桐朋中学校・高等学校

校長からのメッセージ 桐朋中学校・桐朋高等学校 校長 片岡哲郎

未来を拓く「次の学び」を

国木田独歩が鮮やかに描写したかつての武蔵野の印象は、数千条の小径を懐に抱く広大な雑木林でした。
桐朋創立75周年となる2016年に向けて始まった新校舎建築事業は、武蔵野の面影をとどめるキャンパスの緑との調和を保ちながら、日毎に新しい学び舎の風景を形作ろうとしています。

私たち桐朋は今日まで一貫して、自由闊達にして自主性を尊重する校風のもとで、一人ひとりの生徒を、豊かな心と高い知性を持つ創造的人間として育成することに力を注いできました。桐朋に集う若者たちは、日々の活動を通じて様々に清新なる価値を生み出します。授業の中で学問的真理に触れる瞬間に、あるいは行事を企画運営する委員会で熱い議論を交わす瞬間に、またクラブ活動を通じて仲間とともに味わう歓喜の瞬間に、彼らは逞しく躍動します。そうした体験を通じて身につける創造的知性こそ、彼らが長い人生を生きる上での大切な核となっていくのです。

東日本大震災から一年後の2012年4月10日、桐朋高校始業式で私はこう呼びかけました。
「霧に閉ざされ、色彩を失った、不安ばかりが連なっている世の中に、鮮やかな色を投じることのできる、そんな若者になって下さい。言い換えればそれは、確信を持って、未来に向けて自分を投げかけるということです。」
私たちは、70年のあいだ培ってきた人間教育の上に立ち、困難な時代にたじろぐことなく立ち向かってゆく意志を持った若者を育てることこそ、自らの使命であると考えています。

私たちは今、未来を拓く桐朋教育の取り組みを「次の学び」の名で語り、それを体現する新校舎という形を添えて、鮮やかに投げかけてまいりたいと思います。

校長 片岡 哲郎