣」を身につけるということが必要なのではないか。大江氏は、そうした問いかけをもとにしながら、これからの日本人や日本社会のあり方、私たちが互いに、また世界とどのようにつながっていくのかについて語ってくださいました。ユーモラスなエピソードを交えながらの、さまざまな示唆に富む話に、講演のあと多くの質問も出されました。
<PTA役員より>
 本年度の講演会は、大江健三郎さんによる「言葉の力」でした。ノーベル文学賞作家をお招きすることなど、願っても叶わないことと思っておりましたが、大江さんのご好意により実現することができました。
 参加希望の申込みをお願いしたところ、大江さんのお話を直にお聴きしたいというご父母の数が予想を大幅に上回り、体育館での開催となりました。このため、講演会場として必ずしも十分とはいい難い面もありましたが、大江さんから紡ぎ出されるさまざまなお話には人生の指針となるような言葉がたくさん散りばめられていて、言葉のもつ力について改めて考えをめぐらす機会をいただきました。
 参加された方々からも、実に興味深かった、本校OBでもあるご子息のエピソードが楽しかった、文章からはうかがえない大江さんの温かなお人柄に触れることができてよかった、心に響く内容だった、といった感想が寄せられております。
 また、講演会に先立ち、生徒有志によるインタビューの時間を作っていただいたほか、講演会後には、PTA役員との懇談の機会もいただきました。緊張の面もちで真剣に耳を傾けていた生徒たちの様子、役員に囲まれ和やかに途切れることなくお話しになる大江さんのお姿が今なお目に鮮やかに残っています。
 大江さんには、このような貴重なひとときをいただいたことに心より感謝申し上げるとともに、ご家族の皆さまともどもお健やかであられるようお祈り申し上げます。併せて、職員の方をはじめ、講演会を開催するにあたって何かとお力添えをいただいた皆さま方に深くお礼申し上げます。

<講演会感想>
   講演は時間と空間が主題の間を行き来しながら、でも慎重に選ばれた言葉で語られていた。文字通り「言葉の力」であった。大江先生が信じるモノ、それはご子息の心を動かした言葉や、異国で堂々と論陣を張った森鴎外の文章や、そして憲法の条文を例に挙げて語られた(あるいは誰かに語り継がれた)人間の意志の発動であるような気がする。
 大江健三郎氏プロフィール

 1935年、愛媛県生まれ。東京大学仏文科卒。在学中の57年「東京大学新聞」に小説「奇妙な仕事」、次いで「死者の奢り」「他人の足」を文芸誌に発表。新人作家として仕事を始める。58年「飼育」で芥川賞を受賞。障害を持った長男、光さんの誕生を契機に「個人的な体験」を書き、光さんとの共生が、その後の文学活動の主題のひとつの柱となる。同時に「ヒロシマ・ノート」によって、核時代の日本人を考察する評論活動も続けることになる。「万延元年のフットボール」「洪水は我が魂に及び」「同時代ゲーム」「燃え上がる緑の木」など、多くの長編小説が世界各国で翻訳出版され、94年のノーベル文学賞を受ける。プリンストン大学、ベルリン自由大学ほかで客員教授、ハーバード大学、フランス国立東洋文化言語研究所より名誉博士号、レジョン・ドヌール勲章(コマンドゥール)。最近の仕事としては、2000年から2005年にかけて「取り替え子(チェンジリング)」「憂い顔の童子」「さよなら、私の本よ!」の三部作がある。光さんは作曲家として、その作品はCDをつうじ、広く知られている。                                   (PTA広報より)